アラビア半島の端っこにあるカタールという国

あ〜あ、ワールドカップも終わっちゃったあ〜。

べつに、サッカーに興味ねえ。

どれもこれも中身の濃い試合で、見逃すわけにいかなくて困ったよ。
特に、ドイツ戦、スペイン戦の勝利は、歴史的だった!

ニュースで見たけど、興味ねえ。

だって、あの「ドーハの悲劇」のドーハで大勝利なんだから!

「ドーハの悲劇」? なにが悲劇だったん?

知らないの?!
忘れもしない1994年開催のワールドカップ、アジア最終予選のイラク戦。
試合終了間際まで2-1でリードしていた日本は、初のワールドカップ出場に王手をかけていた。
だのに、ロスタイム残り数秒で同点ゴールを入れられて〜〜〜予選敗退。

「悲劇」ねえ・・・。

なのに、今回はワールドカップ本戦の大舞台で、ドイツとスペインに勝った。

そら、おめでとさんなこった。
で、おめえ、
カタールの噂は知ってんだろな。
ワールドカップ開催前から、賛否両論の嵐だったんだぞ。
知ってるよお。
カタールは、おカネで開催権を買ったってね。
でも、そんなの、オリンピックだって同じでしょ?
今や、世界中でやってることなんだから。

おめえの正義はどこ行った?
じゃ、カタールがどこにあるか言ってみろ。

はいはい、ここですよ。

ここ、色のついたとこ。
アラビア半島の端っこにある。

サウジアラビアが盲腸とすると、
カタールは虫垂みたいな。
にしても、ちっせえ国だな。
面積は秋田県と同じくらい。人口は250万で京都府と同じくらい。
ただし、カタール人はその1割。
あとの9割は外国人労働者って知ってたか?

てことは、カタール人は25万人しかいないのか。
にもかかわらず!
一人当たりのGDP(PPP)は世界第4位。
天然ガスの埋蔵量は世界第3位。
一人当たりのCO2排出量は世界第1位。
(
Wiki)

CO2排出量が第1位なのは、不名誉だけど。

それを不名誉と見るのは、おめえも地球温暖化サギに洗脳されてるな。
じゃ、ワールドカップの開催された首都ドーハはどんな町だ?

ほうほう、なかなか暑そうなところだ。
外に出ると、メガネもカメラのレンズも曇っちまうのか。

とても外は歩けないから、移動はタクシーだね。
中東初のワールドカップを開催したかった理由

じゃあ、カタールはワールドカップにどれだけカネを使ったか、知ってるか?

日韓ワールドカップは1兆円だったから、2兆円くらい?

そんなことも知らずに、ワールドカップを見てたのかよ。
カタールは、今回のワールドカップでなんと、32兆円も使ったんだぞ!!
「まちがいなく史上最高額ワールドカップ」だと言われている。

ス・・スゴすぎて、想像もつかない額だね。

2022年度の日本の国家予算が約107兆円。(
NHK)
その約3分の1をワールドカップに使ったって、スゴくねえか?

さすが、石油産出国、おカネ持ちだね。

しかも、盲腸にぶらさがる虫垂のくせに、
サウジアラビアを差しおいて、なんで中東初、イスラム圏初のワールドカップをやったのか?

たしかに、サウジアラビアがやってもおかしくない。

サウジアラビアに「ふふん、なめんなよ」って、言いたかったんだよ。

サウジアラビアって、カタールのライバルなの?
カタールは、2017年、サウジ・エジプト・アラブ首長国連邦(UAE)などから国交を断絶されたことがあった。「カタール外交危機」とも呼ばれる。
それで、何が困ったって、食料。
カタールは食料を100%、輸入に依存しているんだよ。

日本より深刻!

サウジの食料が入らないとカタールは降参する、と思われた。
しかしカタールは、トルコやイランに助けられて、飢え死にせずにすんだのよ。(
Wedge ONLINE)

はあ、それで、カタールはサウジより先にワールドカップを呼びたかったのか。

ただ、
10年前のワールドカップの選考会で、カタールはワールドカップの開催条件をほとんど満たしていなかった。

へえ?

開催の条件は、8個のスタジアムがあること。
そのスタジアムの収容人数は最低4万人以上、準々決勝は6万人以上、決勝は8万人以上入れないとダメ。
なのにその当時、カタールにはスタジアムが一個しかなかった!

げー! 1個しかなかったの??
なのに、開催できたのは、やっぱりおカネの力?
てゆうか、10年で7個のスタジアムを作ったって、スゴイ!

スタジアムだけじゃない、交通手段もホテルも、絶対的に不足していた。

なるほど、でも結果的にそれらの条件をクリアしたんでしょ。
開催できて、ほんとに良かった。

良かった、じゃねえよ。
考えても見ろ、ワールドカップの終わった今、秋田県に4万人以上入るスタジアムが8個も残っている。

人口250万人だっけか?

サッカー人口だって知れてるし、維持費だって大変。
スタジアムだけじゃねえ、日本の三菱、日立、近畿車輛などが作った地下鉄はどうなるんだ?
ドーハのメトロ路線図

へえ、日本の企業がカタールの地下鉄を作ったんだ。
今後、カタールの人たちの足になるからいいんじゃない?

バ〜カ!
カタールは、バリバリの車社会で、カタール人はみんなベンツに乗ってるよ。
だれも、地下鉄なんか必要としてねえ。

そっか、ガソリンはいくらでも出るんだった。
つまり、余分なスタジアムも地下鉄もいらなかったってことか。

まったく、犠牲者が浮かばれねえよ。

犠牲者?
10年で7個ものスタジアムを建設したり、地下鉄の穴掘ったのは、誰だ?

カタールの人たちでしょ?

カタール人口は約250万人、カタール人はその1割。
税金免除でカネ持ちの1割のカタール人が、暑い中で汗流して働くと思うか?作ったのは9割の外国人労働者だよ。

は! そうだった!
1971年にイギリスから独立してからずっと、肉体労働はほぼ全て外国人に任せてきた。
「カタール人はビデオゲームのような感覚で国を作っている」。
つまり、ピポピポとキーを押すだけで、人を動かして、好きな場所に好きな建物を作れるんだよ。(
現代ビジネス)

7個のスタジアム、新規の地下鉄、たくさんの高層ホテルを作ったのは、外国人労働者だったのか。

ちなみに、カタールの気温と湿度を知ってるか?

砂漠だから、暑いだろうねえ。

暑いなんてもんじゃねえ。
5〜10月は昼で46℃、夜でも40℃近く、しかも湿度は80%〜89%。

砂漠だから、暑くてもカラッとしているのかと思った。
それじゃ、日本の梅雨よりも過酷だよ。
でも、そういう国は、労働時間が限られてるよね。

カタールの法律では、「労働時間は1日最大12時間、夏は午前11:30~午後3:00までは休憩時間」と定められているにもかかわらず・・・。

まさか、休憩無しで働かされた?

ああ、
彼らは逃亡できないようにパスポートを取り上げられ、気温50℃、湿度80%のの炎天下で、一日12時間、週7日働かされた。
これほどの過酷な労働にもかかわらず、給料は1ヶ月約4万円〜7万円。
(
現代ビジネス)
給料を支払われないこともあったと言う。(
onigiriまとめ)

はあ〜〜
いつか
ここで話した、ドバイのタコ部屋とまったく同じだ。

過酷な現場から逃げることもできず、多くの外国人労働者が命を落とした。
カタール政府は、今大会の準備のために亡くなった労働者はわずか数十人と言うが、イギリスのガーディアン紙は、ワールドカップ開催が決定してからの10年で、約6500人の移民労働者が死亡したと報道した。(
現代ビジネス)

約6500人!
ワールドカップは、そういう人たちの犠牲の上に成り立ってたんだ。
なんか、申し訳ない気持ちだ。
カタールと中国の関係

サイテーだろ?
そうなったのも、カタールが賄賂で開催権を買ったことが原因だ。
こんなふうにカタールはカネに物言わせて、世界中の有名5つ星ホテル、高級ブランド、老舗百貨店、高級ブランドなどを買収して不評を買っている。
(
日本経済新聞)

中国と似てるなあ。

カタールが? イタリアはカトリックの国なのに?

ミホさんは、イタリアがカタールに征服されそうだと恐れている。

まるで中国だ。

たしかに、
中国もイタリアをねらっているようだ。
国内に中国製の監視カメラがたくさん設置され、データが中国に送られるのではないかと噂されている。また、ローマなど主要都市には中国の秘密警察の支所があると言う。

それは、イタリアだけじゃないよね?
ところで、中国とカタールって、仲いいのかな?

実は、ワールドカップ開催前の
10月19日、中国はカタールにジャイアントパンダ2頭を貸し出した。
中東にパンダが貸し出されるのは、今回が初めてだという。(
NHK)

また、中東ではじめて?
でも、なんで今、パンダ?

CO2排出量で肩身のせまい中国は、天然ガスの利用を拡大していて、LNGの埋蔵量世界3位のカタールからLNGを調達しようと考えた。
パンダが届いて1ヶ月後の11月21日、中国企業はカタールと、史上最長27年間の液化天然ガス(LNG)供給契約を結んだ。(
Record China)

へええ! 史上最長27年間?
パンダはそれのお礼だったのか。
脱CO2対策で優等生になろうとした岸田内閣

実は、中国よりもずっと前に、史上最長25年間のLNG契約を結んだ国があった。

どこ?

・・日本だ。

おおう! 日本もなかなか、先見の明があったね。
ウクライナ情勢で、世界中がLNGの取り合いしている今、カタールと仲良くしてて良かったよ。

・・・じつは・・カタールとの25年の契約は?

なに??? 大きな声で言ってくれないと、聞こえないよ?
・・えっ?! 2021年の暮れに解約したって??

そうだ。
「もともと
日本企業は25年にわたる長期契約を結んでカタールからLNGを輸入してきました。しかし脱炭素が進む中で、燃やすと炭素を排出するLNGは長期的に需要が減るという見通しもあることから、2021年の暮れ、一部の大型の契約を更新しませんでした。」(
NHK)

あっるぇ〜〜〜??

なんで、ウクライナ危機の直前に、やめたの?

岸田政権発足直後の10月に閣議決定された、第6次エネルギー基本計画「電源構成比で30年までにLNG比率を27%から20%程度に減らす」によるらしい。

岸田さん、脱CO2対策で優等生になろうとしたんだ。

その結果、2021年末で切れる年間550万トンのLNG売買契約を更新せず。
残った契約は、2028年までの年間70万トンのみ。
(
Bloomberg)

去年から今年にかけて、LNGの供給量が一気に550万トンも減った?

そして、その直後にウクライナ危機だ。
これには、日本政府もあわてた。
「いまLNGの確保が急務となり、国が前面に出て交渉に動いています。相手(カタール)からは『対話の用意はある』という回答を引き出しましたが、厳しい言葉も出たといいます。」(
NHK)

だろうね。
カタールからすれば、何を今さらだよね。
去年の末、長期契約を更新してくれなかったでしょ、ってね。
岸田さんも、「グレートリセット」のお先棒をかつぐのに必死で、日本の将来なんかどうでもいいのが良くわかる。
カタールには中東最大の駐留米軍基地がある

トップに、先見の明のあるヤツがいないという証明だな。
てことで、「グレートリセット」にもしっぽを振りつつ、「カタール」にもしっぽを振ってる日本はおいといて・・、
カタールとアメリカの関係はどうなっているのか、気にならないか?

カタールは、パンダを送られるほど中国と仲良しだし。
中東最大の米軍基地「アル・ウデイド空軍基地」

へえ?!
湾岸戦争後、アメリカ軍がサウジにいられなくなった時、手を差し伸べたのがカタールだった。
2003年から始まったイラク戦争では、カタールにアメリカ軍司令部が置かれ、以後、数千人規模のアメリカ軍が常駐するようになった。

へえ、なのにカタールは中国と仲良し?

中国だけじゃない。
飢え死にから救ってくれたトルコ、イランとも仲良しだ。

どちらも、アメリカが敵視する国だね。
これがもし日本なら、アメリカにプンスコされてるよ。

アメリカも、カタールから追い出されると行き場がないからな。
しかも、2022年2月2日、アメリカはカタールを「非NATO主要同盟国」に指定した。
これによって、カタールがアメリカ軍の資材・装備品の貸与、アメリカ軍との共同訓練ができるようになった。

これって、「カタールは、ロシアとくっついちゃダメ」ってメッセージみたい。

それを知ってか、カタールも、ボーイング史上最大額で、飛行機をアメリカから買ってやったそうだ。(
JETRO)

アメリカのごきげん取りも、ちゃんとやってるし。
カタールゲート事件全体を理解する鍵

中国ともアメリカとも上手にやっているカタールだが、
最近、EUが厳しい。
「カタールゲート」。
外国人労働者の扱い、女性蔑視など人権問題を抱えるカタールのイメージを「白紙」にするために、カタールから賄賂を受け取ったとして、EUのエバ・カイリ副議長ら4人がベルギー・ブリュッセル警察の捜査を受けた汚職事件だ。(
note)

うわあ、美人さん!

12月11日、カイリ副議長はブリュッセルで逮捕され、カイリ副議長の自宅から「現金が入った複数の袋」が見つかったと言う。(
AFP)

いよいよ、EUも汚職事件に厳しくなったのか。

だが、今どきの賄賂で、袋に入った現金で渡すか?
カタールもちゃんと考えろってゆうか、なんかおかしくね?

そうだね、EUなんて、賄賂で政策が決まるのは日常茶飯事のはず。
何を今さら?だよね。
「NATO一極体制がその力をほとんど失い始めると同時に、湾岸諸国は別のところに目を向け始めたのです。」
サウジアラビアもアメリカに冷たい。どころか、BRICSの方を向いている。
そして、
世界第3位のLNG国カタールが、史上最長27年間の契約を中国と結んだ。これこそ、「カタールゲート事件全体を理解する鍵」だと言う。(
note)

なるほど。
ウクライナ戦争でも、NATOへの風当たりが強くなってるし。
中東までそっぽを向かれちゃ困る、ってことか。

だから、今までは自分たちも受け取っていた賄賂を犯罪にして、カタールを悪者にする。

中国、アメリカ、EU。
カタールも気を使わなくちゃいけなくて、大変だね。

最後に、話は変わるが、
カタールって国は変わっているぞ。
アルゼンチンの女性記者が、ワールドカップ会場で財布をスられて、警察に届けに行った。すると警察は「至る所に監視カメラがあるので、顔認証で犯人はすぐ見つかる」と言う。ここまではふつうだが、次の質問にビックリだ。
「犯人を捕まえたらどうするか? 懲役5年? 国外追放? 今ここで、決めて下さい」。(
ユルクヤル)

はああ??
犯人の量刑を、レストランのメニューみたいに選べるらしいぞ。

じゃ、ぼくは、ミディアムレアで!

ステーキじゃねえ!!
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
中東初のワールドカップを成功させたカタール。
中国から中東初のパンダを呼び込み、
史上初の最長期間で、中国とLNG供給の契約をしたカタール。
中東最大のアメリカ軍基地を擁し、
アメリカから「非NATO主要同盟国」に指定されたカタール。
「日本人が知らないカタールW杯の闇【長編】」を参考に、カタールについて調べてみました。
ついでに、岸田政権のヤラカシも見っけ!