ぴょんぴょんの「天使の並木道」 ~日本が第2のウクライナにならないために

 明けまして、おめでとうございます。
 今年こそは「ゆでガエル」日本が、少しでもましになることを願います。
 今回取り上げた「天使の並木道」という本は、Xの投稿で知りました。600pを越える分厚さでずっしりと重い。本の半分は写真で、パラパラ見ていくと「閲覧注意」的な写真もあって、しばらく目につかない所に放置していましたが、今回、引っ張り出してみたら、「ゆでガエル」でも目を覚ますような良い本でした。(ページ数はすべて「天使の並木道」です。)
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「天使の並木道」 ~日本が第2のウクライナにならないために

いろんな人のいろんな努力が実り始めている


あ〜あ、もお、やんなっちゃったよ〜。

「混迷ジョージア ウクライナと同じ道を歩むのか」

なんだ?「あ〜、やんなっちゃった〜♪」? 若いくせに、よく知っとるな。

歌じゃなくて、この動画なんだけどー。

混迷ジョージア ウクライナと同じ道を歩むのか」? たしかに、ジョージア、いやグルジアが抗議デモに負けて欧米主導になったら、ウクライナのように利用される。しかしテレ東が、こんなホントのこと言っていいんか?

と、思うでしょ? ところが違うんだ。ウクライナで親ロ政権が倒れた後、ロシアが攻めてきたように、グルジアも欧米政権に代わったら、ロシアが攻めてくると思ってるんだ。

はあ〜、なるほど、そういう取り方もあるんか。

あ〜、日本のマスコミも変わった、と勘違いしたぼくはバカだった!

いやいや、ガックリするのはまだ早い。コメントを見ろ。

ほとんどロシアの悪口ばかりじゃん。「ならず者ロシアの工作の常套手段」って。

そうかあ? 一つずつ読んで見ろ。マスコミは相変わらずだが、国民は変わりつつあるぞ。

「みんな英語お上手」「みんな英語喋れるのすげえ」「ジョージアの人たちって普通に英語を話すんだね」「ジョージアってみんな英語喋れるんか」「旧ソ連圏でこれだけ英語を話せる人が多いのにびっくり」「英語話せる人が多いことに驚いている」「なんで英語ペラペラなん?w」「Why are they so good at English? I’ve heard that ordinal Georgian people have little command of English.(なぜ彼らは英語が得意なのか? グルジアの人々は英語がほとんどできないと聞いたことがある)」「英語話者の少ないジョージアでなんでみんな英語で答えてるのか?ひどい偏向報道を思わせる」「デモ参加者は 英語を話している。仕込み(笑)」「どこからニュースをもらってるんでしょうね。 英語で話せる人ばかり出てきますね」

おお〜! たしかに言われてみれば、デモ参加者のインタビューは全部英語。ぼく、ふつうに聞き流してたけど、そこに目をつけたみんなはえらい!

それ以外にも、政治的にまともなご意見もいろいろ。

「ズラビシビリ(大統領)はフランス人」「ウクライナの惨状見て『ヨーロッパのやり方を支持している』って言えるのすげえな」「マイダン2.0、ネオコンの影」「マイダン革命みたいな話だな ロシア派VS欧米派という状況をわざと作り争いを生み出す」「EUに波長を合わせないと民主的じゃない、不正って騒ぐって何だよ、マジで」「EUに近付くことが、本当に良いことなのか怪しい。 彼らは、イギリス・フランス・ドイツから遠く離れた安全な場所であることを利用して、ジョージアを新たな戦場にしたいのではないか? そう勘ぐってしまう」「国の中から侵略されてる。こわい」「デモ隊の資金源は? もう怪しくてたまらない」「『ロシアと縁を切れば仲良しグループに入れてあげるよ。』 これに乗ったある国は、まだ入れてもらっていないね。というか、下手すると国がなくなりそうになってきたねジョージアも試したいのかな?」「このデモアメリカが裏で糸引いてるらしい」


驚いた、まともじゃん!

そして、報道に対するご意見も。

「デモ参加者ばかり出して、偏向甚だしい、気分悪い」「放送法4条1項4号『意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること』 デモ参加者の意見ばかりではなく、与党に投票した反対意見も知りたいです」「偏ってて残念だ! 日本も分断されないよう気をつけたいね。 自分の国を守るのに右も左も関係ない!!」「偏向報道、ロシアの方がまともだよ」「このテレ東の記事は親西側の意見です(笑) 偏向報道なので私は半分できいてます(笑) もっと世界で報じてるニュース見た方がいいよ。偏りすぎ」「なぜデモ参加者の発言ばかり、しかも主張が重なる何人もの分も放送するの?タイトルの”ロシアの影”も一方的ですね。デモ参加者には”欧米の影”はないのでしょうか?」「欧米かロシアか?という単細胞なお題で報道するマスコミはもう辞めて頂きたい。当該国の国益の観点からの放送内容を希望します」「恣意的報道してないか?忠誠心に感謝とは言わんやろw」

な、な、なんか、ウルウルしてきた。日本も捨てたもんじゃない。

いろんな人のいろんな努力が、少しずつ実り始めているんじゃねえか? たとえば、「天使の並木道」。この本は、出版されただけでもスゴいと思う本だ。


「天使の並木道」?

「天使の並木道」は、キエフ政府軍の攻撃によって亡くなった子どもたちを慰霊する碑に刻まれた言葉だ。ドネツク人民共和国のカリーニンスキーの戦勝30周年記念公園に建立された。ドネツクでは、2023年8月までに237人の子どもが犠牲になっている。(277p〜279p)

聞いただけで、つらくなる。


「天使の並木道」を出版した理由


この本は出版されるまでに、2年もかかっている。その理由は、印刷会社から「ロシアの宣伝に加担したくない」「本書を印刷したことが明らかになると、今後各方面から批判され、孤立して仕事ができなくなる」と、断られたからだ。(603p)

ひどい!印刷会社まで染まってる。

それでもなお、著者で編者の田中健之(たけゆき)氏はこの本を出したかった。日本や米欧諸国のマスメディアがほとんど報道しない、「ウクライナ人がウクライナ人を虐殺し続けた8年間」を知らせたかった。アメリカが暴力的に作った、極右・ウクロナチ(ネオ・ナチ)キエフ政権が、いかに多くの「反ユーロ・マイダン派」「ロシア系ウクライナ人」を虐殺してきたかをさらしたかった。「プーチン大統領とロシアを悪だとする同調圧力が広がる今日の日本において、一人でも多くの日本人に真実のウクライナを知っていただき、今日のロシアの特別軍事作戦に対する正しい認識への一助となるべく、私は本書を企画、編纂、刊行することにした。(7p)」

パチパチパチパチ! こういう本を待ってました!

そして、この本を出したもう一つの理由は、日本を「第二のウクライナ」にしたくなかったからと著者は言う。この本によって、ウクライナ紛争が「ネオコンによる最新の災害」であるとわかれば、その延長上にある中国、台湾、南北朝鮮のイザコザに日本が巻き込まれて、日本が「第二のウクライナ」になる危険性が極めて高いことがわかるから。(603p)

日本は着々と、その方向に進まされているからね。


ウクライナ戦争のおさらい


だが、それを人に説明するのは難しい。ウクライナ戦争の経緯すら説明できない。そういうヤツらのために、「はじめに(5p〜)」に、戦争の経緯が簡潔にまとめられている。

へえ、今、ここで教えてよ。

よしよし、おさらいしてみよう。2022年2月24日、ロシアは特別軍事作戦を発動し、ウクライナのキエフ政権と戦闘状態に入った。

うん、知ってる。

アメリカや日本は、これを一方的に「侵略」と決めつけて、プーチンとロシアを批難し続けている。

うんうん、それも知ってる。

が、プーチン大統領はこう述べている。ウクライナ東部のドンバス地方で、キエフ政権が8年間(2014年〜2022年)にわたって行ってきたジェノサイドを阻止するために、止むを得ず、特別軍事作戦の発動を決意したと。それはすなわち、キエフ政権の非武装化、非ネオ・ナチ化のためだったと。

それも、聞いたことあるね。

ソ連崩壊以来、アメリカは、ウクライナをロシアから切り離し、ロシアの弱体化を図ってきた。その代表が2004年の「オレンジ革命」、2014年の「ユーロ・マイダン革命」だ。

どちらも、裏で糸を引いているのはアメリカだね。

とくに「ユーロ・マイダン革命」では、アメリカから訓練、支援を受けた極右勢力やウクロナチ(ネオ・ナチ)が、民主的に選ばれたヤヌコヴィッチ政権を、非合法な暴力革命によって倒し、親米欧政権を成立させた。これが今のゼレンスキー政権につながっている。

Author:Mstyslav Chernov[CC BY-SA]

それも、知ってる。

そうした、アメリカ製革命政権に反対・抵抗したウクライナ人は、激しい弾圧を受け、殺された。彼らは、東部のドンバス地方に逃れ、ロシア系ウクライナ人とともに、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を成立させて、キエフ政権と対峙した。

そうか、アメリカ製の政権が気に入らないウクライナ人が、同じウクライナ人に弾圧され、殺されていたんだね。

そうだ。そして、反体制派が集結したドネツクとルガンスクに対して、キエフ政権は「分裂主義者」「テロリスト」のレッテルを貼り、ミサイル空爆や砲撃で民間人を殺戮した。2014年〜2022年の8年間で1万4千人を超える民間人が犠牲となり、約250万の人々が難民となった。

ロシアがウクライナに侵攻する前に、そんなことが8年も続いていたのか。ほとんどの日本人はそれを知らないから、「ロシアが一方的にウクライナに侵攻した」と勘違いしているんだね。

そうだ。さらに問題なのは、キエフ政権の中身が極右やウクロナチってこと。こいつらの残虐非道さは、2014年5月2日にオデッサの虐殺を見たら、よくわかる。

覚えてる。時事ブログで見たけど、ひどい事件だった。

なのに、世界は振り向かない。マスコミがちゃんと報道しないから。一方、武力攻撃に曝され、棄民化したドンバスの人々を受け入れ、難民手当や義援金、高齢者への年金の支給、衣食住を含めた一切の支援をし続けているのは、世界中でロシアのみ。そういった真実を、実際の写真で確認することができる。

これだけ膨大な写真があれば、自分の目で確認できるし、ゆでガエルにも説得力がありそう。



日本に忍耐しているように見えるロシア


これでよくわかったろ。プーチンは「ウクライナ人によるウクライナ人の虐殺」に終止符を打つために立ち上がったことが。「ロシアのウクライナに対する特別軍事作戦は、2014年以来8年続いたキエフ政権の武力攻撃からドンバス地方を守るため、ロシア系ウクライナ人を保護するためで、決して、ウクライナを侵略するためではなかった。(582p)」 

プーチンさんは、悪の親玉どころか、正義の味方だよ!

これも、知ってると思うが、2014年のノルマンディー上陸作戦70周年記念式典で、広島に原爆が投下された実録映像が上映された時、米欧の支配者らは総立ちになって盛大な拍手を送った。ところが、プーチンはただ一人、原爆の犠牲者に対して冥福を祈るかのように、神妙な面持ちで十字を切っていた。(12p)


そう言えば、311後の世界フィギアスケート選手権開会式でも、ロシアは日本を励ましてくれたね。


あの開会式は日本では放映されなかったが、ロシアは人工地震波の波形をメッセージとして送っていた。(光の進軍 光よ通え

ロシアは、陰ながら日本を応援してくれているんだ。それにしても、この著者はロシアの事情に詳しい人だね。

ああ、奥さんはウクライナ人だそうだ。(Wiki

へえ?!

また、ルガンスクやドネツクにいる友人や知人によって、ウクライナ軍によるミサイルや砲撃によって故郷を離れ、ロシアで難民として生き続ける現実を目の当たりにして来たと書いている。(7p)

だから、詳しいんだ。

アメリカ盲従日本の、ロシアに対する姿勢は「恥ずかしい」の一言に尽きるが、ロシアは日本に忍耐しているように見える。それは、在日ロシア大使館とロシア外務省日本課が、ロシア軍部への防波堤になっているからだと言う。「このように日露関係史上にて最悪となってしまった今日においても、尚、彼らは日露関係の回復を心から願い、尽力を続けていることを特筆する必要がある」「彼らは、日本が米国に追従せざるをえない歴史的、政治的な情勢について、繰り返し丁寧に説明しており、それはザハロワ外務省報道官の声明として、しばしば発表されている。」(591p)

それ、ずっと感じていた。そう言えば、サハリン2が再編された時に、日本の再参加が危ぶまれた時も、プーチンさんは日本を迎え入れてくれたよね。

2009年2月18日、サハリン-2プラント稼働式典へ出席した(右から)日麻生首相、英アンドルー王子、露メドヴェージェフ大統領、蘭フーフェン経済相

そのおかげで、ロシアの液化天然ガスが日本に入ってきている。

なんか、ウルウルしてきたよ。なのに、ロシアに対する日本の態度はひどいよね一。

芋煮えるの言いなりだったからな。著者はこう書いている。「日本は、広島に原爆投下した映像を見て歓喜して、スタンディングオベーションで拍手を送るG7の中核である米欧諸国との友好を築くべきなのか、それとも原爆犠牲者への追悼と冥福を祈るプーチン氏が、大統領を務めるロシアとの友好を求めるべきなのか?それとも宗主国ともいうべき米国と対立する国として敵視するのか?その答えは明確なはずである。(12p)」


「天使の並木道」の著者はどんな人?


う〜〜ん、これは、なかなかいい本だ。書いている人はどんな人なの?

田中健之氏は、巻末の紹介文によると、「福岡市出身。玄洋社初代社長平岡浩太郎の曾孫、黒龍會創立者内田良平の血脈道統を継ぐ親族である。2008年、黒龍會の再興に努力し、その中興の祖として会長に就任、今日に至る。又、アジア新聞社およびアムール通信者を興し会長を務める。(605p)」

黒龍會???

おれも、二度見したよ。黒龍會と言えば「五龍会」の一つ、さらに曾祖父の平岡浩太郎の玄洋社は「白龍会」。「五龍会」を仕切るのが「八咫烏」だとあるし。

と言うことは、田中氏は「八咫烏」の手下?

さあな。

でも、黒龍會と聞くと「右翼!」って感じがするけど、どんな思想を持ってるの?

そこが気になるよな。ただ、憲法第9条についての考えを読んで、ちょっとホッとした。「私は、大東亜戦争後、米国が日本をその世界戦略の駒として組み込むために、“戦争放棄”を謳った、その第9条を部分改正もしくは集団自衛権を名目とした同条文の拡大解釈に対しても断じて反対である。何故ならばその場合、日本は米国によるさらなる従属体制を強いられることになるからである。つまり日本および日本人は米国の前衛となり、犠牲となるからである。(中略)...むしろ『日本国憲法』第9条は、日本が米国の世界戦略の駒に組み込まれること無く、米国に対して唯一の切り札として、『NO』を言うことができる、“自由”を維持するための担保なのである。(588p)」 

激しく同意!!

「あとがき」の最後の最後には、こう書かれている。「本書の意義はまさに、米欧日政府による真実の歪曲を打破することであり、ネオコンによる、グローバル世界の実現という美名において、実は彼らによる世界一極支配の野望を打ち砕く一助と成すものである。今日、対米追従を嬉々として、自ら甘受し、先人が苦労して築き上げた、日露友好関係を破壊した岸田文雄政権に対して、鉄槌を下し、転じて、将来の日露関係の再構築として本書が役立つものだと強く信じている。(604p)」

多くの日本人がこの本を読んで、ロシアに対する誤解を解けたらいいね。

ロシア連邦政府ビル(通称:ホワイトハウス)
Author:Ludvig14[CC BY-SA]


Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)


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