米軍によるシリアのミサイル攻撃は「北朝鮮を念頭に置いてのもの」 〜愚かな行動をとらないように…〜

竹下雅敏氏からの情報です。
 冒頭の記事のタイトルにある通り、米軍によるシリアのミサイル攻撃は、“北朝鮮を念頭に置いてのもの”だと思います。習近平氏との会談というタイミングでこの攻撃が実行されたことから、こう考えるのが自然だと思います。
 記事にある通り、プーチン大統領は“シリアでの方針を後退させるようなことはない”ので、米国がさらなるシリア攻撃を行うのは難しいと思います。次の攻撃に対しては、ロシアの対空防衛システムが使われるからです。米軍はロシアとの戦争は考えていないので、シリアのアサド政権の力による排除は考えていないと思います。
 問題は北朝鮮で、トランプ政権が“あらゆる手段を用いる可能性があると明言”したように、金正恩に対して力による排除を実行した場合、“それは米国にとって…破壊的結果をもたらす”とロシアの専門家は見ています。おそらく日本にも相当な被害が出ると予想されます。
 今回のシリアミサイル攻撃のような愚かな行動をとらないように、切に望みます。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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シリア爆撃 北朝鮮を念頭においてのもの?
転載元)

© Sputnik/ Mikhail Voskresenskiy


米国が、シリア政府軍をミサイル攻撃したことで、中東情勢が根本的に変化する可能性が出てきた。そして北朝鮮が、米新政府のこうした攻撃性を、今後考慮するだろうことは疑いない。この事は、日本をめぐるものも含め、太平洋北西部の状況を急激に悪化させるだろう。

スプートニク日本

実際面では、ロシア外務省が伝えたように「ロシア側は、米国と結んだ、シリアで作戦中の航空機の飛行の安全を保障し不測の出来事を防止する覚書の効力を一時停止する」という事態になっている。これはロシアの対空防衛システム、その最新の設備は他でもないシリアに配備されているが、米国が再び空からの攻撃を実施した場合、それが使われる可能性のある事を示す、非常にはっきりとしたメッセージである。

(中略) 

プーチン大統領が、シリアでの方針を後退させるようなことはない。

一方今回の、シリア政府軍を「叩く」というトランプ大統領の決定は、いかに彼が、国内での自分の状態に敏感になっているかを如実に示すものだ。マスメディアでの批判の嵐は静まっていないし、議会においても、支持母体である共和党との意見の一致が図られていない。支持率も下がっている。こうした状況の中でのアサド叩きは効果的だ。

(中略) 

今回の行動は、テロリストを支援する事につながらないの、か? 当然そうした疑問が生じる。

もちろん、こうした矛盾に満ちた政策は、評価分析が求められるものだが、まず何よりも、米国がやはり世界における主な「ならず者国家」とみなし、軍事的なものも含めあらゆる手段を用いる可能性があると明言した北朝鮮に対し、どう出るかに関心が集まっているのは当然だ。

(中略) 

ロシアの専門家らは、北朝鮮工作員が米国内で行動した場合、それは米国にとって、もっと破壊的結果をもたらすと見ている。米国が実際に北朝鮮に対する戦闘行動を始めているという議論の余地のない情報をつかんだならば、北朝鮮当局はすぐに、米国内におり、そして今後もい続ける工作員の活動を必ずや活発化するに違いない。そうした場合、北朝鮮のエージェントは大量殺りく手段を使用し、そうなればその効果は、あっという間に破滅的なものになるだろう。 それゆえ、北朝鮮のミサイルが米本土まで届くか届かないかという議論には、重大な根拠がない。すべては、弾道ミサイルが米国の諸都市に達するよりはるか前になされるだろう。

米当局では、そうした脅威に対し、考慮がなされていないようだ。

(中略) 

シリアに対するトランプ政権の急激な政策転換は、北朝鮮のミサイル実験よりも大きな注意が必要だ。そしてこの転換は、北朝鮮との政治対話確立を、さらに一層焦眉なものにしている。

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米国のシリア基地攻撃はロシアとの軍事衝突の崖っぷちにある=メドベージェフ首相
転載元)
過激派組織ダーイシュ(イスラム国、IS)との共闘との選挙綱領の代わりに、トランプ大統領はシリアの正統的な政府との熾烈な戦いに移行した。ロシアのメドベージェフ首相がフェイスブックに次のように書き込んだ。

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終わりだ。選挙前の霧の残骸は飛散した。最大の敵、ダーイシュとの共闘に関する複製された綱領の代わりに、トランプ政権は、シリアの正統的な政府と熾烈な戦いを行っていくと証明した。」

メドベージェフ首相は、米国からシリアへの攻撃が、軍事作戦はまず議会に通達されなければいけないとの「自国の手続き」と「国際法の規範との甚だしい矛盾」のもと国連の同意なしに行われたとしたと付け加えた。さらに、首相は、攻撃は「ロシアとの軍事衝突の境界線上で」行われたと述べた。



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米国はシリアの空軍基地への攻撃を前もって準備=露国防省
転載元)
ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は記者会見で、米国の巡航ミサイルによるシリア空軍基地攻撃が、7日の出来事のずっと前に準備されていたとして、次のように発表した。

スプートニク日本

「米国の巡航ミサイルによるシリア空軍基地への攻撃が、今日の出来事のずっと前から用意されていたことはすでに明らかだ。このような攻撃の準備のためには、調査、計画、飛行任務の準備、ミサイルの発射に向けた完全な整備、といった大規模な準備を行う必要があるのだ。」

コナシェンコフ報道官は、「あらゆる専門家にとって、シリアへのミサイル攻撃の決定が米国で取られたのは、形式的な口実としてのみ機能した、(イドリブ県)ハンシャイフンでの出来事のずっと前であり、軍事力の誇示は国内政治上の理由によってのみ決められたということはわかりきっている」と述べた。

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露大統領府報道官 米シリア攻撃は事実上、テロリストに利するため
転載元)
米国がシリアの空軍基地に行った攻撃は事実上、「ダーイシュ(IS、イスラム国)」、アル=ヌスラ戦線などのテロ組織に利するためである。ロシアの主たる目的は依然としてシリア軍への支援であることに変わりはない。ロシア大統領府のペスコフ公式報道官はこうした声明を表した。

スプートニク日本

これら攻撃の決定をとった米国政権がいかなる目的を追求したのかは我々はもうあずかり知らないという事実ははっきりしているが、攻撃がダーイシュ(IS)、アル=ヌスラ戦線、他のテロ組織のために行われたという事実は明白だ。これは遺憾といえよう。」ペスコフ報道官はこう語った。

(以下略) 

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米国の挑発が取り返しのつかない結果を導かないようロシアは願う=ラブロフ外相
転載元)
ラブロフ外相は、米国のシリアでの行動がイラク侵攻をめぐる状況を思い起こさせるとして、次のように述べた。

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「2003年、米英がいくつかの同盟国とともに、国連安保理の同意がないまま、国際法をひどく侵害してイラクへ侵攻した情勢を思い起こさせる。」

ラブロフ外相は、米国の攻撃「完全に牽強付会の口実の下の侵略行為」だと強く主張。
ラブロフ外相は、「これは全て、そうでなくとも弱まっている露米関係に害をもたらす。だが、これらの挑発が取り返しのつかない結果をもたらさないように願う」と述べた。

ロシア政府の見解は、米国によるシリアの空軍基地へのミサイル攻撃は
、カザフスタン首都のアスタナとジュネーブでのシリア和平協議を打ち切り、シリア政権を力によって変えようと望む人のみに有益だというもの。ラブロフ外相はそう述べた。

(以下略) 

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