[マスコミに載らない海外記事]ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る

竹下雅敏氏からの情報(上下セット)です。
"マスコミに載らない海外記事"に翻訳者の方の言う通り。赤字の部分です。諜報組織の仕事の95%は撹乱情報を流すことだと聞いています。陰謀論として、すべてを排除してしまうと真相がわからなくなってしまいます。私たちに見る眼がないといけないのですが、幸いなことに記事の通り、歴史を学べばわかるようになってきます。連中はいつもワンパターンだからです。
(竹下 雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る
転載元より抜粋)
「ひとつだけ覚えておくように。政府は嘘をつくものです。」は、「ひとつだけ覚えておくように。政府は陰謀をたくらむものなのです。」と言い換えられまいか?

諸国の政府が戦争を起こすために仕組んだ数々の陰謀への言及は、それが暴露されるまでは、それを仕組んだ体制側からは「陰謀論」と呼ばれる。

いわゆる「陰謀論」のすべてが正しいなどとは思わないが、体制側から「陰謀論」とレッテルを貼り付けられた主張を、体制とその提灯持ちの商業マスコミの言うがままに、すべて排除していては、彼らの思うつぼ。いつになっても、我々は体制の餌食だろう。


ジンの言う通り、歴史を学べば、そのあたり、誰にでもわかりそうなものだ。

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転載元より抜粋)
ハワード・ジンは我が国において最も著名な歴史学者の一人だ。彼の古典的作品「民衆のアメリカ史」は、我々のアメリカ史に対する考え方を変えた。25年前に最初に刊行された本は百万部以上売れ、毎年販売部数が伸びるという出版界の事件になっている。

ハワード・ジンは沢山の本を書いており、ボストン大学名誉教授である。彼は最近ウイスコンシンのマディソンで講演し、Lifetime Contribution to Critical Scholarshipに対するヘブン・センター賞を受賞した。彼の講義「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」をお送りする。

ハワード・ジン: 

皆さんは何か占領された国に暮らしているように感じられませんか?朝目が覚めた時に、そういう感じがすることが良くあります。

つい最近の移民の権利を訴える素晴らしいデモで、例えば「いかなる人間も、エイリアン(外国人)ではない。」というプラカードをご覧になったでしょう。私はこれは本当だと思います。ワシントンの連中を除いてですが。

彼らがこの国を乗っ取ったのです。彼らが政策を乗っ取ったのです。彼らは我々を二つの悲惨な戦争に引きずり込んだのです。我が国にとって悲惨であり、中東の人々にとってはさらに悲惨です。そして、連中はこの国の富を吸い上げ、それを金持ちに与えています。多国籍企業に与えています。ハリバートンに与え、武器メーカーに与えています。彼らは環境を破壊しています。しかも連中は10,000発の核兵器を握って離しません。それなのに、イランが十年すると核兵器を一つ持つようになるかも知れないという事実を、我々に心配させたいわけです。全く、どこまでおかしくなっているのでしょう?

連中はどうやって好き勝手ができたのでしょう?連中は国民の意志に従ってはいません。つまり、彼らは、戦争を始めた直後の極めて短い時間の間に国民の意思を創り出したのです。

疑問は、ですから、連中がいかにしてまんまとこれをやってのけられたのかということです。
それで、疑問に答えようと、ナチス・ドイツの歴史をちょっと調べてみました。

私はヘルマン・ゲーリングの思想に興味があったのです。ご存じかもしれませんが、ヒットラーの副司令官で、ドイツ空軍のトップでした。第二次世界大戦が終わった時に、ナチス指導者がニュルンベルクで裁判にかけられた際に、ヘルマン・ゲーリングもナチス政権の他の指導者達と一緒に刑務所に入れられました。

ゲーリングは言っています。「もちろん国民は戦争を望んではいない。なぜ畑にいる貧しいまぬけが、自分の命を戦争にさらそうなどと望むだろう?だが、結局、政策を決定するのは国家指導者だ。国民はいつでも指導者達の命令に従わせることができる。連中に、我々は攻撃されているのだと言って、平和主義者は愛国心に欠けると非難するだけで良いのだ。これはどこの国でも同様に機能する。

私には最後の行が興味深いものでした。「これはどこの国でも同様に機能する。」

つまり、国家指導者達は国民を、丸め込んだり、無理強いしたり、唆したりして戦争をさせることができるのです。国民を脅かし、国民が危険な状態にあると言い、もしも支持しなければ、非愛国的と見なされるぞと国民を脅迫し、無理強いして。そして、これが9/11直後にこの国で本当に起きたことなのです。

けれども問題は、どうやって連中がまんまとそれをやりおおせたかです?


ジャーナリスト達はI・F・ストーンからは学ばないのでしょうか?「ひとつだけ覚えておくように」と彼はジャーナリズムを勉強している若者に言いました。「ひとつだけ覚えておくように。政府は嘘をつくものです。」

マスコミはただ、ワシントン・ポストはこう書いたのです。「イラクが大量破壊兵器を所有していることを疑うことができる人がいるだなろうと想像するのは困難だ。」そしてニューヨーク・タイムズは、ご存じのように、ひたすら我を忘れてコーリン・パウエルを称賛したのです。

そこで質問です。新聞で読んだものをなぜいまだに国民は信じているのでしょう、テレビで見たものをなぜ国民は信じるのでしょう?そこで私は、それは歴史の喪失とどこか関係があると主張したいのです。

アメリカ国民がもし本当に歴史を知れば、アメリカ国民がもし歴史を学べば、もし教育機関がその職務を遂行していれば、もしもマスコミが国民に歴史的大局観を提供するという自分たちの職務を果たせば、そうすれば国民は理解するでしょう。

もしも人々が自分たちの歴史を知れば、思い出せたはずだと思います。アメリカ陸軍が既にフィリピンにおり、そしてアメリカ海軍が既にフィリピンにいる時にマッキンリー大統領が何と言ったか、そして偉大なヒーロー大統領の一人セオドア・ルーズベルトが、戦争をしたくてたまらずにいたことを。

もしも皆が歴史を知っていれば、マッキンリー大統領が「我々はフィリピンに入って、フィリピン人を文明化し、キリスト教化する。」と言ったことを。そしてもしも彼らが自国の歴史を知っていれば、もしも歴史本が、大半のページをわずか三ヶ月しか続かなかった米西戦争にさくかわりに、歴史の本が二十世紀初期フィリピンにおける戦争について多少ページをさいていれば。何と七年も続いた血まみれの戦争で、住民の虐殺や、皆殺しを行ったフィリピン戦争については、事実上ほとんどページをさいていません。そういう歴史は本に載らないのです。アメリカはフィリピン人を文明化しキリスト教化して、我々の支配を確立したのです。

皆分かっていたはずです。大統領が「私たちは中東にデモクラシーをもたらすつもりだ」と言うのを聞けば、一体何度アメリカが侵略した他国にデモクラシーを押しつけたか分かるはずなのです。皆、チリにデモクラシーをもたらしたかどうか分かっていたでしょう。チリで民主的に選出された政府を、アメリカは1973年に転覆させたのです。アメリカがまたもや民主的に選出された政府を転覆した時に、アメリカがどのようにしてグアテマラにデモクラシーをもたらしたかを皆が知っていたはずなのです。そう、アメリカは民主的選挙が好きで、アメリカは自由選挙が好きです。ただそれはよその政府がおかしな方向に行かない時に限ります。おかしな方向にゆくと、アメリカは陸軍かCIAか秘密工作員を送り込んでその政府を転覆するのです。

もしも国民がそうい歴史を知っていたら、瞬間たりともブッシュ大統領を決して信じたりはしなかったでしょう。彼が、あれこれの理由と自由とデモクラシーの為に、そしてイラクは脅威なのだから、我々はイラクを攻める、と言ったときに。当局が皆に言う物事に対して懐疑的になるには多少の歴史的な理解が必要なのです。

政府は常に嘘をつくものなのです。もちろん、アメリカ政府だけではありません。それが政府というものの本性なのです。そう、連中は嘘をつかざるをえないのです。概して、政府というものは自分たちが支配する社会の人々を代表してはいないのです。政府は人々を代表してはおらず、また、政府は人々の利害に反して行動するので、権力を握り続けるための唯一の方法は、人々に嘘をつくということなのです。

もしも多少の歴史を知っていれば、ある種社会の基本的事実、我が国の社会を含め、政府の利害と国民の利害は同じではないことを理解できるはずなのです。

これを知っておくことはきわめて重要です。我々全員が共通の利害を持っていると政府は必死で説得しようとするからです。もしも政府が「国益」という言葉を使う場合には、国益などありません。あるのは、彼らの利害と我々の利害です。国家の治安とは誰の治安でしょう?国防とは、一体誰の防衛でしょう?こうした言葉や文句は全て私たちを「素晴らしい大きなきずな」に囲い込もうとして使われているのです。わが国の指導者の人々は我々の利害を心に留めておいてくれると思いこむように。これを理解することはとても重要です。とんでもない、連中は我々の利害など気にかけてはいません。

もし我々が多少の歴史を知っていれば、冷戦に伴ったヒステリー、共産主義に対するヒステリーのことを理解できるでしょう。世界のどこであれ、アメリカ合衆国の気に入らないことが起きると、それが世界共産主義者の脅威の一部になりました。

それで、共産主義と対処する為なら、ラテン・アメリカのどこの国でも、我々の好きな国に押し入れたのです。
共産主義者の脅威があったがゆえに、アメリカは陸軍をベトナムに派遣し、結果として数百万人の人々が亡くなったのです。ベトナムが世界における共産主義者の脅威の象徴になっていたためです。考えてみれば、既に共産主義の北と反共の南に分割されていたベトナムが、この小さな国の半分が共産主義者になるのを恐れることがどれだけ馬鹿らしいことか。

そして今我々は、もちろん現在の状況は、テロリズムという厄介なものに直面しているわけです。

国民に、自分たちの利害に反することをさせるための、自分たちの若い子供達を戦争に送り出す羽目になるようなことをさせるための、戦争という目的の為に、国家の富の枯渇を引き起こし、大金持ちをさらに富ませるためのことをさせるための企みとして、テロリズムが共産主義に置き換わったのです。

政府はとてつもなく大規模なテロリストなのです。アメリカ合衆国は、アフガニスタンに対して、イラクに対して、ずっとテロリズムを行っており、今や彼らはそのテロリズムを中東の他地域にも広げると脅しているのです。

アメリカは平和をもたらしてはいません。アメリカはデモクラシーをもたらしてはいません。アメリカは安定をもたらしてはいません。アメリカがもたらしているのは、暴力と混沌です。アメリカはそうしたこと全てを引き起こし、人々が日々亡くなっています。
毎日より多くの人々が死に、より多くの人々が手足を失い、目が見えなくなるのです。ですからそれは耐え難いことです。そこで、我々は出来る限りのことをしなければなりません。

一つご提案したいのです。戦争そのものの廃絶について、考え、話し、教育する必要があるわけです。


アインシュタインが第一次世界大戦の後でこう言っています。「戦争を人間化することは不可能だ。廃絶することだけが可能だ。」戦争は廃絶されるべきです。皆さんはその行動を始めなければなりません。

歴史はまたレジスタンスの歴史でもあります。何十年も圧政に耐えたが最終的には立ち上がって独裁者を打倒した人民の歴史です。これを私たちは様々な国々で起きるのを目にしています、そうです、これが私たちがこの国で目指していることなのです。

私たちがする、あらゆるささやかなこと、違う世界になるように我々がすること全てが大切なのです。たとえその時点では無駄なように思えても。そういう方法によって変化がおきるからです。何百万人もの人がささやかなことをすると変化が起きるのです。歴史のある時点で、こうしたことが一つにまとまり、そして何か良いこと、何か重要なことが起きるのです。

ご静聴有り難う。

記事原文のurl:
www.democracynow.org/article.pl?sid=06/11/24/1442258

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