2014年8月11日
ポール・クレイグ・ロバーツ、デイヴ・クランツラー、ジョン・タイタス
2004年1月6日、
ポール・クレイグ・ロバーツと、アメリカ上院議員チャールズ・シュマーが、ニューヨーク・タイムズの論説欄に“自由貿易再考”と題する
共著論文を発表した。
アメリカの雇用は、外国企業との競争ではなく、より低賃金の国に事業移転し、経費を削減する多国籍企業のおかげで失われつつある。
レーガン財務次官補と、ニューヨーク州選出のリベラルな民主党上院議員という異様な組み合わせによる“自由貿易グローバリズム”と見なされているものに対する異議申し立ては、
センセーションを巻き起こした。
ロバーツは言った。“20年後、アメリカは第三世界になるでしょう。”
アメリカ経済は、あと20年間もつだろうといった
ロバーツは楽観的に過ぎたようだ。会議から
わずか10年後、既にアメリカは、益々
第三世界の国の様相を呈している。デトロイト、クリーブランド、セントルイス等のアメリカの大都市、五分の一から、四分の一の人口を失った。
4月、低賃金労働者の擁護団体ナショナル・エンプロイメント・ロー・プロジェクトは、本当の平均家計所得は、2007年から、2012年の間に、10%低減したと報じた。
“一体何が問題というのだ?アメリカは地球上で最も豊かな国だ。貧しいアメリカ人ですら、TVを所有し、中古車を2,000ドルで購入できるではないか”とおっしゃる前に、
アメリカ世帯の三分の二は、手持ちのものを売却するか、家族や友人から借りるかしないと、400ドルという現金を用意できないという連邦準備金制度理事会が最近公開した報告書をお考え頂きたい。
アメリカの経済マスコミの報道からは決して知ることはできないが、
現在、アメリカ人が直面している悲惨な就職見通しは、30年前のインドのそれに匹敵する。アメリカの
大学卒業生達が雇用される場合があるとすれば、ソフトウエア・エンジニアや、管理職としてではなく、
ウエイトレスやバーテンダーとしてなのだ。彼等は独立して暮らすほどの収入がえられず、親元で暮らさざるをえない。
学資ローンを抱えた人々の半数は利息を支払えずにいる。18パーセントは、取り立て中か、滞納しているかだ。更に学資ローンを抱えた人々の34%が繰り延べか、債務履行猶予状態にある。
明らかに、教育は解決策にはならない。
雇用の海外移転は、アメリカ経済が依存していた消費者需要の増大をも破壊して、経済は、労働年齢人口の増加に追いつくだけの十分な雇用を生み出せない結果となった。
2000年以来、雇用の欠如が
就労率を低下させ続けてきたが、量的緩和が2008年に始まって以来、就労率の低下は加速している。
就労率が崩壊していては、経済回復などありえない。
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実際、かねてから私たちの国は段階を追って確実にアメリカナイズされてきているので、日本の状況はやがて安倍さんの「雇用改革」などを経てもっとはっきりとしたかたちで現在のアメリカの状況と重なり合うようになるかもしれません。
みなさんもご一緒に、アメリカの労働者達の姿を通して私たちがおかれている状況について考えてみませんか。