ある日、
田んぼで驚きの光景に出会いました。
ギンヤンマがジョロウグモの卵の袋の近くに生きたまま捕らえられて繋がれているのです。片方の羽根だけが枝にくくりつけられ、元気な状態でした。私が田んぼに立てていた木の棒に羽根の先端がくるりと巻きつけられ、まるでボンドで分厚く固めたようにクモの糸が巻かれていました。もうすぐ孵る(かえる)であろうクモの子供たちのためだとはわかったのですが、ギンヤンマを助けずにはおられず、手で解こうとしたら、トンボの羽根の1枚の先が千切れてしまいました。もう一枚はくるっと曲がった形で外れました。
ギンヤンマを田の草につかまらせておいて、車で帰っていると目の前を2度大きなオニヤンマが通り過ぎました。まるでギンヤンマを助けたことを感謝されているような気がしました。オニヤンマがトンボの王様なんだなと思うのと、離れた所にいてもちゃんと分かっているのだと思いました。そういえばセミのように鳴いて存在を知らせることもしないトンボたちはテレパシーみたいな能力でわかり合っているんだと思いました。トンボだけでなく、蝶やいろんな虫たちの世界が少し理解できた気がします。
植物たちがテレパシーで話しているのは聞いたことがあったのですが、考えてみると虫たちもですよね。
ちなみに、同じ模様のジョロウグモが家の壁と庭木との間に巣を張っていて、私が通る度にクモの糸を切っていました。それでも逃げずに壁に4〜5日留まっていたある日、スズメバチがそのジョロウグモを獲ってむしゃむしゃ食べていたのです。
こんなふうに、さらりと答えられる、
そういう人に私もなりたい。