注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
貧困層のデモと中産階級のデモ活動の違いとは
何年も調査をしていると、時には奇妙な点が浮かび上がってくることがあります。そして思いもかけない繋がりが見えてきたりするのです。
点と点を繋ぐ基本線はこういうことです。選挙権を剥奪された貧困層の人々が、国家や企業の惨い仕打ちに対して抗議行動を起こしたとしても、超富裕層の支配者は完全なパニック状態に陥ったりはしません。
そういった状況には、うまく対処できると思っています。支援だの、生活保護だの、同情だの、守るつもりのない空約束を上乗せすればよいです。【不満の矛先を】逸らして、問題を別の方向へ導いてしまえばよいのです。何の解決にもならないグループを作って【誤魔化して】しまえばよいのです。
ですが、どうみても中産階級と思しき人々が抗議活動に現れると、警報のベルが鳴り響きます。中産の奴らは、支配者側と同盟を組んでいる筈じゃないですか。彼らは体制から大変な特権を得ているのですから。
他の【貧しい】連中に悍ましいことが起こったとしても、見て見ぬフリをする方法を知っている筈です。自分たちが【既に】手にしているものを守るのに、大半の時間を費やす【のが中産階級】です。
中産階級が叛旗を翻した瞬間、奇妙な物事が起こります。【全く】予期していなかった事態が。
私が知っている3つの例を【ご紹介しましょう】。
例その1:カリフォルニア州の核兵器開発
『LAウィークリー』誌の記者としてまだ私が駆け出しだった1982年、ビル・ペリーという人物をインタビューしたことがありました。彼は、カリフォルニア州バークレーにあるローレンス・リバモア研究所の広報担当トップという豪奢な職を辞めたのです。より優れた核兵器を研究していた場所です。
ビル曰くその役職は、上を目指して長年苦労してきた彼にとって集大成ともいうべきものでした。【とうとう】頂点を極めたのです。その頃の彼は、洒落たホテルで記者会見を開くことだって出来ました。彼の催しを取材しようと、【沢山の】記者が群がったものです。夢が叶った【瞬間】でした。
当時は「核兵器凍結」と呼ばれる運動が世界中で展開され、原子兵器や水素兵器の製造を一時停止せよと訴えていました。ローレンス・リバモア【研究所】の門の外では、抗議活動をする人々が毎日集まっていたのです。
#OnThisDay in 1901 physicist Ernest Lawrence was born. He invented the cyclotron, a device for accelerating nuclear particles. He was a lead scientist on the #ManhattanProject and won the @NobelPrize for Physics in 1939. @BerkeleyLab & @Livermore_Lab are named in his honor. #TBT pic.twitter.com/8VWIYaRJfX
— Energy Department (@ENERGY) August 8, 2019
最初の頃は、ビルは彼らのことを気にも留めていませんでした。ですがやがて、【外の様子を】眺めるようになります。スーツなど、ビジネス向けの服装をした人々がどんどん増えていくではありませんか。中産階級の人たちです。それが彼を揺さぶりました。
彼は自分の役職や研究所の活動の本当の意味を考え始めます。そして良心が目覚めてしまいました。彼は“支配者側”の代表を務めていたのだ、と言ってよいかと。
ある日、彼は辞表を提出し、人生で最も楽で割の良かった職を辞めてしまいました。そんなことを誰が予見できたでしょう?
例その2:ニュージャージー州のワクチン強制法案
つい最近、ニュージャージー州の議員らが児童のワクチン接種を宗教的な理由で適用除外できる【余地】を無くす法案を通そうとしていました。話し合いが行われていた建物の外では、毎日大勢の抗議活動グループが集まっていました。
New Jersey lawmakers failed to pass a bill this week that would have eliminated religious exemptions for school-required vaccinations.
— CBS Evening News (@CBSEveningNews) January 14, 2020
A new poll shows a 20-year drop in vaccine support among all age groups. @megoliver reports https://t.co/SIjG62fOMh pic.twitter.com/Gkz72wpshE
これもまた、多くは中産階級の親たちでした。彼らは【支配層に唯々諾々と従う】幸せなロボットだった筈なのに――そうではない【と言うのです】。全く違うと。
ワクチン賛成派の議員らは、突如として法案を通すのに必要な数の票を失っていました。
例その3:武漢市の大気汚染
昨年の夏、中国の武漢市で抗議活動が勃発しました。大気汚染が非常に深刻なレベルにまで達することの多い場所です。容赦ない警察国家で、勝ち目など全くないというのに、大勢の人々が街頭に繰り出しました。彼らも、その子供たちも、重度の肺疾患に悩まされていたのです。
ここでもまた、抗議活動をしていた人の多くは武漢という巨大な経済圏で、まさに恩恵を受けていた人々でした。【すなわち、】中産階級です。
Overwhelming the courage of #Wuhan's population standing against an autocratic and illiberal regime. The only possible sustainable future for #China is a China where democracy, freedoms and #HumanRights become a reality. #WuHanProtest #HongKongProtest pic.twitter.com/l8aKoYzLwJ
— Alexandre Krauss (@AlexandreKrausz) July 6, 2019
そして数箇月がこの有り様。中国【政府】は、大変都合のよいコロナウイルスとやらが非常に重度の疾患を引き起こす、と急に発表したのです。エピデミックだとか称するものの主な特徴の一つは何かって? 肺疾患です。
それだけでなく、武漢市全体が封鎖されねばなりません。抗議活動ですか? 完全に消え去りましたよ。法的に禁止されてしまいましたからね。
支配層の視点から物事を眺めると
選挙権を剥奪された貧困層の人々が叛旗を翻した場合は無視されるか、【別の目的のために都合よく】“再利用される”というのに、中産階級の場合は大いに注目を集めるというのはフェアでしょうか。勿論、否です。
ですが現状はそうなのです。おまけに以下のように考えてみれば、納得して頂ける話かと。
国家あるいは大手企業の立場から見れば、中産階級の人々は【一定程度は】成功するよう教育を施されてきた存在です。きちんとプログラムされた実体として【相応しい】思考を抱くよう、彼らには“見返り”を与えてきたではありませんか。国家がすることは何であれ、支持するべきなのです。そこから恩恵を受けているのですから。
国家の視点からすれば、こういった“見返り”が通用しなくなると問題発生、という訣なのです。
中産階級の相当数が一箇所に集まり、【街頭に】出現するようになり、【支配層という】うんと強いドラゴンが自分たちに煙を吹きかけてくるのにはもううんざりだ、とはっきり表明するようになると、問題はますます大きくなります。
裸の王様に現実を突きつける中産階級
ここで4つ目の例を挙げておきましょう。『Vaxxed2【ワクチン告発 2】』という新しい映画をご覧あれ。ワクチン接種した自分の子どもに何が起こったか、胸が張り裂けるような事態を親たちが語っています。障碍です。脳の障碍。【ドキュメンタリー映画に登場する】親たちには、説得力があります。一部は外見も語り口も、中産階級の界隈に住んでいそうな【ごく一般的な】中産階級と思しき人々です。
彼らは幸せを享受して、何の不満もなく、社会の諸問題からは隔離されていた筈です。でも、【実際は】そうではなかった。嘆き悲しみ、憤っていたのです。かつて【の中産階級】は、他の人々を悩ますような通常の悲劇から自分たちが保護されていたと信じていたかもしれません。ですがもう、そんなことを信じてはいないのです。
国家とそのパートナーたる諸企業は、権力とそれがどう作動するかに対して画一的な見解を持っています。【表面上は】素敵なプロパガンダやメディアの戯言で塗りたくっておき、その裏では自分たちが王様だと思っているのです。王が支配し、其の他全員が従うのだと。
この概念が崩壊し始めると、王たちは自分自身を見つめるようになり、着ていた服は一体どこへ行ってしまったのだ、何故ハダカなのだろう、と思い始める訣です。
ジョン・ラポポート
調査報道記者として30年間、政治・医療・健康についてCBSヘルスウォッチやLAウィークリー、スピン・マガジン、スターン其の他の欧米の新聞や雑誌で執筆し、ピューリッツァー賞の候補にも推挙される。世界政治・健康【問題】・論理学・創作力について世界中の聴衆を前に講演やセミナーを実施。
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翻訳:Yutika
【 】内は訳者の追記部分です。元記事本文には一切ありませんが、訳文は日本語での読み易さを優先して、ツイッター画像・動画および見出しを加えました。また、原文とは異なる形で文や段落を分割することもあります。
ちなみに「訣」という漢字は「わけ」とも読みます。詳しくはこちらのコメント欄後半の解説をご参照ください。
随分と前からワクチンの闇を暴いていた医療ジャーナリストと言えば、以前翻訳したジョン・ラポポート氏です。久々にサイトを覗いたら、色々と面白い切り口の記事がありましたので、これから少しずつご紹介していけたらと思います。
英語で感染症の流行は3段階。中国政府が患者数を相当少なく発表しているという意見もあるので、現在は「エンデミック」・「エピデミック」・「パンデミック」のどの段階にあるのかはっきりしません。
ラポポート氏は何にせよ支配層の思惑があると見ています。特に武漢市の大気汚染デモ、私はすっかり見落としていました。挿入したツイッター画像で確かめると、統制国家の中国なのに大変過激。この線で考えていくと香港の暴動も鎮圧化できますな、うむむ。
免疫力は精神状態やストレスからも多大な影響を受けます。ということで今回は、「私たち市井の人間が立ち上がったら、ピラミッド支配層のトップは結構ビビるんだよ」というポジティブなニュースを。シープルなめんな、ってヤツです。
誰ですか、「自分は中産階級というよりも、どっちかというと、イヤかなり……」などと卑下する方は。人生ハッタリです! 皆さま、2020年は中流っぽくシャキッと着飾って、ストリートっぽくガツンと行きやしょうぜ。