かんなままの「ぴ・よ・こ・とライフ」(25)欲望を持たない

かんなままさんの執筆記事第25弾です。 
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欲望を持たない
 なぜ人間が注意深くないのかと言えば、自分の世界に埋没してしまって、ずっと考え事をしているからです。
なぜいつも考え事をしているかというと、欲があるからです。男性ならば、経営や営業の事ばかり考えています。風呂に入っても仕事の事を考えています。四六時中、様々な事を考え、ずっと白昼夢を描いている状態で、周りのものに注意深くあれ、というのは無理なのです。
猫を見ていてごらんなさい。彼らは考え事をしていません。それが注意深いという事なのです。なぜ考え事をしていないのか。なぜ世界に正しく向き合えるのか。それは、欲望がないからなのです

出典:「ぴ・よ・こ・と3」竹下雅敏(著)


子育てセミナーでの重要課題「夫との気持ちのすれ違い」〜ママの言い分、夫の言い分


今、子育てセミナーの真最中です。3ヶ月から中学生までの子どもがいる母親同士で毎回テーマを決めて8週間、自分を振り返ります。その中でよく出るテーマが「子どもの躾」と「夫との気持ちのすれ違い」です。

何が問題なのかと聞くと「自分の事は後回しにして、朝から晩まで家族のために家事や子育てを頑張っているのに、子どもは言うこと聞かないし、夫は自分の事ばかりで、わかってくれない」というのです。

その上、もうすぐ職場復帰で、自分の仕事と子育てを両立できるか不安なのに夫は話しも聞いてくれない。協力してくれるのか?今のままだったら任せられません。ママがイライラしているのを見て「生理前?怖いなあ~」なんて子どもに聞こえるように言う!毎日1人で考えて孤軍奮闘しているのを知らないくせに!

それでも、たまに手伝ってくれるのですが、自分ほど子どもに配慮してくれないのでイラッとします。なのに「俺ほど手伝う旦那はいないよ」などと言うのです。「私の身になって言えよ!」と心の中で叫び、「ありがとう」と出かかった言葉を削除します。「もう絶対、私を触らせない!」

pixabay[CC0]


一方、夫は働き盛り。家族を経済的に支える責任が重くのしかかっています。これまた自分を犠牲にして嫌な仕事も頑張っています。体はクタクタ、頭はパンパンです。それなのに帰宅したら、いきなり妻のイライラした声。その上、今日1日いかに大変だったかという話を聞かなければいけません。「わかっているよ、でも、俺も会社でどんなに頑張ったかわかるか?」と心の中で叫びます。気持ちを切り替えるためにも、ストレス解消のゲームに没頭したくなります。「怒って不感症の女よりこっちの方がまし!」

ああ・・・、結局、お互い家族のために頑張っているのに、ちっとも幸せではありません。


いつまでたってもうまくいかない理由〜エネルギーの分断はなぜ起こる?


そんなママ達に「猫のように注意深くありなさい。自分の世界に没頭しているから夫や子どもの事が見えなくなっているのよ。それは自分の欲に囚われているからよ」と言ったらどうでしょう?
ひっくり返るくらいびっくりすると思います。猫って何にもしてないじゃん!一緒にしないで!・・・と。

でも、残念ながらそうなのです。ママ達を抱きしめながら「実は大きな勘違いをしているのよ、だからいつまでたってもうまくいかないのよ」と言ってあげたいのです。

どの親も子どもの幸せを願っています。でも、大切なはずの子どもの存在を独立した1人の人間として尊重しているでしょうか?大人の生活リズムとは根本的に違う、子どもの時間を保証しているでしょうか?安心して守られて、愛され、無心で遊んで、チャレンジして、この世に生まれた喜びを味あわせているでしょうか?

子どもを注意深く見るという事は、社会の基準で子どもを見るのではなく、何も囚われずに子どものありのままの姿を感じとるという事だと思います。

もちろん私達は時間に縛られた生活をしています。仕事もあります。一日中その子に張り付いている事はできません。でも、私達は不思議なセンサーを持っていて、「私は子どもの存在そのものと対話したい」と意識してセンサーをオンにすれば自然にエネルギーが子どもに向き始め、同調し、何かあった時にキャッチできるようになるのです。

逆に自分の子どもを世間の価値観で比較、評価して、それに向かって躾し始めたら、真の子どもが見えなくなってしまいます。子どもに対しても自分に対してもエネルギーの分断がおこります。迷ってばかり、叱ってばかりで、ただの自己犠牲になってしまいます。これでは幸せになるはずがありません。

でも、「好き勝手にさせていたら我儘な子になるのでは?」「教えないといつまでたってもできないのでは?」と反論が聞こえてきそうです。

きっと大丈夫です。人は生まれながらに、愛される、食べる、排泄する、学ぶ、遊ぶことに喜びを感じるようにできているのです。親から尊重され、見守られ、自由で、必要な時に応えてもらえた子は、たぶん、愛されていることしか知りません。心配事も欲もない子は自己主張する必要もなく、囚われていないので、真実を感じとるセンサーを持っていると思います。

pixabay[CC0]



まず自分を大切に〜何度もやって来るチャンス!


それにしても、私達はまず、自分を大切にしていません。自分を優れたものに向かって変えなければいけない存在だと思い込んでいます。そのように育てられ、自分の存在を否定して、内なる生命エネルギーの流れと行動を分断して頑張ってきたから、子どもにも同じ事をするのです。そして、世間の価値観に負けない子を育てようと頑張ります。

私もこの年になって、やっとわかってきました。世間の波に乗れないのでは?と不安になって何度も子どもを追いつめたことがあります。そのたびにうまくいきませんでした。

でも何度もチャンスがやって来ます。リラックスして、よく見たら、子ども自身が喜びを感じている姿が見えてきます。それを後押しすれば、自ら才能を伸ばし、頑張り、自分の道を開いて行くのです。その成長していく姿は私が想像したよりもずっと素晴らしいものでした。

すべての生き物は尊重される存在であり、愛され、愛する事を学びに生まれて来るのだと信じます。そのような姿勢で向き合うと、接し方が変わり、働き方も変わります。苦労があっても愛する人のためであり、自己犠牲ではなくなります。にゃんて素敵なんでしょう!

Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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