[逝きし世の面影]北方領土問題:60年間も挙国一致で完璧に隠していたのに、・・・驚きの毎日新聞によるちゃぶ台返し

 藤原直哉氏が新聞各紙の寸評をつぶやいており、毎日新聞については「変遷がある」と述べています。下の「逝きし世の面影」さんの記事では、毎日新聞が60年間も挙国一致で隠していた事実を『ちゃぶ台返し』的に暴露したとあります。
 いったい何を暴露したのかですが、それは、日ソ共同宣言により平和条約を結んだ後、歯舞色丹の二島返還で決着がつくはずのものが、米国が圧力をかけ、根拠の乏しい「4島返還の原則論」を持ち出させ、日ソ関係の改善を許さなかったという、北方領土問題に関する基本的な事実のようです。
 さらに「逝きし世の面影」さんの記事には、歯舞色丹の二島返還が実行されなかったのは、朝鮮戦争の影響をまともに受けて吹き飛んだことが原因であり、アメリカのダレス国務長官の『ソ連と平和条約を結べば沖縄を返さない』との露骨すぎる対日恫喝があったことも指摘しています。
 安倍政権は、解散総選挙前に北方領土問題を解決させることで支持率を上げようと考えていると思います。また苫米地氏の暴露情報では、「11月解散12月解散総選挙」とあり、TPPの強行採決の見返りとしてロシアとの経済協力や北方領土問題解決をアメリカに黙認してもらうという密約を結んでいるということでした。
 しかし、プーチン大統領は「平和条約をいつ締結するのか」との質問に対して、「(締結の)期限を決めることをしてはならないし、不可能だ。有害でさえある」と答え、共同通信の記事には「訪日の際のプーチン氏と安倍晋三首相との会談で両首脳が期限を区切った平和条約の締結で合意する可能性は事実上なくなった」とあります。
 安倍政権の解散総選挙計画に有利になるようには話を進めないということでしょうか。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)



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毎日新聞のちゃぶ台返し
転載元)
『60年間も挙国一致で完璧に隠していたのに、・・・驚きの毎日新聞によるちゃぶ台返し』

2016年10月27日付けの毎日新聞記者の目 . 日露 北方領土返還交渉=大前仁(外信部)』、書いた記者の写真と実名付きのオピニオン記事では、『信頼の醸成まだ不足』との、何とも驚くちゃぶ台返しを行った。

オピニオン記事の冒頭部分は、


    『ロシアのプーチン大統領が12月に訪日するのを前に、日本国内では「北方領土問題が進展するのでは」との期待が生じている。というのも、日露首脳がこのところ会談を重ねてきているからだ。しかし具体的な返還方法を話し合うまでには至っておらず、信頼醸成の段階である。』
 

と、何時も通り(今までと何も変わっていない。世の中は平常だ)を装っている。ところが内容が 今までの日本国内のマスコミの報道とは180度逆になっている騙し絵構造なのですから驚いた。

60年間も挙国一致で隠していたのに、・・・今回とうとう毎日新聞の『ちゃぶ台返し』的に真実(裏事情)を暴露した意味はとんでもなく大きい。

世の中が、今まさに『上から』クーデター的に大きく変化しようとしているのです。
(本当なら革命的と書きたいのだが、一般市民の方は小さな変化は歓迎するが、能力的にあまりにも大きすぎる変化には対応出来ず、結果的に日本の革命的な変化を望んでいない。だから今回上からのクーデター的な手法が採用されたのでしょう)


    『今月19日、日本とソ連が「日ソ共同宣言」(1956年)に署名して60年を迎えた。宣言には、第二次大戦からの戦争状態を終わらせて、平和条約を結んだ後で「(北方四島のうち)歯舞群島及び色丹島を日本に引き渡す」と書かれている。いわゆる「2島返還」である。』
  

この事実は、案外見落としされがちだが、歯舞色丹の二島返還は60年前の日ソ共同宣言に、『平和条約を結んだ後』と返還の条件とか順番(手続き)が明記されいた。


    安倍政権は対露政策で「新しいアプローチ」を掲げ、共同宣言に立ち返る姿勢をにじませている。それは4島の帰属確認に固執せず、宣言に明記された「歯舞、色丹」の返還手続きを進めながら、残された「国後、択捉」の処遇を話し合う解決策に違いない。日本国内ではそうした見方が強まっている。これは2000年代初頭に、日本がロシアに提案した「2島先行返還論」である。』
 

日本が証明捺印した日ソ共同宣言を破棄しない限り、そもそも歯舞色丹の二島先行返還は有り得ないのである。ところが、日ソ共同宣言を破棄すると、歯舞色丹返還も吹き飛ぶので矢張り平和条約無しの二島先行返還は有り得ない。
(時間的に短時間だけ平和条約よりも先行させる手法なら可能かも知れないが、いずれにしろ二島返還と平和条約は二つで一つのセットになっている


    『「2島返還」でも厳しい条件闘争  
    私は安倍政権が本音では「先行返還論」の部分をあきらめて、2島返還での決着を狙っているのではないかと思っている。 
    ただ「現実」はもっと厳しい。ロシアは今さら2島返還ですら容易に受け入れない姿勢だ。日本側が4島返還の原則論を取り下げたとしても、「今さら遅すぎる」』
 

今まで60年間も続けていた『4島返還の原則論』によって、日本の立場(正統性)が大きく傷ついているのである。

日本側が掲げた『4島返還の原則論』の根拠とは何か。

それは1855年に日本の江戸幕府と帝政ロシアが結んだ日露通好条約で、日露の国境線を国後島と得撫島の間に定めたことに由来していた。

161年前の日露通好条約で、『北方四島を日本領として確定させた。』ことだけが日本側の根拠なのですから、あまりにも弱すぎる。

国家間の国際条約とは故人の遺言と同じ原理で、色々存在している場合には、その中で一番新しい日付のものだけが有効(新しく書き換えられた場合には、古いものは自動的に無効)なのです。治外法権とか関税権の放棄など18世紀なら常識でも今では非常識が書かれている161年前の日露通好条約の中の一条文の絶対視は幾らなんでも無理があるでしょう。



    『しかし、日本は第二次大戦に敗れてソ連に4島を支配された後、サンフランシスコ講和条約(1951年)で千島列島を放棄した。調印した当時の吉田茂首相自らが、放棄対象に「国後、択捉」が含まれるとの考えを示していた。
 

調印した当人である日本国首相の答弁とか外務省条約局長の条文の説明などが、国会議事録という正式な公式文章として残ってるので誰も否定でき無いはずなのです。ところが日本側は60年間も一切無視して『何も無かった』ことにしていたのですから無茶苦茶。

日本政府は1952年のサンフランシスコ平和条約で自ら千島列島を放棄している。この事実を無視して、1956年以後には主張を変えて『北方四島は日本領と確定している』と繰り返していたが、これは単なる国内向け政治宣伝程度で、外国に向かって言っていたわけではない。


    ところが55年に対ソ交渉を始めると、外務省は「国後、択捉」を放棄していないと主張を変える。
    当時は米ソ冷戦時代。日ソ関係の改善を望まない米国が圧力をかけたことも「変節」の背景にある。

    いったんは自ら「放棄」しながら、政府は「日本固有の領土」との理由で4島返還を求める立場を続けることになる。』
 

余りにも正直に日本の悪事を暴露しているのですから、呆れるやら。驚くやら。
しかし、それにしても遅すぎるのである。
子供でも分かる簡単な事実を認めるのに、なんと、60年もかかっているのですよ、溜息しか出てこない。

『1956年の共同宣言では2島返還が約束されたが、政府はそこに書かれていない「国後、択捉」についても交渉の余地があるとみなした。そして国民にも、4島返還という原則から離れられない考えを染みつかせた。』

今回60年間の挙国一致の日本的タブーを破った毎日新聞ですが、それにしても往生際が悪い。

日ソ共同宣言の『2島を日本返還』が実行されなかった原因とは、アメリカ軍による朝鮮戦争の影響をまともに受けて吹き飛んだのである。

アメリカのダレス国務長官の『ソ連と平和条約を結べば沖縄を返さない』との露骨すぎる対日恫喝は余りにも有名な話である。
誰でも知っている常識的知識を今回の毎日新聞の記者が知らないはずが無い。

もちろん日ソ共同宣言が反古になった経緯(日ソ平和条約に反発したアメリカ国務省の関与)を、十分承知しているのである。
それなら全員が知っている周知の事実をあえて今回『知らないふり』で誤魔化して、自らの『論』の信憑や確実さを貶めた毎日記者の真意とは、いったい何だったのだろうか。

今回の二島返還ですが、これは去年末(2015年12月28日)に唐突に日韓両国で妥結した日本軍従軍慰安婦の最終解決と同じで、退任間際のアメリカ大統領(バラク・オバマ)のレガシーとして計画されているのでしょう。それなら間違いなく大統領任期が終わる今年中(2016年12月)には必ず締結さることが決まっていることになる。

60年前に、返ってくるはずだった歯舞色丹の返還が夢幻に終わった原因も、同じく日ソ共同宣言から60年後の今年に歯舞色丹の返還が行われるのも、主導したのは日本ではなくて両方とも『アメリカの意向』なのですから、これでは書きたくても書けないのである。

『驚きの毎日新聞によるちゃぶ台返しpart 2』 

60年続いていた日本国のタブーを暴露した署名記事『記者の目』にも驚いたが、同じ日付けの毎日新聞社の坂東賢治専門編集委員によるコラム『木語』の内容にも驚いた。

アメリカ大統領選挙での最新の世論調査の結果、元国務長官で大本命のヒラリー・クリントン候補は、暴言王のトランプに対して支持率で12ポイントもの大差が開き、ほぼ大統領選挙の結果が確定したとの報道がマスコミによって行われている。

ところが、実は世論調査にも色々あり両者の支持率が拮抗しているとか、逆にトランプ候補がリードしているとの調査も存在しているのです。これでは世論調査の信用度は当たるも八卦、当たらぬも八卦の『占い』と同じだったとの笑い話。まさに、驚きの毎日新聞によるちゃぶ台返し『part 2』である。

毎日新聞社の専門編集委員である坂東賢治(木語)ですが、『新聞社などの世論調査は当てにならない』と言いたいのだろうか。?しかし、これは新聞社としては自殺行為なので普通の常識では有り得ない珍事である。

それなら、『実はトランプが大統領に当選することも十分あるぞ。』(ヒラリー・クリントンの高支持率はインチキだ)と言ってることになるが、何れが真実にしろ毎日新聞社による常識外れの、身もふたもない、『ちゃぶ台返し』であることだけは間違いない。

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