注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
プーチン氏の発言は、国際法というレンズを通して読むと、西側諸国を震撼させるはずである。
プーチンは国際法を専攻していたことを忘れてはならない。プーチンの演説は、NATOに対する法的根拠を示すものであった。
まず、西側諸国がロシアを攻撃した方法を、私が数えただけでも30種類も挙げている。NATOのロシア国境への拡大、ロシア国内のテロリストの支援、経済戦争、テロリストによる北流パイプラインの妨害、ウクライナのクーデターと戦争への資金提供、ロシアの核爆撃機を含むロシア国内の目標へのウクライナへの直接攻撃支援、ロシアの破壊と分割を企てること、などなどである。
その中で、重要な発言があった。
プーチンの言葉の選択は、ロシアの核ドクトリンに照らして極めて重要である。核兵器は、「ロシアまたはその同盟国に対する核およびその他の種類の大量破壊兵器の使用に対応し、また国家の存在そのものが脅かされる場合に通常兵器を使用してロシアを侵略する場合に使用することができる」と述べているのである。
プーチン氏は、アメリカの対ロシア戦争の証拠となる30項目のうち、アメリカがウクライナを通じてロシア領土に対して通常兵器を使用したいくつかの事例を覆い隠された代理人として挙げ、これが「(ロシア国家の)存立の脅威」になると述べているのです。
プーチン氏が私たちに語ったことは、クレムリンは今日、核使用の条件2が真実であるとみなしているということである。
この発言には、2つの関連する行動が伴っていた。演説の前日、ロシアはICBM「サルマットII」の発射実験を行った。そして、演説の最後にプーチン氏は、ロシアは核ミサイルの数と射程を制限するSTARTⅡ条約から直ちに離脱すると発表した。
この3つの声明と出来事を合わせて、ロシアは「私の玄関から出て行け!」と言って、45発のコックをしたのだと、西側集団に伝えるべきだろう。
これは、ロシアが明日の朝、米国を攻撃するということを意味するものではない。
しかし、私たちは今、間違いなく核戦争の崖っぷちに立たされているのです。
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動画の4分のところで、“戦略兵器削減条約とは何か。戦略兵器とは核兵器のことですよね。それも長距離の核兵器です。戦術兵器っていうのは短距離の核兵器になりますけど…これは米露両国の核弾頭の数を制限する、それから核弾頭を運ぶ手段の数も制限するというものなわけですね。この新STARTの特徴は、互いの核施設を年間18回まで査察を容認するということが入ってる”と解説しています。
11分42秒で、「強調したいのは、米国とNATOは、ロシアに敗北を与えることが目標だと明言している。そんなことを言った後で、何事もなかったかのように、我々の施設を走り回るつもりなのか?」というプーチン大統領の演説を紹介しています。
新STARTへの参加停止に関連するプーチン大統領の演説の真意を解説した優れた記事がありました。記事には「プーチン氏の発言は、国際法というレンズを通して読むと、西側諸国を震撼させるはずである。」とあります。
プーチン大統領は年次教書演説で、“西側諸国はウクライナをロシアを攻撃するための破城槌として、射撃場として利用している。…次の状況は万人に理解できるはずだ。西側の長距離戦闘システムがウクライナに供与されればされるほど、我々はその脅威をロシアの国境から遠ざけざるをえなくなる。それは当然だ。西側のエリートは自分たちの目標を隠そうともしていない。彼らははっきりと「ロシアに戦略的敗北」を与えるのが目標だと言っている。…つまり、彼らは局所的な紛争を世界的な対立の局面に転化させるつもりなのだ。我々はすべてをまさにこのように理解しており、相応の方法で対処していく。なぜならば、この場合、話はすでに我々の国の存続に関わるからだ”と発言しています。
記事をご覧になれば、“今後数週間のうちに、ロシアの同盟国である中国が…ウクライナが失った領土をロシアに譲り渡す和平協定を提案する可能性が高い…もし西側諸国がこの和平提案を拒否すれば…核戦争の条件はすべて整う…NATO が新たな挑発をすれば、ロシアは先制攻撃を行うだろう”と言っています。
実際に、中国は「ウクライナ紛争終結へのロードマップを発表」しています。
ただ、私の見方は少し異なります。西側のエリートの「ロシアに戦略的敗北」を与えるという言葉の意味は、“ロシアに先制核攻撃をさせること”だと見ています。もちろんウクライナ、ポーランド、ルーマニア、モルドバといった限定的な範囲内での核攻撃です。
バイデン大統領は2月21日にウクライナの首都キエフを電撃訪問しました。その後、ポーランドの首都ワルシャワで演説し、“米国主導の対ウクライナ「支援国連合」の意義を強調し、引き続き連帯するよう訴えた”のです。
プーチン大統領が「彼らは局所的な紛争を世界的な対立の局面に転化させるつもりなのだ。」と言っている通りの流れになっています。
米国主導の対ウクライナ「支援国連合」が、モスクワに届くミサイルを準備すれば、ロシアはその場所を攻撃せざるを得ません。「国家の存在そのものが脅かされているときに通常兵器を使用してロシアに対して攻撃を行う場合」に、ロシアは核兵器を使用すると明言しています。
ウクライナ周辺の「支援国連合国」、あるいはEUへのロシアの先制核攻撃は、アメリカにすれば「ロシアに戦略的敗北」を与えることになるのです。核兵器を使用したロシアを、世界は拒否するだろうからです。