シャーロッツヴィルから波及した南北戦争のゴタゴタ 〜アメリカ破壊運動〜

 本日は、アメリカのニュースをお届けします。
 只今大きく取り上げられている、シャーロッツヴィルから波及した南北戦争のゴタゴタです。ウィキペディアには南北戦争は1861年から1865年だと記載されていましたが、実はねー、現代まで続いていたんですねーって話(※嘘です、嘘……いや、言い切る自信が無くなってきましたわ)。
 下手すると、あの人たちってば山まで爆破しかねません。はい、「山」でございます。文字通りの。もういっそのこと、来年からは独立記念日も廃止したらどおっすか(遠い目)。
(Yutika)
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アメリカ破壊運動



アメリカでは、相変わらずシャーロッツヴィルの騒動を発端とした、南部連合の痕跡を排除しようという運動が全国規模で展開されています。

南部というのは、かつては奴隷制度を推進し、現代でも黒人への差別意識が強いと専らの評判でして(あくまでステレオタイプです)。「南部連合」というのは、南北戦争当時の南部11州のことです。

事件の前から撤去運動はそれなりにあったのですが、現在は暴動に発展して手が付けられません。


北部側も危険



ニュース映像を見ていると、南部連合の将軍像だけじゃなく、色んなものがターゲットに。コロンブスあたりは「新大陸」とやらで極悪非道の限りを尽くした人物ですから、粉砕されようが別に同情しませんが(※実際どこかでハンマーを打ち込まれていました)、他の偉人像も危険なようです:


シカゴではリンカーン像が焼かれました。この人、奴隷解放宣言の署名した人じゃなかったっけ? ま、現実には奴隷反対だった訣でもないし、黒人は劣っていると思っていたみたいですけど。でも一応、北部側ですよ。


建国の父も危険



アメリカ人、自分たちの歴史を全て破壊しまくる気ですかね。どこかのニュースで揶揄しておりましたが、ラシュモア山に大きく彫刻された大統領の顔も爆破しそうな勢いです。有名な建国の父四人ですけど、なんせ金持ちは奴隷を所有するのが当然の時代に生きていらっしゃいましたから。

あ、今 RTの映像を見返したら、私の勘違いでした。実際にそういう記事が既に出たのでしたorz

pixabay[CC0]


元記事はタイトルを「爆破しよう」から「排除しよう」とトーンダウンしたようですが。リンカーンのところで挙げた記事「ラシュモア山を爆破する時が来た」の方が過激です。おまけに新たな爆破スポットも見つけちゃいましたわ:

pixabay[CC0]


ジョージア州の民主党員はストーン・マウンテンの南部連合将軍たちが刻まれた側面を爆破する案を再度表明した。こういった排除の動きには前例がある。タリバンはそのアフガニスタン統治時代、崖に彫られた巨大な仏像を爆破している。

バーミヤン渓谷の大仏像破壊の話です。そっすね、発想はお宅が16年間戦っている敵さんと変わりませんがな。良かったね、お友達になれそう。

同じ映像内に挟まれていたCNNのクリップから、黒人女性のコメント:

ジョージ・ワシントンは奴隷所有者でした。私たちはありのままを見て、奴隷所有者は奴隷所有者だと非難すべきです。たとえアメリカの自由を守った人間だと見做されていても関係ありません。
彼は私の自由なんて守ろうとしていませんでした。私の祖先は彼にとっては人間と見做されていなかったのです。なので私からすると、それがジョージ・ワシントンの像だろうと、トーマス・ジェファーソンの像だろうが、ロバート・E・リーの像だろうが違いはありません。全て取り壊されるべきなんです

うんまぁ、理屈は分からなくもないのだけど、初代大統領にまで遡って破壊したら建国240年ぽっちのアメリカに何像残るの。その前の先住民族の歴史だって消去済じゃん。


お役所も危険

 

不満を鬱屈させた若者が暴れる口実に使っているだけかと思いきや、ボルチモアでは市長が市内にある全ての南部連合の記念碑を「撤去」すると宣言し、市議会の決議で「破壊」に更にレベルアップ。他の都市も続きそうです。上が続かなければ、市民運動で下からそうなるでしょう。あるいは訴訟かな。

ニューヨークでは地下鉄内の乗り換え通路に、何十年も前から嵌め込まれたタイルが変更されることになりました。理由は南部連合の旗に「勘違いされる危険性がある」から。南部連合の旗そのものじゃありませんよ、ただ図柄的に似ているかな? ってだけです。

地下鉄のタイルは元記事に飛んで頂ければ、一面にばっと登場します。南部連合の旗はこちら(似てるも何も、縦に細長いし、肝心の11州プラス2州の反対派を象徴する13の星が欠けてます):

pixabay[CC0]



記事では、ニューヨーク知事を始めとした政治家が、南部将軍の名前が付いた米軍基地内の道の名称変更を軍に迫っておりました。ニューヨーク市長は市内にある全ての「憎しみの象徴」を洗い出して検討するそうです。


スポーツも危険

 

ちなみに、シャーロッツヴィルで問題のデモが起こったのは、ロバート・E・リー将軍像の撤去に反対したせい。ということで、ESPNというスポーツ専門チャンネルからの大変悲しいお知らせでございます。この右側のアジア系のスポーツ解説員さんなのですけどね……:


9月2日に予定されているアメフトの大学対抗試合、ロバート・リー氏の出演は控えるそうです。左側が本物のリー将軍(白人&ずっと前に死んでる)。なんでや、とずっこけたのは私だけ?

そりゃ渦中のシャーロッツヴィルで行われる試合ですし、局からの打診を受けてご本人も別の試合中継担当を希望したようですが……こんなことが懸念される時点で、国として末期症状でしょう。

銅像に八つ当たりしたところで過去は微塵も変わりません。早めに鎮火することを、対岸から「祈ります」。

文・Yutika

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