注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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NHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」 20180519
配信元)
Dailymotion 18/5/19
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番組の要点まとめ
これは、NHKが米諜報機関NSAの最高機密ファイルの中から、「ジャパン・ファイル」と呼ばれる未公開のトップシークレットをスクープした番組です。
1983年大韓航空機007便撃墜事件の折、旧ソ連の撃墜行為である決定的証拠として日本の傍受した音声データが、アメリカによって安保理に提出されました。これによって、日本にも諜報機関が存在することが世界に公になりました。傍受データを公開することは、その後の諜報機能を失うことにつながるため、本来あり得ないことでしたが、当時の防衛庁職員は、「ここはアメリカの出先機関」「傍受したテープがアメリカに渡ったのはごく自然な流れ」「ここは日本ではない、日本の中のアメリカだと思った」と語っています。
ジャパン・ファイルの中には「DFS」が頻繁に登場します。DFSとは、防衛省情報本部電波部を指し、NSAと50年に渡り連携してきた、とあります。しかし防衛省職員にすらその実態は明らかにされていません。ジャパン・ファイルによれば、そのDFSと深く関わっているのが、内閣情報調査室であることが分かります。内閣情報調査室はDFSから「安全保障上必要な情報を取集している」という定義です。
そこで得られた情報は、全てNSAに差し出されますが、それに対してアメリカからは選んだ情報のみ日本に渡すことになっていて、全く対等ではない形になっています。
アメリカの情報は、ファイブアイズと呼ばれる5カ国(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)と共有されますが、日本はその下位のサードパーティと位置付けられ利用される立場です。
現在の内閣情報調査室の設立は、戦後のアメリカの要求に答えたもので、意識的にCIAを見本にしていました。「政府が表に出ることなく、メディアを使って世論を誘導する」目的も明記されていました。アメリカに代わって情報取集する属国としての役割を果たしてきました。データだけでなく、アメリカの通信傍受機器のための巨額の費用も日本政府が負っていました。日本の「思いやり予算」でアメリカの諜報能力を高め、そこで収集された情報が、アメリカの軍事行動の後方支援に使われたことまで明らかになりました。このことは憲法9条の下での日米同盟として問い直すべき課題ではないかと提示されました。
対イラク戦争の時、NSAは犯罪的な情報収集を各国諜報機関に求めました。「アメリカの目的達成のために有用なあらゆる情報」、つまりターゲットの国をアメリカの意に従わせるため、その国の要人を脅迫したり買収するのに「有用な」情報を要求したのでした。でっち上げの理由でイラクを攻撃するため、無理やり「汚い手口」で同盟国を従わせるために情報を利用したのです。イギリス諜報機関GCHQの元職員は「国家がこうした力を得ると際限なく肥大化します。タガが外れ、〜行き過ぎた諜報につながって行くのです。」と語りました。
さらに重要なこととして、ジャパン・ファイルからは2012年以降、日本の諜報が新たな段階に入ったことが分かりました。すなわち「インターネットで通信傍受するオペレーション」を本格化させ、民間の通信衛星からデータを収集することになりました。
コードネーム「マラード」と呼ばれる大量情報収集システムは現実に稼働しており、全国にその存在が確認できました。福岡の電波部、太刀洗通信所は5つの小型アンテナが増設されたという情報通り、11基ものドームがありました。巨大なメロンに見えるのは、内部のアンテナがどこを向いて通信衛星の傍受しているのかを隠すためだそうです。専門家はこれにより、サードパーティだった日本が、ファイブアイズに近づいたと見ています。
もともと目的は市民に紛れ込むテロリストを探し出すというものでした。しかし衛生通信は、集めようと思えば、何でも収集できる。マラードは1時間あたり50万回のネット通信の傍受を行います。しかしその中で安全保障条のリスクはたったの1件。かのスノーデン氏は番組の中で「サイバーセキュリティ上の脅威となるメールは1件だけ、後の49万9999件について、どう考えればいいのでしょうか。」と問いました。
これら収集された情報がどう扱われるかを知っているのは、ただ日本政府、内閣情報調査室だけです。
ネット諜報導入を推進した内閣情報調査室では、北村内閣情報官が6年以上もトップを務めています。
マラードは今後さらに諜報能力強化を目指すという方針を打ち出しています。
国民の知らないところで、社会的な議論もないまま、私たちが日常的に発する情報は全て国家により取集されているという現実がすでにあります。これが一体何を意味するのか、私たちが問われていると番組は指摘して終わりました。
日本にも諜報機関があった
1983年大韓航空機007便撃墜事件の折、旧ソ連の撃墜行為である決定的証拠として日本の傍受した音声データが、アメリカによって安保理に提出されました。これによって、日本にも諜報機関が存在することが世界に公になりました。傍受データを公開することは、その後の諜報機能を失うことにつながるため、本来あり得ないことでしたが、当時の防衛庁職員は、「ここはアメリカの出先機関」「傍受したテープがアメリカに渡ったのはごく自然な流れ」「ここは日本ではない、日本の中のアメリカだと思った」と語っています。
日本の諜報機関DFS
ジャパン・ファイルの中には「DFS」が頻繁に登場します。DFSとは、防衛省情報本部電波部を指し、NSAと50年に渡り連携してきた、とあります。しかし防衛省職員にすらその実態は明らかにされていません。ジャパン・ファイルによれば、そのDFSと深く関わっているのが、内閣情報調査室であることが分かります。内閣情報調査室はDFSから「安全保障上必要な情報を取集している」という定義です。
そこで得られた情報は、全てNSAに差し出されますが、それに対してアメリカからは選んだ情報のみ日本に渡すことになっていて、全く対等ではない形になっています。
日本の諜報機関DFS(防衛省情報本部 電波部)がNHKによって明らかにされた https://t.co/oILp7Yzdxc pic.twitter.com/IyLbxVDYfd
— ゲバラ (@postguevara3d) 2018年5月20日
アメリカの情報は、ファイブアイズと呼ばれる5カ国(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)と共有されますが、日本はその下位のサードパーティと位置付けられ利用される立場です。
現在の内閣情報調査室の設立は、戦後のアメリカの要求に答えたもので、意識的にCIAを見本にしていました。「政府が表に出ることなく、メディアを使って世論を誘導する」目的も明記されていました。アメリカに代わって情報取集する属国としての役割を果たしてきました。データだけでなく、アメリカの通信傍受機器のための巨額の費用も日本政府が負っていました。日本の「思いやり予算」でアメリカの諜報能力を高め、そこで収集された情報が、アメリカの軍事行動の後方支援に使われたことまで明らかになりました。このことは憲法9条の下での日米同盟として問い直すべき課題ではないかと提示されました。
対イラク戦争の時、NSAは犯罪的な情報収集を各国諜報機関に求めました。「アメリカの目的達成のために有用なあらゆる情報」、つまりターゲットの国をアメリカの意に従わせるため、その国の要人を脅迫したり買収するのに「有用な」情報を要求したのでした。でっち上げの理由でイラクを攻撃するため、無理やり「汚い手口」で同盟国を従わせるために情報を利用したのです。イギリス諜報機関GCHQの元職員は「国家がこうした力を得ると際限なく肥大化します。タガが外れ、〜行き過ぎた諜報につながって行くのです。」と語りました。
2012年以降、電波部 通信傍受のサイバー化
さらに重要なこととして、ジャパン・ファイルからは2012年以降、日本の諜報が新たな段階に入ったことが分かりました。すなわち「インターネットで通信傍受するオペレーション」を本格化させ、民間の通信衛星からデータを収集することになりました。
コードネーム「マラード」と呼ばれる大量情報収集システムは現実に稼働しており、全国にその存在が確認できました。福岡の電波部、太刀洗通信所は5つの小型アンテナが増設されたという情報通り、11基ものドームがありました。巨大なメロンに見えるのは、内部のアンテナがどこを向いて通信衛星の傍受しているのかを隠すためだそうです。専門家はこれにより、サードパーティだった日本が、ファイブアイズに近づいたと見ています。
国家によるネット傍受への危惧、国民はこれでいいのか
もともと目的は市民に紛れ込むテロリストを探し出すというものでした。しかし衛生通信は、集めようと思えば、何でも収集できる。マラードは1時間あたり50万回のネット通信の傍受を行います。しかしその中で安全保障条のリスクはたったの1件。かのスノーデン氏は番組の中で「サイバーセキュリティ上の脅威となるメールは1件だけ、後の49万9999件について、どう考えればいいのでしょうか。」と問いました。
これら収集された情報がどう扱われるかを知っているのは、ただ日本政府、内閣情報調査室だけです。
ネット諜報導入を推進した内閣情報調査室では、北村内閣情報官が6年以上もトップを務めています。
NHKスペシャル「日本の諜報」、政府によるネット諜報について機密ファイルに基づき告発。防衛省電波部は、米NSAと共同でマラードというシステムで民間衛星を経由するネット情報を1時間に50万回の能力で傍受しているという。プライバシーは政府にだだ漏れではないか。NHKよい仕事をしています。 pic.twitter.com/OhiLny2lvG
— 宮本徹 (@miyamototooru) 2018年5月19日
マラードは今後さらに諜報能力強化を目指すという方針を打ち出しています。
国民の知らないところで、社会的な議論もないまま、私たちが日常的に発する情報は全て国家により取集されているという現実がすでにあります。これが一体何を意味するのか、私たちが問われていると番組は指摘して終わりました。
ネット上で大変評価されていた番組「NHKスペシャル/日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」を後追いで観ました。
国民が知らない間も、ずっと存在し続けていた防衛省電波部、また日本のCIA内閣情報調査室は、安倍政権2012年以降、新たな動きが加速したことなど、NHKとは思えぬ内容に驚きました。
戦後アメリカの強い要求に基づいて設立された(現)内閣情報調査室が何を目論んでいるのか、トップの北村内閣情報官は、前川前事務次官のでっち上げスクープや詩織さん事件の際に黒幕のように取りざたされた人物です。どうしても「支配」という言葉がちらつきます。
肥大化する情報収集の目指す先を念頭に、要点と思われることをまとめてみました。