■「働きアリの2割は働かない」を、2年かけて実証
アリのコロニーにはほとんど「働かないアリ」が2割ほど存在する。そして「働かないアリ」が存在しないと、コロニーは長続きできない――。進化生物学者で北海道大学大学院准教授の長谷川英祐氏が率いる研究グループは、長期にわたるアリの行動観察やコンピュータシミュレーションを通じて、こんな意外な事実を発見した。
(中略)
■なぜ、わざわざ効率の悪いシステムをとるのか
(中略)
長谷川氏らは、コンピュータシミュレーションを使ってこの謎を解くことにした。
(中略)
結果、
皆が一斉に働くシステムは、働かないアリがいるシステムに比べて、
単位時間あたりの仕事処理量は多かったが、処理量にばらつきがあった。働かないアリのいるシステムのほうは、処理量は少ないが、常に一定の仕事が処理されていた。そして、
仕事が処理されない時間があるとコロニーが絶滅すると仮定すると、働かないアリのいるシステムのほうがより長続きしたのだ。
(中略)
「皆が一斉に働きだすシステムでは、疲れるのも一斉になりやすい。これが仕事処理量のばらつきにつながっていたのです」(長谷川氏)。
(中略)
「働かないアリ」という、一見、短期的効率からは
無駄に見えるものに、実は存在意義があることを明らかにした長谷川氏らの研究だが、こうした事例はほかにも挙げられるという。
(以下略、続きは引用元でご覧下さい)