注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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さらに注目されるのは、働きたくても働けていない人の多さだ。総務省の7-9月の労働力調査によると、現在は働いていないが、就労を希望する人は323万人。このうち、働き盛りの25-54歳だけで175万人もいる。政府が「特定技能第1号」として当初の5年間で受け入れる外国人の見込み総数の約34万5000人をはるかに上回る。
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とりわけ企業が求めているのが非正規労働者。今年10月の有効求人倍率は正社員の1.15倍に対し、パートは1.82倍と高い。働く人を集めるためパートやアルバイトの賃金は上昇しており、「本来はまだ上がる局面にある」と斉藤氏。だが、賃金や待遇を改善しなくても働いてくれるのが「外国人人材」だ。「当たり前の市場原理が働かなくなる」と斉藤氏はみる。
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原田氏は「外国から働きに来た人は日本の労働法も労組に頼ることも知らない。企業がそれに甘えれば、労働環境全般に悪影響が出てくるだろう」と心配する。
(中略)
ほぼ、何も付け加えることはない。
政府は、国内にいる323万人の潜在的労働者を棄民して、外国から、使い捨て、取り替え自由の安価な労働力を移入しようとしているのだ。
それは、我が国の国際的信用を貶めるだけでなく、結局は、停滞の20年をさらに30年にするだけに終わるだろう。
国内棄民をしないで、就労希望者の障壁を除くための政策をとり、国民全体の所得の底上げをすることが結局は、停滞の30年を回避する道になるはずなのだ。
(以下略)
富裕層と貧困層の格差は今や大半のOECD諸国において過去30年間で最も大きくなっている。
このような所得格差の趨勢的な拡大は、経済成長を大幅に抑制している。
所得格差の全般的な拡大は、他の所得層を大きく引き離している1%の超富裕層にも牽引されているが、成長にとって最も重要なのは、置き去りにされている低所得の世帯である。
格差の成長に対するマイナス影響は、貧困層ばかりでなく、実際には下位40%の所得層においても見られる。
これは、とりわけ社会的背景の貧しい人々は教育に十分な投資をしないためである。
租税政策や移転政策による格差への取り組みは、適切な政策設計の下で実施される限り、成長を阻害しない。
特に、再分配の取り組みは、人的資本投資に関する主要な決定がなされる対象である子供のいる世帯や若年層を重視するとともに、生涯にわたる技能開発や学習を促進すべきである。
(以下略)
日本には、働きたくても働けていない就労希望の日本人が、なんと323万人も存在すると言います。この内、働き盛りとされる25〜54歳だけでも175万人。人手不足で外国人を34万人も受け入れると言うのならば、まずは日本人を雇用すれば良いのでは?
なぜ政府は、働きたい国民を無視しておきながら、無理やり外国人を移入するのか?
これは企業が非正規労働者を求めているから、というのが答えでした。
非正規雇用の上、「外国人ならば賃金や待遇を改善しなくても働く」という経済界のひどい魂胆があります。そしてそれはそのまま日本人労働者の待遇をも悪化させます。
安い労働力をさらに絞り上げることで、一見、企業の利益を上げるようですが、マチ弁さんによると、このような政策は所得格差を拡大させ、それが経済成長を大きく妨げるとのOECD分析があるそうです。日本の20年以上の異常なGDPは、日本の所得格差と連動していると見ることができます。逆に子供のいる世帯や若年層の格差を解消する再分配政策は、経済成長へのプラス要因です。
「改正入管法」は海外から軽蔑されるだけでなく、日本の繁栄とは全く関係ない1%を富ませるだけの愚かな政策、無用の法律だということなのですね。