国立マンション訴訟 元市長への賠償金完済 : 田中龍作ジャーナル他 〜 真の狙いは沖縄県知事

 国立市の高層マンションを巡る訴訟は、日本の行政や司法の横暴さをさらけ出しました。景観保全を求める住民、住民の要望を受けて当選した上原元市長、行政の国立市、マンション建設事業者それぞれ異なる当事者の訴訟がいくつもありましたが、中でも異様な訴訟として注目されていたのが、国立市から上原元市長個人に対する損害賠償請求訴訟でした。経緯は、田中龍作ジャーナル元記事に端的にまとめられていますが、常識的には有りえない理由で提訴され、一審は当然のごとく上原氏側が全面勝訴でした。ところが、東京高裁、最高裁の理不尽な逆転判決により、元市長の上原氏個人に、なんと4500万円もの支払い命令が確定しました。国立市には、一円の損害すら無かったにもかかわらず、です。

 司法が、その使命を放棄したような判決でしたが、実のところ、これは明白な「スラップ訴訟」で、党派を超え景観保全を軸に誕生した市長や地方自治への脅迫となりました。利益を誘導するものやお上に逆らうとこのような目にあう、という見せしめにされたのでしょう。
 そしてこの度、全国からの募金により、上原氏は全額きっちり耳を揃えて国立市への弁済を果たされました。見方によっては、全国の怒れる市民が上原氏と地方自治を応援したと言えるかもしれません。

 田中龍作ジャーナルによると、この上原裁判の狙いは、安倍政権による沖縄県知事への脅迫にあるようです。「辺野古の新基地建設に楯突く」翁長知事に対して、菅官房長官は「翁長知事が知事権限を乱用すれば、知事個人に損害賠償を求めることもありうる」と言い放ったようです。ゴロツキか。

 またしてもお馴染みの結論か、、と考えあぐねていたら、番頭ワタナベ氏の痛快なツイートがありました!
「なるほど、今治市の菅にも呉市の小村にも賠償請求できるわけだな。これはいいことを聞いた。」 
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【国立発】地方自治潰し、元市長個人への巨額賠償命令 全国5千人の寄付で完済
引用元)

(前略)
 ところが、ごく一部の住民が「上原は国立市に損害を与えたのだから、市は同額の返還を上原に求めるべき」とする訴えを起こす。

 東京高裁は訴えを認め、最高裁が上告を棄却したため判決は確定する。2016年12月のことだ。

 住民署名と議会の議決を受けて執行した政策であるのに、司法は市長個人に損害賠償責任あり、としたのだ。

《上原判決が狙う沖縄県知事への委縮効果》

 これから7日後の12月20日、最高裁は「翁長知事が辺野古埋め立ての承認を取り消したことは違法である」とした福岡高裁那覇支部の判決を支持した。翁長知事の敗訴が確定したのである。

 菅義偉官房長官は記者会見で辺野古移設をめぐり「翁長知事が知事権限を乱用すれば、知事個人に損害賠償を求めることもありうる」との見解を示した。

 上原裁判の上告棄却は、辺野古の新基地建設に楯突く沖縄県知事を委縮させるのに十分な効果があった。


(以下略)
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国立・高層マンション訴訟 元市長支援者ら弁済
引用元)
(前略)  上原さんは在任中に施行した建物の高さを規制する条例を巡り、市が業者に支払った賠償金の負担を求める訴訟を市に起こされ、昨年十二月に弁済を命じる判決が確定。これに対し、市民らが「住民自治の問題を、上原さんの個人責任にして弁済させてはいけない」と二月に基金をつくり、全国から寄付を募ってきた。
 上原さんは取材に「不当な判決で政治家である首長が脅しをかけられていると感じる。地方自治が萎縮する」と憤りを口にした。

<国立市のマンション訴訟> 上原公子さんが市長に初当選した1999年、JR国立駅前から延びる大学通り沿いに高層マンション建設計画が浮上。市は翌年、マンションの高さを規制する条例を施行した。業者が「営業妨害」と市を訴え、敗訴した市は損害賠償金約3100万円を支払った。その後、業者は「賠償が目的ではない」と同額を市に寄付したが、一部の市民が賠償の同額を上原さん個人に請求するよう求め、市を提訴。一審で敗訴した市は、上原さんに負担を求める訴訟を起こした。
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国立マンション訴訟 賠償金完済 元市長の上原さん「住民自治の力示した」
引用元)
 国立市の高層マンション規制条例を巡り、市が業者に支払った損害賠償金を元市長の上原公子(ひろこ)さん(68)個人が負担するよう請求されていた問題で、二十一日に総額約四千五百万円の市への弁済を終えた上原さんは「住民自治の力を示した」と賠償金を賄った市民による募金活動の意義を強調した。


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配信元)


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