「種苗法改正案」今国会の成立は見送り、廃案を目指して引き続きの抗議を 〜 農水省OB大川雅央氏の誠実なメッセージ「自家増殖の権利がいかに重要か」

 非常に危惧されていた種苗法改正案が、今国会での成立を見送る「調整に入った」との情報が上がりました。無論、これもまた検察庁法改正案と同じく廃案になったわけではないので、引き続き反対の声を届けねばなりませんが、まずは喜ばしいです。
 この問題を提起されてきた印鑰智哉氏の20日のメッセージは、日本の転換点を予感させるものでした。1998年以来、農水省は「自家増殖の原則禁止」を着々と進め、この改正案で「総仕上げ」の段階でした。しかし世界に目を向けると農業の民営化、大規模化、工業化は破局的な結果を招くことが明らかとなり、今や国連でも小農化、生態系を守る方向への大転換が行われているそうです。ところが日本だけは売国的農政へ突き進んでいます。そんな中、印鑰氏は農水省にも尊敬すべき官僚がおられたことを紹介されていました。農水省OBの大川雅央氏は「農民の権利を実現するのは各国の政府の責任」という考えを基本に「自家増殖の権利の重要性」を説き、「種子は農業の元、人の命を支えるもの、地球の環境を守り、地域の文化を継なぐ」と明るいメッセージを伝えておられました。そうだった、「農林水産省は農民のための省」なのだと思い出しました。
 全国で粘り強く種苗法に抗議される方々に敬意と共感をよせつつ、今後の国会をしっかり見届けます。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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印鑰 智哉
引用元)
(前略)
 この種苗法問題の取り組みを始めたのは日本の種子を守る会で元農林水産省農蚕園芸局種苗課審査官も務められた大川雅央さんを講師にお願いした勉強会からだった。大川さんは食料・農業植物遺伝資源条約という2001年にできて、今や世界の大部分が批准している国際条約を日本が批准するように活躍された方で、種苗法にも精通しておられる。その大川さんが自家増殖する権利がいかに重要か、育成者の権利とどうバランスさせることが重要かを強調されていたことが印象に残っている。

 農水省の中にもこのような方がおられたことにはとても勇気づけられる。今や、世界一の民間企業のための国にするという安倍政権の方針の中で、大川さんのような考えの人は農水省ではさぞかし冷遇されているだろうことは想像できるが、きっとまだおられるに違いない。農民のための省なのだから、いて当然だろう
 大川さんが農文協の『季刊地域』に書かれた原稿は無料公開されている。農文協に感謝しつつ、それを紹介したい。
“人類の生存、農作物の多様性のために 「農家の権利」を育みたい”
http://www.ruralnet.or.jp/s_igi/image/c33_01.pdf
(以下略)
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配信元)

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