自民・TPP特別委理事がTPP法案を「強行採決で頑張る」→「安倍総理大臣の思いを申し上げたにすぎない」と謝罪 / 国際的にもきわだっている安倍政府の売国ぶり

 29日、自民党の福井照・TPP特別委理事がTPP承認案に関し「強行採決で頑張る」とおバカ発言。その後「安倍総理大臣の思いを申し上げたにすぎない」と謝罪し、辞任しました。
 ドイツでは、TPPをはじめとする新自由主義の自由貿易協定に反対するデモに32万人が参加したとのことですが、"続きはここから"以降の記事を見ると、フランスやドイツ政府などが、相次いで米国の自由貿易協定から距離をおく発言をする中で、わざわざ訪米までして、TPPの承認・関連法案を成立させることを誓った安倍政府の売国ぶりが、国際的にもきわだっているのが分かります。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

————————————————————————
法案を「強行採決で」 自民・TPP特別委理事が失言(16/09/29)
配信元)

————————————————————————
自民TPP特別委理事 強行採決発言で辞任へ
引用元)
TPP=環太平洋パートナーシップ協定に関する衆議院の特別委員会で理事を務める自民党の福井照元文部科学副大臣は、会合で、今後の審議について、「強行採決という形で実現するよう頑張る」と述べました。

(中略) 

会合のあと、福井氏は記者団に対し「この国会でどうしても採決したいという、安倍総理大臣の思いを申し上げたにすぎない。ただ、与野党の筆頭理事による協議も始まっていない状況なので、誤解を招いたことは大変申し訳なく、おわびを申し上げたい」と陳謝しました。

(以下略)

————————————————————————
配信元)



————————————————————————
安倍 国内外でTPP批准に必死
露骨な米政府支援
転載元)
 首相・安倍は二六日から開会する臨時国会でTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の承認案と関連法案の承認・成立を最優先課題としている。安倍は臨時国会の直前におこなった訪米でもこの方針を強調するとともに、米議会での議会承認を訴えた。TPP問題で窮地にたつオバマ政府へのあからさまな支援であり、安倍がTPPの承認・成立を強行しようとしているのはアメリカのためである。

各国人民はTPP反対が圧倒 

 TPP交渉は今年二月に調印にこぎつけたが、批准は危機にひんしている。アメリカ国内では、労働者、勤労人民に貧困をもたらすTPPをはじめ新自由主義の自由貿易協定に反対する世論と運動がひろがっている。このため大統領候補である民主党の前国務長官クリントンも共和党のトランプも「TPP反対」をかかげざるをえなくなっている。

議会承認の目途ないオバマ 

 クリントンは国務長官のとき、対中包囲網づくりとしてTPPを推進した張本人だが、大統領選挙にかちのこるために大統領候補指名獲得後に「TPP反対」をいうようになった。どちらが大統領になるにせよ、公約をくつがえしてTPP賛成に転じることは当面は困難である。このため米大統領オバマは「批准に失敗すれば、アメリカのリーダーシップにも疑問符がつく」と危機感をまるだしにし、来年一月の任期切れまでの議会承認をとりつけようと必死だがめどはたたない。

 オバマは九月にはいり、米財界人や共和党の有力者と会談し、議会承認にむけて協力をもとめた。このなかには共和党大統領候補の指名争いに出馬していたオハイオ州知事ケーシックもふくまれている。ケーシックは会談後、米大統領報道官と記者会見しているが、野党の知事がホワイトハウスで会見するのは異例で、オバマはなりふりかまわなくなっている。

 アメリカが批准できなければ、TPP合意はなりたたない。このためすでに批准した国や批准を必要としない国もアメリカの政治状況を見ながら、発効に必要な国内担保法(TPP関連法)の成立の機会をうかがっている。「アメリカが批准しなければTPPはおわりだ」(オーストラリア貿易・投資相)というのが交渉参加国の共通した認識である。そして「批准には新米大統領就任前の死に体の議会がベストチャンスと聞いている」(同)と、オーストラリア首相ターンブルは共和党と民主党に批准を要請するとしオバマ政府の応援団をかってでている。

安倍が米議会に批准を要請 

 今回の安倍の訪米にもそのもくろみがあった。安倍はニューヨーク市内で二一日、アメリカの金融・ビジネス関係者向けの講演をおこなった。ここで安倍は臨時国会でTPPの承認・関連法案を成立させることをちかった。そしてアメリカ議会にむけて「TPPを批准してください」と要請をおこない、オバマ政府を応援した。

 前日の二〇日、安倍は民主党大統領候補クリントンと会談した。一一月の大統領選挙を目前に一方の候補と会談するのはあからさまな肩入れとなるため、日本の首相といえどもやったことがない。今回はクリントンの側の申し入れで、安倍を「表敬訪問」するという形でおこなった。クリントンの大統領就任を見こした実質的な“日米首脳会談”である。

 会談で「アジアだけではなく世界の平和と繁栄のため」に「日米同盟を強化」することで一致し、クリントンは「テロ対策への努力を倍増しなければならない」といい、朝鮮半島情勢や南中国海などでの「自由航行」でも意見をかわした。それはクリントンが日本にたいする戦争動員を強めようとしているということである。

 (中略) 

TPPをはじめとする自由貿易協定に反対する斗争は、世界的な流れとなっている。

欧州もTTIP交渉行詰る 

 オバマ政府は、アメリカとEU(欧州連合)とのあいだで、TTIP(環大西洋貿易投資連携協定)交渉を推進しているが、TTIPも各国人民の反対斗争をよびおこしている。

 TTIP反対の斗争は、各国の緊縮財政策反対、労働法改悪反対など新自由主義に反対するたたかいのなかでひろがっている。今年五月、イギリス人民のたたかいによってEUからのイギリス離脱の国民投票が勝利したことで、TTIP反対の斗争はいきおいづいている。

 斗争のひろがりのなかで「抗議行動、TTIPをおびやかす」(独紙デア・シュピーゲル)と商業紙が報道している。来年、大統領選挙や総選挙がひかえているフランスやドイツの政府は九月にはいり「TTIP交渉は決裂した」(独副首相)、「アメリカはまったくなにもあたえないか、パンくずのようなものしか提案しない」(仏貿易・観光振興・在外担当相)など、TTIP交渉から距離をおく発言があいついでいる。

 TPP批准で必死になり、アメリカの応援団になっている安倍政府の売国ぶりは国際的にもきわだっている。

Comments are closed.