[第7回] 地球の鼓動・野草便り 今、美味しい春の野草5種(5)


今、美味しい春の野草5種(5)


広島の安佐南(北)区(元、安佐郡)の安佐はもともと麻を栽培していた地域だからついた名前だそうです。戦前までは自由に麻(大麻)が栽培でき、広島県でもたくさんの大麻が生産されていたそうです。(参考情報:ひろしま郷土資料館だより No.91

もう一つ、戦後禁止されたのが、自家製のお酒、濁酒(ドブロク)などです。
濁酒は自家発酵の超健康食品です。
広島に原爆が落とされた時、近くで前の晩から仲間とお酒を飲んで酔いつぶれていた人たちがいたそうです。その人たちは原爆症にならなかったとか! 当時の日本酒にも発酵菌が沢山いたと思います。

それから、聞いた話では、日本中に江戸時代からの榎(エノキ)の巨木があり、戦後GHQの命令でほとんど全部伐らされたということです。なんでも榎は雷が落ちない霊木だとか。江戸時代、帯刀していた武士たちが、雷から避難するために植えられていたのでしょう。

榎の木とジロウ


ちなみに榎の葉は国蝶のオオムラサキの幼虫の食樹です。えのき・・餌の木・・実が鳥の餌になる木です。山寺にかろうじて残された榎の巨木があり、廃寺になっていたその寺に居られる住職から、榎の種から育てた苗を頂いたのが、今年も芽を出しました。まだ実はつきませんが、今年で約10歳、1メートルくらいに育ちました。

大麻や濁酒も戦前までは、普通だったんですよね・・・戦後、大盗賊団!?の収入源として庶民から取り上げられた超健康アイテム。あれば日本人はもっと健康だったのでしょうね。

さて、今回はいつもの山へ行ってきました。お目当はワラビ、ゼンマイです。

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(1)ワラビ


ワラビは必ずあく抜きが必要です。草木灰があれば、ふりかけて上からお湯を注ぎ、全体がつかるようにして3時間以上(1晩くらい)置き、洗って水にさらします(1時間くらい)。
灰がない場合は重曹(1%未満)をお湯に溶かしてかけます。

塩漬けでアクを抜く地方もあるようですが、発ガン性物質などがあるようですので、きちんとあく抜きをします。 昔から食べられてきた栄養価の高い美味しい食材です。

煮物にして柔らかくする場合(味付けは柔らかくなってから)と、酢醤油などに漬けて、歯ごたえを楽しむのもいいです。

  1. あく抜きしたワラビを酢醤油に漬ける。1時間くらい~1週間くらい?で食べます。今回の酢は松葉酢を使いました。

強風で散った八重桜の塩漬けを添えて。

(2)ゼンマイ


(左)女ゼンマイ(←食べるのはこちら) (右)男ゼンマイ


ゼンマイは昔から鉄分が多く貧血に効くといわれています。
ゼンマイには男ゼンマイと女ゼンマイがあり、食べるのは女ゼンマイの方です。 蒸して(茹でて)あく抜きして、干して(干しながら揉むと柔らかくなります)から食べます。貧血や催乳などに食べられてきた、日本人の知恵の食文化の1つですね。

長けたゼンマイ



(3)アザミ



アザミにはたくさんの種類がありますが、ほとんどが解毒、滋養強壮などの薬効があり、食べることができます。 柔らかい葉はてんぷらなどにすれば、トゲが気になりませんが、火にかざすと簡単にトゲが焼けますので、下処理してから調理します。


  1. 火にかざしてしっかりトゲ焼きをしたアザミを洗って適当な長さに切る。
  2. 油で炒めて醤油で味付けします。(お好みでみりんを)


(4)イタドリ(カッポン)


痛みを取るから来た名のイタドリです。今の時期の芽はカッポンとかスッポンといって、子供の頃から皮をむいてかじって食べていましたね? 私が小学校1〜2年の頃、子供同士で山へ遊びに行った時、小学5〜6年くらいのお兄ちゃんが塩を持って来ていて、カッポンに付けさせてもらうと、格段に美味しくなったのを覚えています。

根や種などが、止血、鎮静、リュウマチ、膀胱結石、抗ガンなどの薬として使われるようです。

葉っぱを戦時中はタバコの代用にしていたそうなので、早速作ったことがあります。タバコを吸う人に試してもらうと、確かに美味しいそうです。(大きな葉をある程度乾燥させて、干したヨモギやミントを巻いてご飯粒で端を貼っただけの葉巻です。イタドリだけを刻んでペーパーで巻いたらきつすぎるみたいでした。)
もしかしたら、痛みを取るの語源となったのは、イタドリを燻したりして煙を吸っていたのかなぁ(麻酔?)などと思いました。

皮付きのまま(皮を剥いてもいい)を切って油で炒めて醤油で味付けしたきんぴら風や、生を塩漬けして漬物風にしたり、ジュースにしたり、塩茹でして刻んで砂糖で煮てジャムにも。
郷土料理になっている所もあるようで、四国で塩漬けを買って帰ったことがあります。


  1. イタドリの皮をむいて、適当な大きさに切る。
  2. イタドリ、タネツケバナなどに塩少々をふりかけて、なじませておく。
  3. サラダ用オイルとスパイス(クミンシード、ディルシードなど)をふりかける。 (今回はシベリア杉の実オイルを使いました。)

(5)タラノキ



樹皮や根皮が滋養強壮、胃がん、糖尿病などの薬につかわれるようですが、芽は山のバターといわれるくらい脂質、たんぱく質に富み、山菜の王様として、最近では栽培も多く、発芽促進剤なども使われるようです。

山でも毎年採られて、三度目の芽を摘んでしまうと木が枯れるとか。この頃はめったに摘めることはなくなりましたので、産直などで買っています。今回は地元で売られていたものです。トゲの少ない女ダラが好まれますが、タラにはトゲがあります。よく似たウルシの木にはトゲがありません。

(左・右) ウルシの木


ヤギが食べる草は人間も食べられるが、ウルシだけはヤギが食べても人間は食べられないと聞いたことがあります。ヤギを飼えば、食べられる草を教えてくれそうですね。ただし、間違って毒草を食べて嘔吐下痢をしているヤギを見たことがありますので・・・!!?? 外国から来たのかな? あのヤギ・・・。


  1. 昆布、椎茸などを水に浸しておいた鍋に生の筍を切って入れて煮る。(5分くらい)
  2. 醤油、(お好みでみりん)を適量入れて味をつける。
  3. タラの芽を大きいものは切って、鍋に入れ、一緒に煮る。(5分くらい)

※筍の栄養分は水溶性なので、下茹でしないで煮ます。 茹でなくてもエグミがない筍と、茹でてもエグミのある筍があります。 エグミが強い時は天ぷらや油で料理すると食べやすくなります。

yasou
教えて!ニャンコ先生!
自然豊かな大地を毎日かけまわっているミヨ(ニャンコ・2才)がお答えします!

質問者
ヤマゴボウってアザミの根って聞いたことがあるんだけど、ホント・・・?

ニャンコ先生
モリアザミの根をヤマゴボウというにゃ。
おみやげ屋さんでヤマゴボウの漬物売ってるにゃ。

だけどヨウシュヤマゴボウという毒草があるにゃ!
見た目はアザミとは全くちがうんだけどにゃ。
子供の頃ブドウのような実を色水にして遊んだことがあるにゃ?あれがヨウシュヤマゴボウにゃ!
ニャンコ先生
にゃんにゃん母さんはモリアザミの種を取り寄せて、ヤマゴボウを育てているにゃ。

アザミの根はノアザミなどもゴボウみたいに食べれるにゃ~。
アザミの花は蝶たちの大好物にゃ!
質問者
ノアザミは近所にいっぱいあるよ!食べられるんだ〜♪
ねぇねぇ、モリアザミと一緒に写っているニャンコはだあれ?

ニャンコ先生
兄貴(異父母兄弟)のジロウだにゃ!


■ 参考文献
イー薬草・ドット・コム
「大地の薬箱 食べる薬草事典」 村上光太郎/著 農文協
「カラダ改善研究所 自然のチカラいただきます」中村臣市郎/監修 西日本新聞社

ライター

ニャンニャン母さんプロフィール

ニャンニャン母さん

プロフィール:1955年魚座生まれ、広島の県北 中山間地域在住、
体癖はおそらく2ー3種

20代の頃「複合汚染」有吉佐和子/著 を読んで、食の環境悪化を考えた時、野草を食べることを思いつき、食料としての野草研究を始める。
全くの素人ながら、健康住宅の設計事務所に入社し、健康住宅を学ぶ。
残された人生と限られた時間について気付かされ、仕事を辞め、自給自足を目指す。
平成22年頃、古民家を借り、Iターン。野草教室を開催。
「古民家カフェ・むす日」「山のくらしえん・わはは」「クリエイティブ・アロマ」等にて野草教室。

現在、野草好きになった87歳の母と、無関心な33歳の長男と猫3匹と暮らしています。

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