[ちきゅう座]明らかに示される「難民問題」の真の解決法〜シリア難民がアレッポに帰還中(RT記事和訳)

 国連の国際移住機関(IOM)は、シリア内戦によって難民となった人々のうち、60万人以上が自宅に帰還したと発表しました。この事実の持つ意味を、童子丸開氏が、RTの記事を翻訳し解説されています。
 シリアのみならず大量難民はどうして生まれたのか? グローバリズムに自国の社会を破壊され、西側の傭兵によるテロに脅かされ、自国での生活に一切の希望を失った人々。彼らは命がけの密航で出国し、それを熱心に受け入れるヨーロッパ側NGOは「難民受け入れ」をあたかも「人道主義」であるかのように振る舞い、それを黙認する各国政府とマスコミが「21世紀の民族大移動」を引き起こしたと指摘しています。しかし、受け入れだけが難民救済ではない、「難民問題を解決する方法は一つしかない、それは、自分の故郷を離れなくても生きていける状況を作り出すこと、それだけである。」
 この童子丸氏の主張を裏付けるのが、今回のRTの記事です。これまで戦闘状態にあったシリア最大の都市アレッポが、ロシアの援助によって奪還され、12月半ばに戦闘が終了したことから、7月までの半年で60万人の人々が帰還しました。ロシア仲介によるシリア国内の安全地帯は現在3ヶ所ですが、ロシア主導の「緊張緩和作戦」が米国も含め功を奏していることは、複数の報道でも確認できます。
 むろん、安全なだけでは生活できず、徹底的に破壊された民生用インフラ(水や医療サービスなど)の復興が課題ですが、安定した故郷に戻れるという難民たちの強い希望を感じさせる記事です。
 いまだに、アサド大統領の暴虐な独裁政治が難民の原因とする識者の見解も見られますが、事実は雄弁です。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)








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明らかに示される「難民問題」の真の解決法 シリア難民がアレッポに帰還中(RT記事和訳)
転載元)
<童子丸開(どうじまるあきら):スペイン・バルセロナ在住>
明らかに示される「難民問題」の真の解決法 シリア難民がアレッポに帰還中
(RT記事和訳)



 ヨーロッパでは相変わらず地中海を渡ってくるアフリカと中東などからの「難民」の大波が押し寄せている。

 (中略)  スペインに入り込む「難民(不法移民)」の大部分はサハラ砂漠以南の黒人国からのものだ。堅実で自立した国民国家を作る気も能力も持たない西側帝国主義の傀儡支配者たちに苦しみ、欧米企業によって産業基盤の芽を奪われ社会を破壊され、干ばつなどの自然災害に悩まされ、西側帝国主義の傭兵であるイスラム聖戦主義者のテロに脅かされたあげく、自国での生活に一切の希望を失った人々である。北アフリカ、東アフリカからの密航者たちも同様だろう。

 (中略) 彼らは多額の密航費用を各国のマフィア組織に払って命がけで海を渡る(今年前半の死亡推定数は2420人)が、ヨーロッパ側で「人道主義」を掲げ「難民受け入れ」を主張するNGOがその密航を手助けしている。 (中略) 各国政府とマスコミによる黙認や奨励的態度がこの21世紀の「民族大移動」をますます激しいものにしている。

 (中略) この「難民危機」すなわち強制的民族大移動の解決方法は一つしかない。アフリカや中東の人々が自分の故郷を離れなくても生きていける状況を作り出すこと、それだけである。他に解決の道は無い。この点に関連して、今回は以下のRT誌記事を和訳(仮訳)した。

 この記事には、戦乱で破壊され荒れ果てたアレッポに戻っていく人々について書かれている。 
 (中略) 国連オブザーバー資格を持つ機関the International Organization for Migration (IOM:国際移住機関) が2017年8月11日に発表したところによると(中略)シリアで難民となった人々のうち2017年の1月から7月までの間に60万人が自分たちの故郷に戻っている。もちろんこの記事にもある通り新たに(+再び)難民となる人の数の方が多いうえに、戻っても破壊された住宅とインフラ設備、不備な水や医療などの都市機能などに苦しまなくてはならない。

 難民となった人々を救うためには故国の平和と安定、街と産業の再建が何よりも急務だが、アメリカやヨーロッパでこの点に声を上げる人や団体が無い(あってもメディアがかき消す)のはどういうことか? 中東やアフリカを荒れ果てたままにしておいて「こっちに来いや」はないだろうと思うのだが…。それを「難民救済」だと思っている人々の脳みそは、もうゾンビ状態だとしか言いようがあるまい。手の打ちようがない。

2017年8月15日 バルセロナにて 童子丸開


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《引用・翻訳開始:斜体部分は原文に従ったもの》
そう、シリアの難民たちはアレッポに戻ることができる…実際に何十万人もそうしている   
公開日時: 2017年8月12日14時43分 

https://cdn.rt.com/files/2017.08/original/598f06d4dda4c8692f8b4567.jpg
画像:アレッポのSheikh Maqsoud地区の戦災に見舞われた場所で見受けられた一人の少女

 アレッポは昨年12月にダマスカス政権によって反乱者の手から奪い返された都市だが、2017年には故郷に戻るシリア難民たちの主要な目的地となっている。シリアでの帰還者の数は国連によると優に60万人を超えている。

 (中略) アレッポ市は、紛争の以前にはシリアで最大の都市だったが、昨年ロシアに援助された政府軍によって奪還され、12月半ばに戦闘は終了した。そこはそれ以前の何年にもわたって、一方は政府軍に、他方は強硬な聖戦主義者を含むバラバラの戦闘グループによって掌握された、二つの部分に引き裂かれていた。この都市での戦闘は停戦協定によって終了したが、それは残っている反乱勢力とその家族をアレッポ市から離れてイドゥリブ地域に行くことを許すというものであり、イドゥリブは現状では反乱の砦としてとどまっている。

(中略)

緊張緩和(De-escalation)作戦が機能する  

 IOMによれば、この状況はバラ色とはかけ離れている。2017年に自分の故郷を離れざるを得ない人々の数はいまだに帰還者の数を超えており、80万8千人と推定される人々が追い出されている。2016年と2017年に帰還した人々のおよそ10%が、再び故郷から逃げ去る結果に終わっている。

Youtubeビデオ 「アレッポを信じる」:シリア人たちが奪還された都市で除幕される感動的な記念碑として歓喜の声を上げる】

 帰還者たちのほぼ20%が食料供給を確保できず、水と医療サービスへのアクセスが約60%の人々にとって問題になっている。シリア戦争の破壊は民生用インフラに刻まれている。

 (中略) それでもなお事態を見守る者たちは、ロシア、トルコとイランの後ろ盾でシリア政府によって執られる緊張緩和の作戦に対する希望のしるしが全体的な傾向として現れていると信じる。

 「イランとトルコの間に深刻な相違があるにもかかわらず、ロシアは地域的な問題で全員を席に着かせることでこのことに重要な役割を果たしている。」シリア情勢のアナリストであるカマル・アラムはこのように信じている。

 「モスクワは、緊張緩和を調整しシリアに安定をもたらすよう、成功裏に両者を説得している。ロシアの軍警察と外交手腕の結びつきもまた、シリアのクルド人たちや様々な反政府派の集団に対して信頼感を与えポジティブな役割を果たしている。」

【ホムス緊張緩和地域の地図 © Ministry of Defence of the Russian Federation 】


 この作戦は、異なる党派の支配下にあるシリアの地域の間に明確な境界を確立させることによって、対立を和らげることに焦点を置いている。このことが最終的には6年間の紛争に政治的解決を見出すことにつながるだろう。そして多くのシリア人たちにとって明らかに、近隣での戦闘が存在しないことが、反乱者たちがダマスカスとの間に持ついかなる相違よりも重要なものなのだ。アラムはこのように信じる。

 「6年間の戦争と不安定の後で、多くのシリア人難民たちは以前に[バシャール・]アサド大統領のもとで持っていた安定を切望しており、故郷に戻りつつあるのだ。」彼はこうRTに語った。

《引用・翻訳ここまで》

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