[櫻井ジャーナル]ウクライナ東/南部の選挙で自主独立派が圧勝、好戦派が勝ったキエフ体制との間で戦争の気運

竹下雅敏氏からの情報です。
 この記事の通りで、私がウクライナを注視しているのは、ここが核戦争への道につながっているからです。今の日本の状況は欧米側についてNATOの一部となり、ロシア・中国と核戦争を行なうというルートに乗っています。北朝鮮にはわざと核を持たせているわけで、そのうち南北朝鮮は統一し、日本とも協調関係に入っていくと、北朝鮮のミサイルは対中国・ロシア向けということになります。
 ただ、こうしたシナリオのエンジンは切られたと思います。もはやこの流れは起こらないと思うのです。おそらくこれまでこうした方向に誘導していた重要人物が、すでに処刑されているのではないかという気がします。ウクライナで事が起こる可能性は依然として高いと思いますが、カルマの清算のためであって、核戦争になるということはありません。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ウクライナ東/南部の選挙で自主独立派が圧勝、好戦派が勝ったキエフ体制との間で戦争の気運
転載元)
新ロシア(ドネツクとルガンスクの統合人民共和国)で11月2日に行われた選挙で自主独立派が圧勝した。この動きを国連の安全保障理事会は非難する決議を採択しようとしたらしいが、ロシアに阻止されたという。その前、10月26日にキエフ体制が行った議会選挙では好戦派が勝利しているので、ペトロ・ポロシェンコ大統領もそうした流れに引きずられ、西側メディアも世界を戦争へ導くプロパガンダをはじめる可能性が高い。

キエフ体制の議会選挙ではこれまで首相を務めてきたアルセニー・ヤツェニュクの「人民戦線」が22%強を獲得して第1党になり、ステファン・バンデラ派の一角を占める「ラディカル党」が7%、そしてティモシェンコ元首相の「祖国」が6%、ステファン・バンデラ派の「スボボダ」が5%だった。この政党はいずれも好戦派で、停戦には否定的。とりあえず停戦で合意したペトロ・ポロシェンコ大統領の「ポロシェンコ・ブロック」は22%弱で第2位に留まった。

今年2月にネオ・ナチが前面に出て実行されたクーデターに反発したウクライナ東/南部の人びとだが、5月2日にオデッサで反クーデター派の住民が虐殺され、続いてドネツクやルガンスクでも破壊と殺戮が始まってから独立を目指す動きが明確になっている。自治権で収まる段階は過ぎ、東西の対立は修復不能だろう。

こうした中、キエフ体制がウクライナの領土を維持するためには独立派を消滅させるしかない。「イスラエル建国」のときと同じように、前から住んでいる人びとを殺すか追い出すということ。そしてオデッサの虐殺があり、東/南部での民族浄化作戦が始まる。

ドネツクやルガンスクからオデッサにいたるウクライナの東/南部は、1922年にウラジミル・レーニンが住民の意思を問うことなくウクライナへ贈呈した「元ロシア領」であり、今年3月16日に行われた住民投票で96.8%がロシアへの併合に賛成したクリミアは1954年にニキータ・フルシチョフが住民の意思を問うことなくウクライナへ組み込んだ「元ロシア領」。そうした地域に住む人びとを追い出し、自分たちのものにしようとしているのが西部の人びとだ。

こうした無茶な要求を可能にしているのはアメリカ/NATOが後押ししているからにほかならない。電話の盗聴を恐れたのか、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問してからウクライナ制圧作戦は本格化する。その2日後にアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が制圧作戦を承認、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問、それにタイミングを合わせ、オデッサでの作戦について話し合いが持たれている。そして5月2日の虐殺。

6月2日にはデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りし、ルガンスクへの空爆が始まる。ウクライナの正規軍の内部には、情報機関や治安機関と同じようにクーデターに批判的な人が少なくないため、キエフ政権は東部や南部での民族浄化作戦にネオ・ナチのメンバーを主体に編成した「親衛隊」、あるいはアメリカやポーランドの傭兵会社が派遣した戦闘員に頼っているのが実態だという。アメリカ政府はCIAやFBIの要員をキエフへ派遣、軍事顧問団も入れている。


この軍事作戦は残虐なものだが、その根底にはキエフ体制の支持者が東部や南部のロシア系住民を否定する感情がある。例えば、クーデター前からビクトリア・ヌランド米国務次官補から高く評価されていたヤツェニュク首相は在米ウクライナ大使館のサイトに掲載された文章の中でそうした人びとを「劣等人類」と表現、投機家ジョージ・ソロスと結びついて台頭したユリア・ティモシェンコ元首相はウクライナにいる800万人のロシア人(ロシア系住民)を核兵器で皆殺しにすると口にしている世論調査をすると東部の゙ドネツクやルガンスクに対して軍事力をもっと使うべきだとする比率は50%に達する。西部の住民は63%、北部/キエフは54%、中部は44%だという。

ただ、キエフ側は正規軍を掌握し切れていないため、ネオ・ナチや外国から雇い入れた傭兵に頼っているのが実態。そうしたこともあり、民族浄化作戦では新ロシア軍に惨敗した。停戦の期間にアメリカ/NATOはテコ入れし、戦闘態勢を整えたようだが、それで勝てるかどうかは不明。

キエフ体制の支持者もそうした状況を知っているのか、NATOへの加盟を支持しているようだ。加盟賛成派は西部で74%(強く賛成は44%)、北部/キエフで64%(強く賛成は38%)、中部で50%(強く賛成は30%)に達する。NATOが東/南部へ攻め込めばロシア軍と衝突、核戦争に発展する可能性が高いことを気にしていないのだろう。核戦争と言っても「スーツケース核」とか「ミニ核」と呼ばれている戦術核兵器ではなく、戦略核兵器の撃ち合いだ。

石原慎太郎と同じように、ネオコンは核兵器で脅せば誰でも自分に従うと思っているらしいが、ロシアをそうした脅しの通用する相手だと考えてはならない。ウクライナへの対応でアメリカの元政府高官も驚くほどロシア政府は話し合い、外交的解決にこだわってきたが、その一方で世界戦争が勃発すると見通し、それを恐れないと明言している。脅しの通用しない相手にネオコンは「チキンレース」を仕掛けたということだ。本人たちはどう考えているか知らないが、日本の政府、マスコミ、そしてロシア嫌いの「リベラル派」や「革新勢力」はネオコン側につき、核戦争への道を選択している。

目前に迫ったアメリカの議会選挙では上院も下院も共和党が勝つと予想されている。ネオコンに引きずられ、人びとを裏切り続けてきたバラク・オバマ大統領だが、両議院とも共和党が主導権を握った場合、戦争の可能性はさらに高まるだろう。戦争で仲間を増やすためにも集団的自衛権は重要であり、韓国を敵に回すような言動を続ける日本政府へ怒りの声をぶつけるのも当然だ。

アメリカ国内に正常な判断のできる人間がどの程度残っているのか、EUの欲ボケしたエリートが目覚めるのかどうか、日米欧以外の国々が戦争回避のために団結できるのかどうか・・・世界はきわめて危うい状況の中にあるのだが、これまで世界を支配してきたシステムが崩壊する可能性が高まっているということでもあり、かすかながら希望の光は見える。

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