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メキシコ便り(79):民主主義が目の前で展開されたドラマをご堪能あれ♪
フリージャーナリスト、母親として不正を訴え、正義を求める!
11月25日(水)の朝の大統領プレス・コンファレンスで、フリージャーナリストのジュディス・ヴァレンスエラさんが、約8分間の訴え(下の動画:1時間45分あたり〜54分あたり)をしました。それをコンパクトに要訳してみました。
11月25日(水)朝の大統領プレス・コンファレンス
ジュディスさん:
「今日この場をお借りして、ジャーナリストとして、そしてまた母として人権侵害について訴えさせていただきます。私の息子は、13年前、20歳のときに麻薬組織の犯罪者として逮捕され連邦政府の刑務所に入れられました。全くの無実でした。
息子は2008年に始まったカルデロン政権(2006〜2012年、エル・チャポのシナロアカルテルとズブズブな関係だった政権)の麻薬撲滅戦争*の被害者です。逮捕数を多く見せたかったのか、私の息子以外にも無実の若い息子さんが逮捕されたケースは多々あり、多くの母親は私のように胸を痛めています。
*表向きには麻薬組織カルテルを撲滅するものでしたが、カルデロン政権はシナロア・カルテルを庇護し、他のカルテルを撲滅していた。
カルデロン元大統領(2006〜2012年)Y... “@FelipeCalderon ya huele la prisión”. pic.twitter.com/upZxHfvzwS
— Daniel Marmolejo (@HomoExNovo) December 15, 2020
私の息子、ラファエルは拷問され、4年後にやっと10年の刑が下され、8年後にやっと最高裁が拷問に対しての取り調べをするように命じましたが、その後、判事が変わりそのまま保留になったままです。
私の息子は約3年前、2018年3月2日に刑を終えていますが、未だに釈放されていません。
国連の人権委員会が息子のケースを調べ、去年メキシコに即、釈放するように求めましたが、未だ何も起こっていません。2年ほど前に私は大統領に手紙を書きました。内務大臣にも、公安大臣にも手紙を書きました。ありとあらゆるドアを叩きました。ドアが開いたところは、調べてみましょうといい、その後、何も起こりませんでした。
私の息子は、4回の精神的検査と4回の肉体的検査で拷問されていることが完全に証明されています。
大統領、私の息子は私がジャーナリストをしているために、カルデロン政権に逮捕されたのを私は確信しています。当時の政権は大量殺人政権で多くの人を苦しめました。私の息子のように無実で刑務所に入っている若者がたくさんいます。
大統領、この件は独立した司法の案件なので大統領は何もできないというかもしれません。しかし、大統領、あなたはこの国の治安の責任者です。なので私は大統領がこの問題を解決することを要求し、正義を求めます。正義がなされるために、これ以上、私は他に何をすればいいのか言ってください。」
大統領:
「早速、あなたの件に取り掛かりましょう。そして、はい、これは私たちの責任です。内務大臣に頼みましょう。内務大臣と直接、話をしてください。そしてあなたの言っていることが真実であるならば、あなたの息子は刑務所にいる必要はありません。すぐに正義を求めなければなりません。司法の独立性を尊重するのはもちろんですが、司法と行政は協力関係にあります。この件が解決できるように、私たちは最高裁判所長官と話をします。」
ジュディスさん、再び登場!
約2週間後の12月10日(木)、朝の大統領プレス・コンファレンスに再びジュディスさんの姿が!大統領の配慮でしょうか、一番最初に指されました。(1週間コンファレンスに通い続けても指名されなかったり、1ヶ月通い続けて初めて指名される記者がいるなか、前回も今回も指名とはかなり稀なケース。)
ジュディスさんは、感情をグッと抑えた様子で、ため息混じりに終始話しました。ジュディスさんの心の痛みがひしひしと伝わりました。以下、6分ほどのジュディスさんの語り、下の動画(38分あたり〜44分あたり)をコンパクトに要訳しました。
12月10日(金)朝の大統領プレス・コンファレンス
ジュディスさん:
「私は15日前にここに来ました。私の息子は13年間、無実で刑務所に入っています。内務大臣がおっしゃるように司法は法律に則ったプロセスを行っていることはよく理解しています。大統領、あなたは私が前回来た時に、これは司法の問題ではあるが、あなたにも責任があることを認めました。もちろん私は司法の独立性を尊重することを十分に理解しています。しかし、私は正義が行われるためには、司法以外も関わることが必要だと思っています。
大統領が話し合ってくださっているのはありがたいですが、でもその間、私はずっと息子の帰りを待ち続けているのです。あと何年、何ヶ月待てば良いのでしょうか?裁判所は閉まっています。息子の拷問は取り調べはそのまま。大統領、私が前回ここに来たのは、もうこれ以上、他に行くところがなかったのでここに来ました。
私がここに来た理由は、何百万人の人があなたを信じてあなたに投票し、あなたなら汚職を撲滅し、不正なしにきちんと国を法治し国を変えてくれると信じたからです。大統領、または、そこ(壇上)にいるどなたか答えてください。なぜ私の息子は無実で10年の服役を受け、服役後、3年も経つのに未だ釈放されず拷問され、バッジを付けた犯罪者は何もなかったかのように振舞い放置されているのですか?これが法の支配ですか?教えてください。」
大統領:
「ここでオルガ・サンチェス博士(内務大臣:彼女は以前最高裁判官だったので、メキシコの法に精通)に一つ質問させてください。私が大統領として。。。(数秒の間)。。。彼を恩赦することができますか?」
内務大臣が椅子から立ち上がりマイクに向かうなか、大統領は内務大臣を見ながら鋭い目力でこう言いました。
大統領:
「もし可能であるなら、私は今日(恩赦を)やります‼️」と人差し指を立てキッパリ言い切りました。✨男前度200%✨この瞬間、popoちゃんの瞳孔、ぐ〜んと開く!
内務大臣:
「確かにこの件は全くもってどこから見ても不正です。そして未だに刑務所にいる理由は、拷問について取り調べ中のためです。拷問を受けたことは、すでに4つのプロトコロで証明されています。とても矛盾しているのですが、10年の刑を終え、今は刑が失効した状態で刑務所にいます。」と、ここまで皆さんのほうを向いて話していましたが。。。
ここから大統領のほうを見ながらこう言いました。
「大統領の質問への回答はこのようになります。恩赦は刑が存在するときに可能です。この時点では、刑が存在しません。」
これにはpopoちゃん、顎が床まで落ち、目が点に!
アンビリーバブル!!!
これを聞いた瞬間、大統領のお顔は曇りました。すぐにその後、大統領は内務大臣にマイクなしで何か言っていましたが(音声微量で聞き取り不可能)。。。
内務大臣:
「この件は本当に悲劇的な不正ですが、恩赦は刑があるときに可能です。一刻も早く釈放されるように私たちは全力を捧げています。」
この瞬間、きっと内務大臣がメキシコで一番不人気になった瞬間だったに違いない。。。popoちゃんにとって「法とは何?」を考えさせられた瞬間でもありました。果たしてこれで納得した国民はどれくらいいたのでしょう?
大統領:
「今日、最高裁判所長官と直接話をします。そして月曜日にあなたに回答します。」
大統領は内務大臣の説明に全く納得していなかったご様子。
その後、急展開!
翌日、12月11日(金)朝の大統領プレス・コンファレンスの冒頭で大統領はこう言いました。(下の動画24分あたり〜)
12月11日(金)の朝の大統領プレス・コンファレンス
大統領:
「昨日の、不適切な法の適用のため人権侵害を受け、無実で13年刑務所に入っている若者の件ですが、昨日、最高裁判所長官に手紙を書きました。そしてすぐに昨日返事がきました。最高裁判所長官が至急、介入したおかげで、担当の裁判官は若者を釈放する決断を下しました。今朝、3時半に若者は釈放されました。道徳心のある、正直で公平なサルディヴァル最高裁判所官長に感謝します。」
写真左:サルディヴァル最高裁判所官長Garantizada la independencia judicial y la división de poderes, coinciden el Presidente y el Ministro Presidente de la Suprema Corte de Justicia, Arturo Zaldívar. #LasNoticiasConKarlaIberia, con @karlaiberia, síguelo por el @ElNueveOf 9.1 de TV abierta, 109 izzi, 150 Sky pic.twitter.com/WWkFok5J1z
— Noticieros Televisa (@NTelevisa_com) April 4, 2019
そして、その後、その場で大統領から最高裁判所長官への手紙と最高裁判所長官から大統領への手紙を公開し、大統領の側近ヘススさんがすべて読み上げました。(↓)
その後、質疑応答で大統領がある記者を指名しその記者が起立をしたとき、「すみませんが、お礼を言わせてください!」と後方から女性の声が割り込んできました。そう、あのジュディスさんだったのです。(動画1時間25分あたり)
ジュディスさん:
「息子は釈放されました。とても感激していて感謝の言葉が見つかりません。大統領、本当にありがとうございました。もし可能でしたら、他の無実な若者たちの釈放もお願いします。本当にありがとうございました。」などと1分半ほど、胸いっぱいの感謝の意を繰り返し言っていました。
大統領はジーンときていたのか下を向いて「はい、ありがとうございます。」と照れくさそうに言い、さっさと次の記者を指名していました。
釈放されたジュディスさんの息子、ラファエル・メンデス・ヴァレンスエラさんSe ordena la inmediata libertad de Rafael Méndez Valenzuela, tras una solicitud interpuesta por el titular del #IFDP. Estas acciones forman parte de la política judicial de atención a personas en situación de vulnerabilidad delineadas por el Ministro Presidente @ArturoZaldivarL pic.twitter.com/9mnW0i6PRM
— Defensoría Pública Federal (@defensoriaifdp) December 11, 2020
一見落着!
よかったよかった〜!
よかったよかった〜!
¡Viva Mexico!
(メキシコ万歳!)
(メキシコ万歳!)
(popoちゃん)
そんなたまに残念な大統領ですが、今回は、朝の大統領プレス・コンファレンスで凄まじいドラマがあったのでそれを取り上げてみました。アメリカの最高裁判所でさえ信じられないような不正、裏切り行為があるなか、長年、汚職まみれのメキシコの最高裁判所に光が✨!あるジャーナリストが大統領プレス・コンファレンスで母親として息子の無実と不正を大統領に直接訴え、それが超スピードで解決。母親の息子への愛と国民の心の痛みをなんとかしてあげたいロペス・オブラドール大統領の思いがあらゆる障害を取り除き、民主主義が目の前で展開されたドラマをご堪能あれ♪頑張ってコンパクトにまとめるように心がけたのですが、3回に渡るコンファレンスでして、すみません、かなり長いです。😓
常に愛で政治をしているロペス・オブラドール大統領の男前さが特別にピカッっ✨と光ります!全世界にこんな大統領がいたら、世界はきっとすぐに愛💖と平和🍀に満たされるでしょう。
約1ヶ月ほど前のプレス・コンファレンスで、大統領はプレス・コンファレンスの動画は、事前の許可なく、著作権など気にせずに誰でもどんどん使用して良いと言ってくださったので、今回、遠慮なくバンバン使用しました!ここでも大統領は竹下先生の意向と同じ♪