注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

私自身は、「なぜイランが停戦に合意したのか」が今でもわからないのですが、つまり、戦争は圧倒的にイランに有利に進んでいて、しかも、停戦の時には、「イスラエルの防空システムであるアイアンドームの防衛ミサイルの備蓄が、あと数日」というところにあったのです。
仮に、あと 1週間、戦争が長引いた場合、イスラエルの防空システムはほぼ完全に破綻していたという状況でした。
おそらく、それを知ったトランプ氏が、強引に停戦合意を持ちかけたのだとは思います。つまり、イスラエル(というよりはネタニヤフ首相)を守るために。
昨日、トランプ氏は、ネタニヤフ首相の汚職裁判の中止をイスラエル側に要求したということが報じられています。
・トランプ大統領、ネタニヤフ首相のイスラエルでの汚職裁判の中止を要求
BDW 2025年6月26日
ネタニヤフ首相の汚職裁判は、イスラエル国内で 2020年から続いていますが、なぜイスラエル国内の汚職裁判に「アメリカが干渉しようとするのか」という話でもあります。
「何だか必死だなオイ」とも思いますが、このことはともかく、今回の停戦は、イスラエルにとって、まったく朗報だったと思います。再軍備に取りかかることができるからです。
(中略)
停戦がいつまで続くかは不明ですが、結局さらに大きな戦争の準備が始められただけだと思われます。
イランはイランでお人好しですからねえ…。こういう局面で、あまりお人好しであることは良いことではないようにも思います。アメリカやイスラエルの非人性と残虐性を参考にすべきかもしれません。
最近、ハーバード大学のデータで、「ガザのパレスチナ人の死者は最大で 40万人近くとなっているかもしれない」ことが示されています。その多くが女性と子どもです。
・ガザ地区で行方不明となっているパレスチナ人の数が「37万人を超えている」ことがハーバード大学のデータで判明
地球の記録 2025年6月25日
私は戦争という事象そのものは否定しないですが、イスラエルが続けている、こういう女性や子どもに対してのジェノサイドは、やっぱり聞いて気持ちいいものではないです。
(中略)
文章の冒頭の、
> 結局、予想通り、サーカス団長は TACO に陥った。
の TACO は、「トランプはいつも尻込みする/ "Trump Always Chickens Out")」の略で、関税戦争が始まった頃に、最初大きな数字を挙げて、すぐにそれを下げるという「チキンな行為」から市場のトレーダーたちから言われ始めたもので、最初の頃の報道は以下にあります。
・「トランプはいつもチキって退く理論」に本人激怒という報道
BDW 2025年5月30日
チキン、というのは、「臆病者」の意味で、西洋の男性に対する呼称としては相当の蔑称となります。このことから、最近も私はTACO氏と呼ばせていただくことが多くなりました。
今回の停戦のときもニュースを見て、「またチキンかよ」と呟いていました。臆病な大統領ですよ。
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全に破綻していた”のです。イスラエル(というよりはネタニヤフ首相)を守るために、トランプはイラン核施設を空爆し、強引に停戦合意を持ちかけたわけです。
停戦合意は「イランにとって不利」になります。停戦はイスラエルに再軍備に取りかかる時間を与えることになるからです。本来なら、停戦に合意せず、イスラエルを徹底的に叩き潰すべきだったのです。しかし、そうすることでアメリカとの戦争になれば、第3次世界大戦になりかねません。
“トランプがイラン核施設を空爆し、強引に停戦合意に持ち込み、第3次世界大戦を防いだ”とする、トランプ支持者による「5次元チェス説」があるのですが、私はこのような妄想を支持しません。
私の見方は、昨日の記事で示した通りです。トランプは、これまでの言動を見ていると分かるように完全にシオニストであり、イスラエルの利益をアメリカよりも優先しています。
もしも、多くのトランプ支持者が考えるように、彼が救世主のような存在であるならば、現状のガザの状況をどの様に理解すれば良いのでしょう。
In Deepさんは、“イスラエルによるジェノサイドにより、37万7000人のパレスチナ人が行方不明となっている”という記事を紹介しています。ガザの子供たちが飢餓で死亡していることを示すこちらの写真は閲覧注意です。
トランプはガザからパレスチナ人を排除して、そこをリゾートに変えたいのでしょう。救世主ではなく悪魔の所業です。こうした明らかな事実すら見えなくなるほど、認知戦によって洗脳されているのです。
私は、2017年4月7日の記事でコメントしたように、トランプがシリアのシャイラト空軍基地を攻撃した時以来、トランプを見限っています。
「この一件で、彼らの滅びは確定したと言って良いでしょう。それでもオバマやヒラリーよりはずっとマシだというのだから、アメリカは救われないという気がします。地球上からアメリカやイスラエルのような国が消えなければ、世界の平和はないと言えるでしょう。」というコメントは、今も全く変わりません。