皆さま、大変長らくお待たせしました。あい∞んさんの在宅看取りのお話が再開です。3月のある日「お別れ」を念頭に置くように看護師さんに伝えられた、あい∞んさん。いよいよ在宅での看取り介護を始められました。しかし、あい∞んさんにとっては初めてのことばかり。しかもお父様とは、これまであまり会話が無かったあい∞んさん。残された貴重な一日一日をどのように過ごされたのか伺いました。
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あい∞ん在宅看取り介護7
Q.お見送りを自然なものにしたいと願って看取り介護を始められました。あい∞んさんの覚悟は、手術後のケアの時とはかなり違ったと思います。どんなことを意識されましたか。
まず、よ~く父を観察をする、と決めました。
そして観察していて、ふっ…と頭に浮かんできたことを実践しようと思いました。日々の記録や観察をして沸き起こってきた気付きや、実践してみての改善点、注意点、教えて戴いたアドバイスなどを忘れ無いようにメモをして生かすようにしました。
特に、起こる事に対して、悪い事と決め付けないで、ありのままを受け入れる様に努力を(今の自分に出来うる範囲で) しました。
寝たきりでも、父がなるべく快適でいられる様に…「身体さん」を緩めたり、清潔を保つ為に工夫をしました。
そして、、、父が死ぬ時に、心も体もなるべく苦しまなくて良い様に、自分に出来ることをしよう、想い浮かんだことは率直に伝えようと思いました。
Q.あい∞んさんのお話を伺っていると、「身体さん」という表現がよく登場します。
面白いなと思うのですが、その時の「身体さん」は、お父様とはまた違った対象として見ておられたのでしょうか?
面白いなと思うのですが、その時の「身体さん」は、お父様とはまた違った対象として見ておられたのでしょうか?
私にとって「身体さん」は、、、、
父の魂の乗り舟で、父であるけど父そのものでは無いような感覚です。
「身体さん」の中に入っている父(の魂)が、身体に対して無茶をしたとしても、
身体さんは黙って受け入れ健気に働いてくれていて、「もぅ無理、、、、」と限界が来たら症状や病気として表に現れる様な感じ…
誰の身体さんも、みんな素直で優しく懐の深い良い人格みたいな感覚でおります(笑)。
Q.あい∞んさんのオリジナルの工夫を教えて下さいな。
すぐに思いつくのは、父の身体を「緩める」ことでした。ずっと寝たきりなので体重がかかっている部分がうっ血し、あちこちが痛くなるのを防ぐためです。
以前に、私自身がホットタオルで施術していただいた経験がありました。ホットタオルで身体が緩まる素晴らしさと感動を私自身が体験させていただいていたので、父にも応用しました。
たらいに熱っっいお湯を入れて、部屋まで運びます。溢れないように、たらいの下にはペットシーツを敷きました。タオルを浸して、素手ではタオルが持てない(絞れない)ほど熱い湯なので、薄手ゴム手袋+ポリエチレン手袋のW重ねにして、手をやけどしない様に気をつけてタオルを絞ります。絞ったら、肌に当ててやけどをしない熱さ(でも熱々)になるまでタオルを調整して、父の身体に当ててあげます。
タオルを当てて、そのまま少し軽く押さえておくと、温熱効果で血行が良くなって、ほぐれて気持ち良さそうでした。
首に当てる時も、右側、首の真後ろ、左側と分けて、ゆっくり温め、少し揺らして筋肉をほぐしてあげると緩んで楽になる様でした。
他にも身体を「緩める」方法として、父の両足首を持って左右にユラユラ揺らしました。気持ち良さそうにしていました。
お風呂に入れない為、身体全体も熱いホットタオルを押し当てて、身体を拭いてあげると気持ち良いようでした。
部屋の室温を上げておくことと、乾いた大きなバスタオルを用意しておき、冷えないように気をつけました。父の場合は服を着たままでホットタオルを行い、後で着替えをしていたので、ホットタオルの最中に肌着が濡れます。濡れた肌着で寒くないようバスタオルをかけていました。
また私が整体で学んだ腕や足などの緩め方も、ホットタオルをしながら応用してみました。
看護師さんが「ホットタオルは電子レンジで作ったら早くて冷めにくいよ」と教えて下さいました。その方法は多分、お湯よりもタオルが高温になるので、やけどをしないよう、ちゃんと確認しないとですね。
その日の父の様子と私の体調を考えながら「顔と手だけ」「上半身全部」「下半身全部」「全身」というように臨機応変にしました。全身をホットタオルするとかなり時間が掛かり、大変です。
そうだ、頭だけでも洗ったらサッパリするかも…と考えて、使い捨てのベッド防水シーツの上に、大きいごみ袋、ごみ袋の中に大判の吸水パットを幾つか敷いて、父の頭をその中に入れて洗髪しました。
たらいに適温のお湯を準備しておき、泡のベビー石鹸でシャンプーし、お湯を入れたペットボトルシャワーで洗い流す、という手順です。
看護師さんに「良い方法を思いつかれましたね!」と褒められ、おすすめの方法です♪
私には介護の具体的な知識がほとんど無い状態でした。なので、解らないことは何でも質問して教えて頂きました。父の元に来て下さった看護師さんは皆様とっても親切で「何でも解らない事は訊いて下さいね。」と言って下さって、毎回の父の身体の検診が済んだ後には、「この後、身体の清浄や着替えとか、痰の吸引とか、何かお手伝いすることがあったら言って下さいね~。」と優しく言って下さるので、安心でした!
介護の始めは質問する内容自体が自分でも解りません。なので、一つ一つ手探り状態でした。
看護師さんにアドバイスを頂いて、実際に行ってみて気付きを深めたりして、やっと質問するところまでたどり着ける様な感じでした。
実際に教えて頂けて、「本当に良かった~」ということは沢山あります。
例えば、
寝たきりでストーマの袋の交換?!
出来るの?どうやって!?
これも看護師さんに最初にやって頂いて、観察して、上手く出来る様になりました。
その時にペットボトルシャワーを作っていただいたのです。空のペットボトルの蓋の部分に幾つかの穴を開けて、ボトルに丁度良い温度のお湯を入れてシャワーとして使います。お湯の量が沢山必要な時には、たらいに適温よりちょい熱めのお湯を入れて、ペットシーツの上にそのたらいを置いておき、足し入れます。その時たまたま用いたペットボトルが軟らかめだったのですが、片手でボトルを押すとお湯の量が調整しやすくて便利でした!
このペットボトルシャワーは大活躍しました。
紙パンツに敷いたパットを取り換える時に、患部が尿でヒリヒリしたらいけないので毎回ベッドの上で湯洗いしたり、一日に一回は必ず泡のベビー石鹸で「おしも」を隅々まで清潔にする際にウォシュレットとして役立ちました。
教えて頂いて一番難しかったのは「口腔スポンジで痰を絡めとる」ことです。
当初、父の胸部にゴロゴロ音がしていた時に、看護師さんが「痰が絡まっているかもしれないから、吸引器で吸引しても良いですか?」と訊かれました。
祖母(父の母)が無くなる前に、すごく痰が出て何度も看護師さんを呼んで吸引して頂いた記憶が鮮烈でした。吸引されるのも、すごく苦しそうだったので、一瞬「どうなんだろう!?」と迷い、、、、
「吸引器を使う以外の方法で私にも出来る方法があれば教えて下さい!」とお願いしました。
そもそも看護師さんは吸引器を置きっぱなしにして帰られないとのことで、看護師さんが居られない時には私が自力で何とかしないといけない…。
それならば尚更、機械に頼らず出来る方法を習得しないと!と思いました。
口腔スポンジを少し濡らしてから、喉の奥の方にある痰を絡めとるのですが…最初は喉の奥まで入れるのが怖い…。
だけど、自分しかやる人が居ない!と思って何度かやっていたら、痰の存在が解った!という時が来て(笑)その時は嬉しかったです。
サッと、でも優しくしてあげないと「オエッ」となるので、コツを掴んで上手く出来るようになりました。
「なんくるないさー」は、挫けずに正しく歩むべく努力すれば、いつか良い日が来る、という意味だそうです。生きている中で沢山の色々な事が起こるし、沢山挫折もするけど、「まるっ」と今を受け入れて、「なんくるないさぁ~」を心の杖にして生きれたなら良いな~♪
(あい∞ん)