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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第12話 ― シオニズムその暗黒の源流

 これまでシオニズム運動にて建国されたイスラエルの事実、彼の国が差別思想に支配された虚偽隠蔽とテロ暴力に覆われた国家で、いわば光が閉ざされた暗黒国家であることを見てきました。
 シオニズムの底流には悪魔主義フランキズムがあり、それがテロリズムとして具現化されています。つまりフランキズム=シオニズム=テロリズムなのです。
 テロと言えば、2003年に米国が一方的に虚偽の因縁をふっかけ、宣戦布告も無しにミサイルを撃ち込み、開始したイラク戦争がそれを象徴しますが、近頃の戦争は、戦争と言うよりは国家による大規模テロと分類すべきでしょう。こういったエセ戦争のテロも広義にはシオニズムの一端と言えるのです。
 第5話で既に指摘していますが、シオニズムのイスラエルは、世界統一政府実現とその人民統治のための継続中の実験ケースでもあります。シオニズムとは狭義の意味では「パレスチナの地に新国家イスラエルを建国し人民統治」ですが、広義の意味では「世界統一政府建設と世界人民統治」なのです。
 偽ユダヤたちが計画する「新世界」を到来させる運動ニューワールドオーダー(NWO)が、広義のそして真のシオニズムであり、その土台の上に実験としてのパレスチナ・イスラエルのシオニズム運動が展開されてきているのです。暗黒国家イスラエルは計画された「新世界」の「雛形」なのです。

 このシオニズム、その暗黒の源流を今回は探っていきます。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第12話 ― シオニズムその暗黒の源流

シオニズム運動の父ウラジミール・ジャボチンスキー


一般的には「近代シオニズムの父」とされているのはテオドール・ヘルツルです。しかしそれはイスラエルを「全てのユダヤ人の避難所、天国を建設」との文脈上でしょう。事実はそれと全く異なっているのです。
(この欄はバルセロナ在住の童子丸開氏の多角度からの深く詳細な見解を基にして記述することにします。)

実際のシオニズム、イスラエルテロ暴力運動の父と言えるのがウラジミール・ジャボチンスキー(1880-1940年)です。


デイル・ヤシン村を襲撃したギャング団「イルグン」ボスのメナヘム・ベギンと「シュテルン」ボスのイツハック・シャミル、共に後の首相となった両者はジャボチンスキーの弟子です。初代イスラエル首相ベングリオンが率いた「ハガナー」そして「イルグン」「シュテルン」、これら後のイスラエル軍となるイスラエルのほぼ全ての暴力組織テロ組織はジャボチンスキーが創設もしくは大きく創設に関わっているのです。

彼は若くからジャーナリストそして迫真の演説家として頭角を現し、第1次世界大戦では英国軍にユダヤ人部隊を立ち上げ率いて、軍人としていくつもの勲章を受けています。

イスラエル初代大統領ハイム・ワイツマンからは「ユダヤ・ファシスト」、ベングリオンからは「ウラジミール・ヒットラー」と称されるようジャボチンスキーは激烈なファシストでした。彼はシオニスト青年団体ベタールを組織し各国に支部を創設していきます。そのポーランド支部にメナヘム・ベギンとイツハック・シャミルが所属していたのです。

ジャボチンスキーはイタリアファシストに接近、彼を気に入ったムッソリーニは喜んでベタールを迎え入れ、海軍基地で彼らに軍事訓練を施させ本格的な戦闘組織として確立させます。ベタールは当然ナチスとの交流もありました。ユダヤ青年ファシスト戦闘団とも称すべきこのベタールが今のリクード党に直に繋がるのです。

つまりベタールがベギン、シャミル、 シャロン、ネタニヤフを輩出し、現在までイスラエル支えてきたわけです。

ジャボチンスキーは「鉄の壁」理論を提唱します。これがシオニズム運動の思想的支柱になっています。

これを要約すれば「ユダヤ国家建設には原住民からの激しいアレルギー反応的抵抗があるのは必然。その原住民を「納得」させるには我々が「鉄の壁」になるしかない。即ち強力な武力で抵抗を徹底的完全に跳ね返すことで原住民はユダヤ国家建設の容認以外の選択肢が無いことを納得する。これが正義であり道徳である。正義は実行に移さねばならない。」

彼は「鉄の壁」の中で米国賛美しています。侵入者が原住民のネイティブアメリカンの各部族を完全駆逐抹殺して、新国家を誕生させているからです。暴力で民衆を抹殺し土地を強奪して新国家を建設するのが、絶対的な正義であり道徳だとしているのです。これは「悪を人為的に頂点に高め新世界を到来させる」ヤコブ・フランクの思想と同質でしょう。

ジャボチンスキーはシオニスト主流派からは「ユダヤ・ファシスト」「修正シオニスト」と揶揄されますが、現実にイスラエルは「鉄の壁」を選択し実行しています。虐殺され土地を強奪されたパレスチナ人は、狭い居住区という名の厚い壁の中、監獄と称すべき地に隔離されています。


暗黒の源流、背信のメシア、サバタイ・ツヴィと後継者


シオニズム運動の始まりその源流はどこか? シオニズムを「パレスチナの地にユダヤ国家建設」と狭義に限定すれば、その源流は外伝1で紹介したあの背信のメシアサバタイ・ツヴィに見いだせるでしょう。

メシアを自称し、(預言者)ナタンに認可を得たサバタイのメシア運動その主張とは、「パレスチナの地に10支族を復元させる。」だったのです。つまりパレスチナの地に失われた血統ユダヤ10支族を呼び戻して「ユダヤ王国を復元」させると宣言したのです。

彼がメシア宣言を行ったのは1666年です。こうして彼がパレスチナにユダヤ王国復興を主張しその運動が一大ムーブメントになったのであり、(パレスチナ)シオニズムの源流はサバタイにあるのです。

そのサバタイが「聖なる行為」としてイスラム教に改宗し、周辺の多くの人間たちがそれに倣っているのです。彼らはイスラム教徒を装いながらユダヤ国家建設を求めているわけです。ここで留意すべきは、サバタイ自身そしてその周辺はスファラディック・ユダヤつまり血統ユダヤ人だったという点です。

サバタイはオスマン帝国から最終的には追放され、その地で命を終えますが、彼の(いわばカルトの)メシア運動とその遺伝子は受け継がれます。ヤコブ・フランクのフランキストたちがそうです。


サバタイの生まれ変わりを自称するヤコブ・フランクも当然パレスチナでのユダヤ国家建設を主張します。それも驚くべき見解です。童子丸開氏は指摘しています。

「彼(ヤコブ・フランク)の言動の中で注目すべきことがある。「ユダヤ教カトリックは仲直りのときが来ている」と語り、その一方で自分の支持者に対しては「キリスト教徒を騙してパレスチナの地に反キリストの王国を建設するのだ」と。

パレスチナに「反キリストの王国」、驚愕ですが元々はサバタイの思想かもしれません。反キリストは666です。サバタイのメシア宣言は1666年なのです。

また、フランキスト以外のサバタイ直系の宗派があります。当時のオスマン帝国領ギリシアのテサロニッキを本拠とするドンメ-です。

フランキストはアシュケナジ(白色)で主にキリスト教偽装改宗団ですが、ドンメ-はスファラディ(有色)でイスラム教偽装改宗団となります。サバタイの周辺で彼に倣った最大の宗派です。サバタイ・カルトを源流とする流れは、秘かに見えない形でやがて膨張を重ねこの世界を覆い尽くすのです。

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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第10話 ― 人種差別国家イスラエル

 イスラエルの命運が“風前の灯火”となっているようです。中東で戦争と迫害を繰り返しパレスチナの人々始めアラブの民衆を殺害し土地を奪い領土を拡張してきたのがイスラエルです。そして全くアラブ人たちの人権を認めてこなかったのがイスラエルです。
 そのイスラエルと基本的に同盟関係にあるのは米国とサウジアラビアそしてもとはトルコもでした。また近年シリア侵害の包囲網をひいてきたカタールなど湾岸有志連合もイスラエルと歩調を合わせてきたと見て良いでしょう。しかし既に同盟を解除していたトルコは敵対関係だったロシアサイドにつきました。有志連合のカタールは離反し、現在のサウジアラビアは未曾有の大粛正のあの大混乱です。また肝心の米国自体もトランプが大統領になりこれまでとは様相が異なってきています。イスラエルは中東で完全に孤立となったのです。
 この孤立を招いたのはいうまでもなくイスラエルの「人種差別」意識です。この意識が「神から選ばれた選民」意識に由来するのかどうかは定かではありませんが、差別意識が他民族への攻撃暴力とつながりその反動が今返ってきているのです。
 しかし、イスラエルの人種差別は他民族に向けられるだけでないのです。差別は同民族の筈の自国民一般ユダヤ人にも強く激しく向けられているのです。イスラエルを建てた同じ存在がフランス革命を起こさせ人権宣言にて「自由と平等」を高らかに掲げさせてはいますが、実際の所は人権宣言を掲げさせた支配者の彼らは民衆の自由も平等も全く認めてはいないのです。
訂正)ヤコブ・フランクはガリチアを本拠に活動していましたが、生まれはガリチアと同様、サバタイ派の秘密結社が多くあったポドリアだった模様です。(2023/11/16)
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第10話 ― 人種差別国家イスラエル

イスラエル国内における差別の実態


『人種主義・マルクス主義イスラエルでの、米国ユダヤ人の人生』を著したジャック・バーンシュタイン氏はハザール王国にそのルーツを持ちここではハザール・ユダヤ人と呼称してきた米国生まれのアシュケナジ・ユダヤ人です。アシュケナジ・ユダヤとハザール・ユダヤは同じ意味です。

前回の最後に見たようにその白色のアシュケナジ(ハザール)ユダヤ人のバーンシュタイン氏が有色のスファラディック・ユダヤ人たちと喫茶店で同席し会話していただけで警官に見とがめられ「“黒んぼ”から離れよ」と警官から命令され、その命令に即座には従わなかった、それだけで警官から銃を突きつけられ下手をすると射殺されかねなかった体験としての事実、これはイスラエルが自国民衆の自由を縛り上げる超警察国家であることを示します。

そして同時にイスラエル国内において同じユダヤ人に分類されながらもアシュケナジとスファラディックとの間に深刻な差別が存在していることを示します。アシュケナジの警官がスファラディックを“黒んぼ”と呼んでいるのです。深刻な不平等です。スファラディック・ユダヤ人がイスラエル国内で二等国民として様々な差別を受けているレポートは種々あります。居住地職業等様々な不当な扱いを受けています。

「イスラエルはユダヤ人の“避難所”“天国”」とのシオニストが発するプロバガンダのカモの一人となったバーンシュタイン氏の受難はイスラエル到着からそう日を置かず始まります。バーンシュタイン氏はイスラエル到着早々にある女性に“一目惚れ”し求愛した結果イスラエル到着の4ヶ月後に結婚に至ります。その結婚相手でバーンシュタイン氏が“ジヴァ”と呼ぶ女性がスファラディック・ユダヤ人だったのです。それでバーンシュタイン氏も差別の対象となり様々の不当な体験を受けることで、バーンシュタイン氏は「ありのままのイスラエル」を広く深く認識していくことになるのでした。

さてイスラエル国内ではスファラディは二等国民です。しかし当然その下の三等国民が存在します。イスラム教徒キリスト教徒などのアラブ人たち異民族がそうです。そうするとイスラエルでは一等国民がアシュケナジ(ハザール)ユダヤ人、二等国民がスファラディック・ユダヤ人、三等国民は異民族、この差別構造になりそうですが違います。


アシュケナジ・ユダヤ人の間にも差別構造があるのです。バーンシュタイン氏は結婚前「イスラエルに到着した直後から数多くの中傷が私に集中した」「私は何度もこう言われた。「国に帰れ!」「俺たちはお前たちのお金は欲しいが、お前たちはいらない。」と語ります。

移住してきた同じアシュケナジ・ユダヤ人でも欧州からの移住者が上位で米国の移住者は下位に扱われるのです。ところが米国からの移住者でも優遇されるものもいたのです。共産党員のアシュケナジ・ユダヤ人です。

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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第7話 ― ソビエト連邦 大惨事の社会実験(上)

 2013年1月、プーチン大統領はモスクワの国立スキニアソン図書館で列席したユダヤの有力者たちを前に次のように語っています。「最初のソ連政府メンバーの80~85%はユダヤ人だった。」「誤ったイデオロギー的考えにとらわれたそれらのユダヤ人たちは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教やその他の宗教の信者たちを逮捕し、抑圧した。」
 100年前の1917年11月「10月革命」が起こりその後の闘争を経て1922年にソビエト連邦が発足します。この一連の動きをロシア大統領自身が「ユダヤ人による革命政府だ」と言外に明らかに示しているのです。いやもっと正確にはその革命を実行したユダヤ人は「既成宗教全て、ユダヤ教をも否定迫害した」と語り、革命ユダヤ人はユダヤ教徒つまりユダヤ人でもないとの認識を示しているのです。
 ロシアの転覆とソ連の樹立とは、世界政府樹立における最大の敵と目された帝政ロシアの打倒転覆、同時に世界統一政府下における人民統制の仕組みの社会実験、それもいわば密室状態にしておいての実験でしょう。「偽ユダヤ」の計画と指示、「ハザールマフィア」の実行によるものです。
 私自身調べてみて驚愕と震撼を受けたのですが、10月革命の1917年からスターリンが死去した1953年の約35年間、旧ソ連の民たち、ロシア人ウクライナ人たち、ハザール人らも恐るべき凄惨な苦痛苦難の歴史をその身奥深くに刻み込むことになるのでした。ソ連発足これは大惨事の社会実験でした。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第7話 ― ソビエト連邦 大惨事の社会実験(上)

フランキスト(悪魔主義)が建設、支配したソ連


1815年のウイーン会議から数えて100年余に渡ったロシア転覆工作、その仕上げ1917年の10月革命は「ユダヤ革命」だと示していましたが、より正確には「フランキスト革命」と呼ぶべきでしょう。

外伝1で紹介したヤコブ・フランクは18世紀に当時ポーランド領で旧ハザール領の隣接地域ガリチアに誕生します。父親はサバタイ主義、これは国家内国家を形成していたポーランドハザールユダヤ人社会の中に既にサバタイ運動の拠点がいくつかあったこと示します。

ガリチア地域を始めとしたそれら拠点を中心にヤコブ一派はサバタイ主義を更に凶悪凶暴にしたメシア運動フランキズムを展開したと見て良いでしょう。フランキズムこれはステルスサタニズム運動であって、悪魔主義のフランキストはすでに同じハザール人であっても改宗ユダヤ人とは決して呼称できません。一般ハザールユダヤ人とは区別すべきです。

ロシアは18世紀末のポーランド分割にて単なる改宗ユダヤのハザール人だけでなく悪魔主義に変質した危険なフランキスト・ハザール人らもその領内に取り込んでしまっていたのです。彼らが工作員としてロシア一般社会やハザールユダヤ人の中に潜り込み「皇帝暗殺計画」「ポグロム煽動」「シオニズム」「革命運動」等に従事していたと見るべきでしょう。

その裏で世界政府樹立のためロシア転覆を計画しフランキスト・ハザール人らにその指示と援助をした国際金融銀行家、彼らもフランキストであり悪魔主義者です。従ってロシア転覆は全てがフランキストの計画と実行によるので「10月革命」は「フランキスト革命」とするのが正確だと認識するのです。

ただし同じ悪魔主義の魔でも使役する側と使役される側がいます。魔を使役する側の悪魔の国際金融銀行家を「偽ユダヤ」使役される側の魔のフランキスト・ハザール人たちを「ハザールマフィア」と呼称することにします。歴史の表舞台というか教科書に載っているレーニン、トロッキー、スターリン、そしてヒットラーたちは使役される側で使い魔と見て良いでしょう。偽ユダヤは歴史の表舞台、教科書に載ることはないのです。

ヨシフ・スターリン [Public Domain]


1922年に発足し、ハザールマフィア間の内ゲバで勝利し独裁者となったスターリンが治めたとされるソ連、このソ連を共産主義イデオロギー国家と一般には教えますが本質を外しています。フランキストつまり悪魔主義が建設した国家がソ連です。悪魔主義者の行動原理は怨念憎悪の狂気と恐怖です。

当然ソ連は怨念憎悪が渦巻く恐怖政治となりそこに民は巻き込まれます。新たに収容所が次々と建設され、その所長にはほとんどがユダヤ人(正確にはフランキスト・ハザール人でしょう)が就任し無数の民が続々と収容され強制労働、拷問、虐殺されたのです。人民監視・密告が制度義務化された超警察国家です。その全てがいわば密室内で行われたことです。秘密警察機構その狂気と恐怖こそが初期ソ連を統治したのです。

極言すると共産主義思想とかイデオロギーなどとは実は強欲の権力支配権争いをごまかす、とってつけた上面の飾りに過ぎません。

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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 外伝1 ― 「成りすまし・内部乗っ取り」の系譜

 今回は少し脱線です。

 ベンジャミン・フルフォード氏はこのところ「ハザールマフィア」の呼称で統一していますが、ある時期まではその「ハザールマフィア」を、一般ユダヤ人と区別するため「サバタイ派」「サバタイ・マフィア」と呼称していました。
 「サバタイ(シャブタイ)派」とは「サバタイ-フランキスト」の意味です。サバタイとフランクの名が冠されているのです。日本ではほとんど知られていないこのサバタイとフランクとは?
 初回に記したように、ユダヤ問題の本質は「成りすまし」にあると見ています。ユダヤ民族の歴史自体が「成りすまし」から始まっているからです。そして近・現代における「成りすまし」そして内部からの「乗っ取り」の本家といえるのがサバタイ・ツヴィとヤコブ・フランクです。
 今回は話の筋から本編に掲載できなかったユダヤ問題の超重要人物と見なすべきこの二人とその影響などを外伝として見ていきます。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 外伝1 ― 「成りすまし・内部乗っ取り」の系譜

「背信のメシア」サバタイ・ツヴィ(1626-76)


もともと歴史的に祖国を失ったユダヤ教徒は自分たちユダヤ民族を導き解放する「メシア」を、その到来を待望してきました。メシアには「祭司のメシア」「王のメシア」があり、更にその上の存在の「預言者」によって構成されることになります。(ナザレのイエス、イエス・キリストは自らをメシアであると自認していました。ただしユダヤ教徒はそうとは認めなかったのです。このあたりの詳しく深いことは、映像配信・宗教学講座「新約聖書」(155回157回あたり)をご視聴ください。

迫害続く中世のユダヤ人社会ではメシアの到来を待望し「カバラ思想」が多く研究され隆盛となっていました。「メシア運動」と「カバラ」は密接で切り離せないとのこと。そして「カバラによれば、天国に秘め置かれている“メシア(救世主)の魂”が地上に“人の子”として現れ、全ユダヤ人を救済するのは、地上の悪が絶頂に達したとき」(「ヘブライの館2」)とされ、ユダヤ人逹は「その時」が近いと感じていたのです。


16世紀には欧州が「終末思想」に覆われました。そしてカバラ思想がユダヤ社会の支配的思想になっていた17世紀、トルコにサバタイ・ツヴィ(1626-76)」が誕生します。日付は奇しくもソロモン神殿崩壊の日にちでした。重度の躁鬱病者であったサバタイは、神秘体験を通し自分がメシアであることを自覚します。(ただしユダヤ社会は認めず奇人扱い)。

一方、早熟の天才で神秘的な資質も備えたカバラ学者ナタンはユダヤ社会の厚い信頼を得ていました。

ある日ナタンは「神秘体験によって、ガザにメシアが現れるという神の啓示を受けたと確信・・・啓示に従って、ガザでサバタイ・ツヴィと出会ったナタンは、彼こそ預言されていたメシアだと、ただちに直感した。と同時に、自分はメシアの到来を告げる“先駆けの預言者”エリアの再来だと確信した。」(「ヘブライの館2」)。

運命的出会いの1665年に「預言者」ナタンはサバタイを「メシアだ」と宣言。疑問視しいぶかる正統ユダヤ教徒逹を尻目に多数のユダヤ人の信頼を得たサバタイは「ユダヤの王」として振舞います。彼をメシアと信奉する信徒は、トルコ国内だけで何十万人にも達したようです。ユダヤ史上空前のメシア運動の展開です。しかしこの熱狂トルコ政府は危険視し、メシア運動は大きな転機を迎えます。

サバタイはトルコ君主の前で「死か?イスラムへ棄教改宗か?」の選択を厳しく迫られたのです。サバタイはあっさりと「棄教改宗」を選びます。信者への決定的“裏切り行為”です。しかしこの裏切りは“崇高行為”に化かされます。逆にサバタイは更に神秘的メシアへと昇格、多くの熱狂的な信者を獲得し、ユダヤ人の間に大ムーブメントを起こします。

ナタンはサバタイの裏切りを「強大な悪魔を撃ち倒すために、メシアが犠牲となって悪魔の懐深くに飛びこんだのだ。」としたのです。このアイディアは、ユダヤ教から屈辱的に改宗した者(マラーノ)たちに希望と言い訳を与えてくれるものでもあったのです。サバタイは、敵対する勢力に、味方だと「成りすまし」侵入し、内部から腐らせて崩壊にいたらせ「乗っ取る」戦法 を説いたわけです。

このサバタイの運動は、結果「表向きの改宗者を数多くつくりだした。ある者はイスラムに改宗し、またある者はカトリックに改宗していった。」のでもあります。

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