8割以上の人は福島の汚染土の再利用を知らない / オリンピック向けの復興の裏側には高線量

 政府は、汚染土の約99.8%は安全に再利用できるという試算をし、ほとんど公共事業などに利用するつもりだと決めました。どうやったら汚染土が「安全」になるのか理解不能ですが、環境省は1kgあたり8000ベクレル以下であれば、一旦集めた汚染土をフレコンバックから取り出し、道路や園芸農地に再利用する方針です。福島県内では、この「安全な利用法」の実験が計画されていましたが、住民の反対で止みました。
 ところが福島県外に運ばれる汚染土は、国ではなく各自治体が処分の責任を負います。にもかかわらず、こうした計画があることを、福島県外では8割以上の住民が知らないことが判明しました。
 これを受けて環境省は全国の自治体を対象に、この計画の周知に努めるそうですが、計画の内容よりも汚染土がどんな手品で安全になるのか説明されるのでしょうか。
 ジャーナリストの烏賀陽弘道氏は、事故直後から被災地を取材されていますが、未だに被災地の現状は過酷でとても復興には程遠いと伝えています。今回のレポートでは、汚染土同様、安倍政権の異常な政策を浮き彫りにされています。
 曰く、2020年3月には仮設住宅の全廃、避難民を退去させる。高線量地帯の鉄道を復旧させ、JR常磐線を全線復活させる。こうして無理やり原発事故からの復興を国内外に印象付けて、オリンピックの聖火ランナーを福島からスタートさせ、復活のプロパガンダに利用する、というものです。
烏賀陽氏は、このプロパガンダと打ち捨てられた避難民の家屋を、あたかも辺野古のようにシビアに対比させるのです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)






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福島の除染土の再生利用 福島県以外の8割超「内容知らず」
引用元)
福島第一原発の事故に伴う除染で出た土を再生利用する国の計画について、内容を知らない人が、福島県以外では8割を超えるという調査結果がまとまり、環境省は、周知に努めるとしています。

原発事故のあと福島県内で行われた除染で出た土について、政府は、2045年までに福島県外で最終処分することを法律で定めています

これを受けて、環境省は、最終処分する量を減らすため、放射性物質の濃度が一定の基準を下回ったものは、道路や防潮堤の盛り土などとして県内外の公共工事などで再生利用する計画です。
(以下略)
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フクシマからの報告 2018年晩秋 3・11から封鎖されたままの封鎖地帯を行く 灌木と雑草にのみこまれていく集落
引用元)
(前略)

 (中略)今もなお封鎖が続くエリアの内側はもちろん、その外側、除染が終わった区域でも、現実は過酷である

除染しても事故前の放射線レベルには戻らない。それどころか、広大な山林が除染されないまま残っているので、じりじりと線量がまた上がっている

(中略)
こうした現実の一方、政府は奇妙な政策を次々に発表している。その動きは、東京オリンピックが開かれる年=2020年の3月、つまり今から1年数ヶ月後に集中している。3月は言うまでもなく、原発事故から9年目の月である。

*福島第一原発事故の避難者のための仮設住宅を全部廃止する。避難民を退去させる

*JR常磐線(上野〜仙台)で最後まで不通のままになっている富岡〜浪江駅間(同原発の約2キロ西を通る高線量地帯)を復旧させ、全線開通させる

 そうやってお膳立てが整った2020年3月に、東京オリンピックの聖火ランナーが福島県を出発する

(中略)
 政府は2020年3月、つまり原発事故9年目に、仮設住宅から避難者を追い出し、JR常磐線を復旧させるという日程を設定した。過去の経緯から考えて「復興は達成された」という宣伝に使われるだろう

 時同じくして、その福島から聖火ランナーが出発する。当然、世界のマスコミがそこに集まるだろう。政府は、東京オリンピックを「原発事故を克服した」「原発災害から復旧した」という宣伝(プロパガンダ)に使おうとしている。私はそう見ている。
(以下略)

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