原発廃炉費用 年間数千億 お荷物原子力部門の切り離し作戦へ

 福島第一原発の廃炉費用が年間数千億円になることから、経産省が原子力部門を東電から切り離すことを提案しています。切り離された東電の原子力部門は、ほかの大手電力会社の原発部門と提携させることで収益を上げ、廃炉費用を確保することを狙っているようです。東京新聞の記事には、"資料には「信頼回復の上で原発の再稼働」と記載されており、信頼を失った東電ブランドから看板を掛け替える狙いもみえる"とあります。
 さらに"続きはここから"以降の記事によると他の電力会社も原発部門を切り離し、その受け皿として"「原電」と各電力が出資金をだし、さらに30%~50%は国が資金を出すことが想像される。つまり、原子力が名実ともに役人体制に組み込まれる…(おそらく、このポストを経産省が虎視眈々と狙っている…)"とあります。
 電力会社から原子力部門が切り離され、原発が一堂に会すことで闇が浮き彫りになり、原発即時ゼロが実現しやすくなるのかもしれません。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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廃炉、年間数千億の試算 東電原子力事業に分社化案(16/10/25)
配信元)

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配信元)




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1404.東電の原子力部門の子会社化-廃炉を担う人材がいなくなる
転載元)
福島第1の廃炉費用、年数千億円増も 経産相「年内めどに提示」 

(中略) 

[東京 25日 ロイター] - 経済産業省は25日、東京電力(9501.T)福島第1原発の廃炉費用について、燃料デブリ取り出し作業により増加する見込みで、年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの見方を示した。同日朝に開催された「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)の資料で明らかにした。

 毎年数千億のカネをかければ、廃炉できるのなら、それはむしろ素晴らしいことだろう。ところが、フクシマの廃炉は地球上で経験のないものであり、そもそも技術自体がこの世に現時点で存在していない。放射性廃棄物は、結局のところ放置するしかないというのが、米国を元とする核先進国が全員たどり着いた結論である。(中略)…
 そして、この数千億という費用は今後も永遠に費やすしかない費用であることから、さすがの東京電力でも持ちこたえられないため、ついに原子力部門の分社化まで踏み込んだ。

東電原発事業の子会社化を提案 経産省、福島関連を除き 
米谷陽一、風間直樹 2016年10月25日12時00分 朝日新聞 

経産省が提案した東電再編のイメージ

経産省が提案した東電再編のイメージ



 経済産業省は25日、東京電力ホールディングス(HD)の原子力事業のうち、事故を起こした福島第一原発関連以外を分社し、子会社化することを学者や経営者による有識者会議に提案した。新潟県の柏崎刈羽原発などの原発事業を切り離すことで、ほかの大手電力などと連携しやすくする狙いがある。
(中略) 

 簡単に言うと、原子力部門を電力から切り離すと言うことである。そもそも東京電力の現在の形態

東京電力HD→廃炉、新潟原発、水力
火力子会社
小売り会社
配電

を見ればわかるように、原子力だけを実質的には切り離した形である。優秀な人材は、すでに火力、配電に配置して、原子力部門とは交流を断っているわけである。これは、近い将来の原発部門の切り離しを視野に入れているであろうことは、既に指摘している(というよりも、だれにでもわかる)。それで、東電の原子力部門(新潟)を分離して、他電力でもお荷物になっている原子力部門を一つにまとめてしまえという議論に当然のごとくなっているわけだ。

 当然受け皿がなければならず、おそらくそれは「原電」と各電力が出資金をだし、さらに30%~50%は国が資金を出すことが想像される。つまり、原子力が名実ともに役人体制に組み込まれるわけで(おそらく、このポストを経産省が虎視眈々と狙っていると思われる)、電力、役所にとっては大変都合のいいのである。

電力は、自分の中に鬼っ子(コストは高く、危険で、庶民の反対がつよい)を抱えているよりは、持参金付きでさっさと誰かに押しつけたいのは、もはや誰が見ても明らかである。半官半民とはいえ、まがりなりにも、稼働させようと頑張ってきた電力が手を引いてしまえば、あとは役所仕事。原発を稼働し続けてることなど、早晩できなくなるのは明らかである。原発が一堂に会してしまえば、電力コストその他は白日の下にさらされ、いよいよ塗り固めたウソがバレてしまう。さらには、電力が総括原価方式の元、湯水のごとく注ぎ込んできた広告費も消失してしまうのだから、それこそ「すっぴん」で、その攻撃に耐えねばならなくなる。

 そうはいっても、まだ原子力発電部門に残れた人物はいい。あわれなのは、廃炉担当者となってしまった職員である。東京電力持ち株会社とは言っても、実質的には廃炉のみを担当する職務しか残っておらず、他部門に移動することなど不可能になってしまうのである。このような状況で、職員の士気が上がるだろうか。まともな新入社員が入ってくるだろうか。考えるまでもないことである。

 あの東京電力(世界最大の民間電力会社)がたった一度の原発事故で、なすすべもなくここまで追い込まれるのを見て、背筋を凍らせない原子力会社はいないだろう。明日は、我が身である。

 原発即時ゼロ。

 最悪の事態で、最良の方法といえば、これしかない。

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