Mike Whitney
August 26, 2016, Information Clearing House, Counterpunch
世界を支配するワシントンの計画の中心的計画者が、この謀略を断念し、ロシアや中国との連携を探ることを提言した。ズビグネフ・ブレジンスキーのAmerican Interestに掲載されたこの論文「地球的な再整列へ向けて」(Towards a Global Realignment)は、メディアによってほとんど無視されているが、政策立案組織の強力なメンバーたちが、もはやワシントンが、中東やアジアにその覇権を広げようとしても、勝てる見込みはないと思っていることを、それは示している。
ブレジンスキーは、これまで、こうした計画を提唱する主要人物であり、
1997年の著書『大いなるチェスボード:アメリカの制覇とその地戦略的絶対命令』(The Grand Chessboard: American Primacy and Its Geostrategic Imperatives)
で、帝国主義的拡大の青写真を起草したものだが、今、180度転換して、この戦略の劇的な修正を唱えている。ここに「アメリカン・インタレスト」誌のその論文から抜粋する――

「その地球的制覇の時代の終わりとともに、アメリカは、地球的権力構造の再整列化をリードする必要がある。
地球的な政治権力の再配分と、中東で暴力的な政治的覚醒が起こってきたことに関する、5つの基本的な事実は、新しい地球的な再整列が生じつつあることを指し示している。
これらの事実の第一は、アメリカは依然として、世界の、政治的・経済的・軍事的に最強の国家ではあるが、地域的なバランスの複雑な地政学的なシフトを考えるなら、それはもはや地球的な帝国権力ではない。」(ブレジンスキー「地球的な再整列へ向けて」)
繰り返そう――アメリカは「もはや地球的な帝国権力ではない。」この評価を、ブレジンスキーが何年か前、『チェスボード』において、アメリカは「世界の至上の権力である」と言ったときと比べてみるとよい。
「...20世紀の最後の10年間に、世界の情勢に地殻変動的な変化が起こった。歴史上初めて、一つの非ユーラシアの強国[アメリカ]が、ユーラシアの力関係の鍵的調停者としてだけでなく、世界の至上の強国として出現した。ソビエト連邦の敗退と崩壊は、一 つの西半球の強国アメリカの、唯一の、そして実に最初の、真に地球的強国としての、 急速な登場の初めの一歩であった。」(ブレジンスキー『大いなるチェスボード』、1997, Basic Book, p.xiii)
「アメリカン・インタレスト」の論文からもう少し引こう――
「実を言えば、アメリカが世界の舞台に現れるまでは、真に“支配的な”地球的強国というものは存在しなかった。...決定的に新しい地球的現実は、アメリカが世界の舞台に、最も豊かであると同時に軍事的に最も強力な役者として、登場したことだった。20 世紀の後半を通じて、これに匹敵する他の強国は存在しなかった。その時代は今終わろうとしている。」
しかし、なぜ「その時代は今終わろうとしている」のだろうか? ブレジンスキーがアメリカを「世界に並ぶ者のない強国」だと言った1997年以来、何が変わったのだろうか?
ブレジンスキーが指摘するのは、ロシアと中国の台頭、ヨーロッパの弱体化、それに「植民地時代後のムスリムの間の、暴力的な政治的覚醒」で、それらがこの突然の反転の近因だと言う。彼のイスラムについてのコメントが特に面白いのは、彼が、典型的な政府による決まり文句“我々の自由に対する憎しみ”ではない、テロリズムの合理的な説明をしていることである。彼の名誉のために言うと、ブレジンスキーは、テロの発生を「歴史的な恨みが、埋もれた不正の思いから湧き上がってきたもの」と見て、狂信的なサイコパスの残酷な暴力とは考えていない。
当然ながら、短い1,500語の論文では、
ブレジンスキーは、アメリカが将来、直面するであろうすべての難題や脅迫を論ずることはできない。しかし明らかなことは、彼
が最も心配しているのは、ロシア、中国、イラン、トルコ、その他の中央アジア諸国の、経済的、政治的、軍事的な結束の強化である。これが彼の主たる懸念の領域であって、実は彼は、
この問題を『チェスボード』を書いた1997年にすでに予測している。彼はこう言っている――
「今後アメリカは、ユーラシアからアメリカを押し除け、地球的強国としてのアメリカの地位を脅かそうとする地域連合に、どう対抗するかを決断しなければならなくなるだろう」(p.55)
「もっと野蛮な、古代の帝国へ遡る言葉遣いをするならば、帝国の地戦略の3大命令とは、従僕国の間の結託を防ぎながら安全保障は帝国に拠らしめ、属国を従順で保護された状態に保ち、野蛮人どもが結束しないように配慮することである」(p.40)
「従僕国の間の結託を防ぐ...」これですべてがわかるのではないだろうか?
オバマ政権の無謀な外交政策、特にリビアとウクライナの政府の転覆は、反米連合が形成される速度を大いに加速させた。言い換えると、ワシントンの敵は、ワシントンの行動に応じて現れてきた。オバマは自分を責めることしかできない。
ロシア連邦大統領ウラジミール・
プーチンは、地域の不安定化と、NATO軍のロシア国境への配備のますます高まる脅威に対して、
ロシア周辺と中東全域の諸国同盟を強化することによって対抗している。
同時に、プーチンと BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、 中国、南アフリカ)
は、アメリカの地球的権力の源であるドルによる支配機構に究極的に挑戦することになる、代替銀行組織(BRICS銀行とAIIB)を設立した。
これこそブレジンスキーが、急速な180度の転回をして、アメリカの覇権計画を放棄した理由である。彼が懸念しているのは、ドルをベースとしない組織が、発展途上国と非同盟諸国に広がって、西洋の中央銀行寡頭独占に取って代わることである。もしそれが起これば、アメリカは地球的経済のとりでを失い、
価値のない米国紙幣が価値のある物品やサービスに交換できる、ゆすりシステムが終わることになる。
» 続きはこちらから
要するに、イラン政府はこの事件を、アメリカ・サウジアラビア、そしてイスラエルが関与した偽旗事件と認識しているのです。“近いうちに、具体的な事実として白日のもとにさらされることになる”と結んでいます。
ここまで踏み込んだ記事を書いているとなると、この事件は単なる陰謀論という範疇ではもはやありません。これ以降の記事を見ても、事件にブッシュ政権が関与していたことは、彼らのその後に取った行動から明らかです。事件の真相が暴露されると、アメリカが悪の帝国であることが明らかになり、メディアは、これまで報じてきた内容と180度違う事実を報じざるを得なくなり、さまざまなレベルでの責任問題につながってきます。
この意味で人類の夜明けは秒読みの段階に入ってきたと言えます。