宮城県がコンセッション方式での水道事業の民営化へ向けて条例改正 / 九州の10市は「水道民営化検討しない」

 宮城県が全国初、コンセッション方式での水道事業民営化に向けて、条例を改正しました。
20年間で200億円の経費削減を見込んでいます。
昨年末に、民営化を促進する改正水道法が強行採決で成立し、京都府や浜松市がコンセッション方式の導入を進めていました。しかし、浜松市については、市民が「命の水を守ろう」と大反対し、結局、民営化計画は無期限延期となっています。
 西日本新聞は、九州各県の主だった計10市にコンセッション方式導入を質問したところ、全ての市で「導入予定はない」と回答したようです。拍手。この西日本新聞は、昨年末の改正水道法が成立した時点でも社説で、コンセッション方式の安易な導入に警鐘を鳴らしていました。企業が参入した場合、料金の高騰や、水質悪化を招き、海外では再び公営化に戻したことも紹介していました。
 現在、検針業務のみの委託など、そろりと外資が入って来ている自治体も多いようです。「水道事業の民間委託の是非は、あくまでも自治体の判断」、命の水は、最終的には市民の手に委ねられています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

————————————————————————
上水道含む水道運営権の民間売却 宮城県が全国初の条例案
引用元)
全国で初となる、上水道も含めた水道事業の運営権を民間企業に売却する方式の導入を目指している宮城県は、企業を選定する際の基準などを盛り込んだ条例の改正案をまとめました。県は、20年間で少なくとも200億円の経費が削減できるとしていて、早期の成立を図る方針です

宮城県は、上水道と下水道、工業用水の3つの水道事業の施設を保有したまま、運営権だけを民間企業に売却する「コンセッション方式」の導入を目指していて、実現に向けた条例の改正案をまとめました。
(中略)

水道事業の運営を民間企業に売却する方式をめぐっては、浜松市が去年4月から下水道で導入しましたが、上水道は、水質悪化や料金の高騰を懸念する市民の声の高まりを受けて、導入を延期しています。
(以下略)




————————————————————————
水道民営化検討せず 九州10市 災害対応、高騰懸念
引用元)
市町村を基本単位とする水道事業の運営権を民間企業に委託する「コンセッション方式」の促進を盛り込んだ改正水道法が今月、施行された。水道事業の基盤強化が目的だが、西日本新聞が九州の政令市、県庁所在市、中核市の計10市に同方式の導入について尋ねたところ、全ての市が「導入予定はない」と回答した。最も身近なインフラで命に直結する水の「民営化」への懸念の大きさを裏付けている。
(中略)
水道事業の民間委託の是非は、あくまで自治体の判断だ。民営化の動きが広がっていないことについて、厚労省水道課は「コンセッションは(官民連携の)選択肢の一つ。地域の状況に合わせて検討されるものと考えている」と話した。
(以下略)

————————————————————————
社説 水道「民営化」 安易な導入で禍根残すな
引用元)
改正水道法が先の臨時国会で成立した。日本の水道事業は普及率の高さ、水質の良さ、漏水率の低さなど世界有数の完成度と評されてきた。その歴史的転換につながる可能性がある。

 改正法は、水道事業の経営基盤の強化が目的という。主に市町村単位で経営されている事業の広域連携や、施設の所有権を自治体が保持したまま運営権を民間に売却する「コンセッション方式」の導入が柱である。
 水道は命にかかわる大切なインフラだ。健全に維持されなければ暮らしは成り立たない。「民営化」でサービスが低下したり、安定供給に支障が生じたりしないか。残念ながら、懸念について国会審議が尽くされたとは言えない。民間売却の是非は自治体が判断する。安易な民営化は将来に禍根を残しかねない。慎重な検討を求めたい
(以下略)

Comments are closed.