2019年9月までに連邦破産法を申請した農家の地域ごとの昨年比
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AFB
記録的な気象に貫かれた1年の中で
米国最大の農業圧力団体「アメリカ・ファームビューロー連合 (AFB)」が、
今年のアメリカの「農家の破産」が、前年比で夥しく増加していることを発表していました。
アメリカで破産した農家の数(アメリカ合衆国連邦破産法が申請された数)
は、9月までに 580件にのぼり、前年比で 24%の増加だそうです。
遡れば、今年のアメリカは、
春までの激しい寒波から中西部などの大洪水によって、作物の植え付けが大幅に遅れ、トウモロコシや大豆などにおいて収穫量の不足が予測されていました。これは、6月の以下の記事で取りあげています。
そして、今度は、
10月になると、平年とはまるで違う規模の「大寒波」に見舞われる地域が多くなり、やはり作物の収穫が厳しくなっていると思われます。
これは、5日ほど前の以下の記事で取りあげさせていただいています。
(中略)
気象や自然災害による農作物の損害に対しては、基本的には保険が支払われますので、損害そのものはカバーできるとしても、
今のような「破産の連鎖」に至った理由のひとつとして、アメリカファームビューロー連合の報告にあった、
以下のグラフがあるように思います。
それが示すのは、
農家の世帯の「債務」つまり借金の増加です。下のグラフは、アメリカの農家の借金の満期(返済期間)の推移で、どんどん長くなっていることがわかります。
アメリカの農家の債務返済の満期(月)の推移
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Average Maturity on Non-Real Estate Loans by Loan Category
(中略)
アメリカ・ファームビューロー連合の報告では、
低金利のために、農家の人たちは以前よりも借金がしやすくなっているため、農家の債務は段階的に増加しているのだそう。
2019年のアメリカ農家の債務の合計は、4160億ドル(約 46兆円)となる見込みだそうで、
比較してみますと、ノルウェーあたりの GDP と変わらないような額となっています。
(中略)
アメリカの場合は、
「他の国の食糧事情への影響が極めて大きい」ということが問題でして、アメリカの農業が苦境に陥るようなことがあれば、影響は世界に迅速に広がっていくと思われます。
(以下略)