[第33回] 地球の鼓動・野草便り 日本の山と土石流災害


日本の山と土石流災害

縄文時代はドングリが主食だったそうですね。そこで食べてみました。まずアク抜きしないでそのまま生で・・・苦くて渋くちょっぴり甘く・・・でも3日水に浸けておくと・・・苦味がかなり取れてほんのり甘く、一粒で満足感・・・水を替えながら5日浸けておくと苦味が取れて少し物足りない感じです。ミネラル分が抜け過ぎてしまっているのでしょう。から付きもからをむいたのも同じようにアク抜きできています。



ドングリといってもたくさんの種類があり、シイ類は苦味がなくそのまま生でも食べられます。
常緑樹のウラジロガシなどカシ類と落葉樹のクヌギやコナラ、カシワ、アベマキなどもドングリがなり、日本にはドングリのなる木が20種類くらいあるそうです。また、マテバシイやクヌギは実るまで2年かかり、1年目の実は木についたまま冬越するとか。

1粒で満足するほどのミネラル分が多いドングリを食べてみて思ったのですが、戦後、補助金が降りる政策により(この政策は今も続いている)、山に杉、檜を植林する前はドングリの木がいっぱいで、とても豊かな実りの山々だったのだろうと思います。動物たちも潤い、熊だって人に見られるようなことはほとんどなかったでしょう。私が子供の頃は熊の話など聞いたことがなく、中国山地に熊がいるなど知りませんでした。平気で山遊びをしていました。
だから山のドングリは動物たちに、私たちは町の公園や街路樹のドングリをいただきたいなと思います。


8年前くらいまで住んでいた団地の子供達とクワガタやサワガニを捕まえに行っていた裏山に、砂防ダムができることがわかった時、妙に気になって相談した方から「50年の広葉樹は50tの土を支える」といわれる先生がおられると、紹介していただいたその広島大学の教授は、1999年の広島の大規模な土石流災害の調査をされ、原因が松枯れと、植林の林にあることを学会で発表されていました。

巨木の自然林



杉林



植林した杉の木は実生で育ったのではなく、挿し木なので直根が伸びないで地下1メートルくらいを横に根を張っているだけで、木の背が高くなるほど風や雪などで倒れやすく、大雨では崩れやすいのでしょう。
裏山には一部杉の植林もありましたが、古墳があったり、ドングリ林などがあり、カジカなども棲んでいました。

砂防ダム工事は、古墳があった古い地層の崩れそうもない広葉樹が生えている場所を、大きく削り取り、砂防ダムと定期的に溜まった砂を回収するための道路がつけられます。

もっと自然を生かした、これまで山を守ってきた木を伐り倒さなくてすむ方法を考えてほしいと、そのために広大の教授に相談してくださいと国土交通省にお願いしました。話は聞き入れてもらえたかに思えたのですが、突然工事が始まりました。

砂防ダムの耐久年数はどのくらいなのでしょうか?100年?200年?急斜面に大きなコンクリートの塊の砂防ダムを作って、本当に安全なのか、いつか、もし砂防ダムのコンクリートの塊が落ちてきたら・・・と、そんなことはないでしょうか?どこかのダムにヒビが入っていましたよね?

樹木の植生を利用して災害対策をしている実例もあるようです(広島市佐伯区美鈴が丘トンネルの広葉樹の森など)。
砂防ダムのために、樹木を根こそぎ削りとって自然破壊して、本当の災害対策になるのか疑問です。もしかしたら工事ありきの経済優先なのでは・・・? でなければ、私には広大の教授に相談しますと言いながら、お願いしてあったのに全く連絡もなく、工事を始めるでしょうか?自治会の役員を事前に抱き込んだような住民説明会を、工事を始めた後でするでしょうか?今になって疑問だらけの鈍い私ですが・・・。

落葉樹の森


2010年の庄原市の土石流災害の時に、熊本の平野虎丸氏をご案内して調査に同行したことがあります。植林の杉がたくさん倒れていました。中には太くて背の高い杉もありました。それらが川を塞ぎ、氾濫して田畑や家を浸水していました。大きな石も木と一緒に落ちてきて、家を半分壊しながら道路脇に鎮座していました。

平野虎丸氏は熊本で広く山を買い取り、動植物の保護活動をされています。作られているTシャツには「植えない森」のアピールが入っていました。災害地の役場で場所の確認の時に出された名刺には「日本政府の森林偽装」・・・なる文字も目立ちました。この「日本政府の森林偽装」という本も中央公論事業出版から出されています。ブログ:土砂災害から国民を救う「植えない森=地球が再生する森」のすすめも発信されています。



2014年の広島市の土石流災害は記憶に新しいのですが、実際に現地を見て歩くと、急な斜面の団地の道路が川になり、激流と土砂や岩石の通り道に変貌したのがわかりました。川と化した道路が直進した方向が被害が大きく、道路が急に曲がった角の家は土石流が直撃していました。
ちょっと高台だったり、道路から車庫の分ほど奥に入っていただけでも、家が無事だったりしていました。

これらの被害が異常な豪雨だけの問題ではないのが平野虎丸氏のブログを読むとよくわかります。

もう一つ問題なのが、川の三面張です。本来の川は山からの地下水も流れ込んでいたり、常に土中の水が出入りしているのだと聞いたことがあります。日本中のあちこちの山が川の三面張、もしくは道路やコンクリートで固められ、土中の空気や水の流れを停滞させ、地下で根が腐りはじめ、免疫力が下がって虫食い立ち枯れ、崩れやすくなっているとか

斜面の植林(放置人工林)、山の下の三面張の川やコンクリートで固めた場所、枯れ木が目立つ山、急斜面の山の下の団地、そういう場所は危険で、住んではいけない場所なのですね。
これらの肝心な情報発信や根本的な解決はしないで、異常な豪雨ばかりが、原因のように伝えられているのではないでしょうか。

yasou
さて、いつの間にかすっかり秋ですね。イチョウの実、銀杏が落ちていました。生の銀杏は素手で触るとかぶれるので火ばしやゴム手袋などをして集めます。集めた実を土に埋めるか、水に浸けておいて外種皮を腐らせ、洗い流します。川があればネットに入れてもみ洗いして中の硬い種だけにします。



イチョウの黄色くなった葉はアレルギーを引き起こすことがあり、使えません。8月頃の緑の葉を使います。
日本ではあまり普及していないようですが、ヨーロッパでは葉をアルコールに浸けてエキスを抽出したものを飲むとか。繁殖力旺盛で、この銀杏を植えて栽培が盛んに行われているようです。


yasou
自然賛歌

マムシグサの実

アマガエル

ノブドウ

アキチョウジ



ツルニンジンの花



ツリガネニンジン



ハツタケ・・・食べられる・・汁物等



ハート型キノコ



カラスザンショウ


ヌルデ(ウルシ属)・・・種に酸性リンゴ酸カルシウムがありシオカラノキ・ショッペの木といわれる・・煎じてせき、たんの薬に・・・生で食べすぎはかぶれる





■ 参考文献

イー薬草・ドット・コム
「大地の薬箱 食べる薬草事典」 村上光太郎/著 農文協
「カラダ改善研究所 自然のチカラいただきます」中村臣市郎/監修 西日本新聞社



ライター

ニャンニャン母さんプロフィール

ニャンニャン母さん

プロフィール:1955年魚座生まれ、広島の県北 中山間地域在住、
体癖はおそらく2ー3種

20代の頃「複合汚染」有吉佐和子/著 を読んで、食の環境悪化を考えた時、野草を食べることを思いつき、食料としての野草研究を始める。
全くの素人ながら、健康住宅の設計事務所に入社し、健康住宅を学ぶ。
残された人生と限られた時間について気付かされ、仕事を辞め、自給自足を目指す。
平成22年頃、古民家を借り、Iターン。野草教室を開催。
「古民家カフェ・むす日」「山のくらしえん・わはは」「クリエイティブ・アロマ」等にて野草教室。

現在、野草好きになった87歳の母と、無関心な33歳の長男と猫3匹と暮らしています。

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