ぴょんぴょんの「自衛隊と国防軍」

 「憲法を百年いかす」(筑摩書房)は、「前夜」とはまた別の目線で改憲を論じた本だった。憲法の詳細な内容というよりも、その背景、明治維新から現在に至る歴史や、戦争放棄はだれの起案か、また現政権とナチスの類似点について、などが書かれていた。
 時事ブログ以外の社会科知識ゼロ、の脳ミソで、なんとか要点を書き出してみた。
(「前夜」以外のページ数はすべて、「憲法を百年いかす」のページ数である。)
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「自衛隊と国防軍」


国防軍とは? 軍法会議とは? そして最高責任者は誰?


おい、自民党の改正案に新設された「国防軍」、ってどう思う?

いきなり「どう思う?」って聞かれてもなあ〜。
ま、「自衛隊」ってひびきよりか、「国防軍」って方がカッコよくない?

はあ〜(ため息)。おめえみたいのが大勢いるから、日本はあやういってのよ。

そっかなあ〜やっぱ、「国防軍」のがカッコいいよ。「普通の国」って感じ。

おいおい、「普通の国」が出てくるか? 「あべぴょんワールド」全開だな。

だって戦後、アメリカに占領されてから、憲法もアメリカから押しつけられたでしょ。
それに、戦争を放棄したから、軍隊ももてないし。

Author:ArmySignalCorps[Public Domain]


戦争がないおかげで、おめえみたいなアホが、今でものうのうと生き残ってんじゃねえかよ。このままだと、おめえみてえなやつらが、もう一回、日本を亡ぼすぜ。

ひどいなあ。

それに「憲法を百年いかす」を読んだらわかるが、今の憲法は押しつけじゃねえって、はっきりと証明してるぜ。

そこまで言うなら、ちゃんと説明してよ。
自衛隊って国防軍とどう違うの?

よくぞ、聞いてくれましたっと! これを読め。
保阪「いまの憲法下において自衛隊は軍隊ではないんです。軍法会議はもっていない。統帥権もない、独断専行はできない。・・こうした点が歯止めになっている。」(95ページ)

いまは軍法会議がないってことは、戦前はあったのか。なんでなくなったの?

今は必要がないの。
軍隊っちゅうのは、国外に出てって「人殺しもOKです」って組織だろ。
だから「殺人」は犯罪になんねえの。てことは国内の法律が通用しねえから、軍の法律「軍法」を別にもってるんだよ。
自衛隊の隊員が犯罪を犯しても、一般の裁判でやってるだろ?。

たしかにそうだね。「軍法」ってのはないよね。

それが、自民党案9条の二(国防軍5)
「国防軍に属する軍人・・・がその職務の実施に伴う罪または国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。」
ここの「法律の定めるところ」ってのが「軍法」だな。
つまり、「審判所」で「軍法会議をしましょう」って言ってるんだ。

ということは、国防軍は、国内の法律が通用しない組織、つまり「国外に行って、人殺しをしてもかまわない組織」に変わるわけだね。

そうだ、石破ゲル発言を思い出せ。
「いまの自衛隊法では命令に従わない隊員に対し、目いっぱいでも7年の懲役刑しか課することができない。しかし(出動)命令に従わなければ、その国における最高刑、死刑、無期、または懲役300年、そんな目にあうのなら出動命令に従おうということ。」(「前夜」315ページ)

これが軍法だね。こんなコワいとこだったら、だれも軍隊に入りたがらないよね。

pixabay[CC0]



保阪「ところが国防軍という名の軍隊にしてしまったら、軍機能をぜんぶそろえることになる。いまの憲法下でやったら憲法違反になるようなことを、です。安倍さんは自衛隊を「我が軍」とさえ発言しています(平成27.3.20衆院予算委員会)。」(96ページ)

そういえば、安倍首相が戦車に乗ってポーズ取ってる写真があったね。

あれは、「ぼくが自衛隊の最高指揮官だ」ってアピールしてるんだよ。

へええ、それって自分勝手にそう思ってるのかな?

いや「自衛隊法第7条」で、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣だ。

じゃあ、「国防軍」の最高指揮官は誰?

改正案・9条の2「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。」
国防軍も、最高指揮官は首相になる。
ただし、日本会議(自民党改正案の原案をつくったとされる)、は戦前の大日本帝国憲法のように、天皇を最高指揮官にしたいと思ってるんじゃないかな。

天皇が最高指揮官になったら、改正案の102条で「天皇は憲法を守らなくっていい」ってことだし、憲法で軍の暴走を止められなくなっちゃうよ。

んだな。ここを読めよ。
半藤「自民党の改正草案なんてまことにいい加減で、「自衛隊を国防軍にする」としか書いてないんですよ。アンタがた、いったいどういう国防軍にするのかいな、と聞きたくなる。自民党は、「軍隊による安全」ばかりをいって、国民を煽っていますが、国民は騙されてはいかんのです。「軍隊からの安全」ということも、生活の安全のためによく考えなければいけないのです。」(96ページ)

「軍隊からの安全」って? 「国防軍」の正体っていったい何?

「前夜」の163ページで、
岩上氏「元幕僚議長だった栗栖広臣さんが2000年に「日本国防軍を創設せよ」(小学館)という本を出版して、話題になりました。自民党が創設しようとしている軍隊の名称も「国防軍」ですよね。・・・この中で、「国防軍は国民を守らない」とはっきりと書いてあるんですね。・・・国防軍が守るものは国体、国柄である。そして万世一系の天皇制を守るんだとはっきり言っているんです。」

えっ、国体?

「国民体育大会」じゃねえぞ。国体とは「天皇を中心とした秩序」ってことだ。

なんかほんとに、ピューって戦前にもどっていきそうな勢いだね。


超法規的である、統帥権


WikimediaCommon[Public Domain]


ここも読めよ。
半藤「日本国憲法においては、実力組織は完全に憲法の下にあります。自衛隊は刑法と民法のもとにあって勝手なことはできません。つまり軍隊の独断専行をいまの自衛隊は行使できない。
何度でもいいますが、それを国防軍にするというのはたいへんなことなんです。軍事がふたたび政治の上に行ってしまいかねない。
・・・9条を変えたいというのならそこを真剣に考えていただきたい。大日本帝国憲法と、天皇直属の統帥権を戴く軍隊・軍事との関係がどのようなものであったのか。」(98ページ)

「とうすいけん」? 

そうだ、統帥権とは「軍隊の最高指揮権」のことだ。

それさっき、「自衛隊の最高指揮権は安倍首相」って話したばかりだよね。
じゃ、今は統帥権が安倍首相にあるってことだね。

そうじゃ。統帥権に陶酔しておるんじゃ。

なんか、ひげじいになってる。

9条のおかげで今はまだ、「戦争のできない自衛隊」の統帥権だからいいんじゃ。
これが、国防軍の統帥権をにぎってしまったら、どうなるんじゃ!

(まだ、ひげじい?) っていうか、ヤバいよね。

実は、明治憲法が成立する前から、統帥権はあったんじゃ。
憲法よりも先にできたってことは、軍の統帥権が憲法の上にあるってこと。
これが「統帥権の独立」と呼ばれる、元凶だったんじゃ。

(ひげじい、止められないんか)

陸軍トップが学ぶ教科書「統帥参考」の、「統帥権」という章にこう書かれている。
「統帥権の本質は力にして、その作用は超法規的なり。」(82ページ)

チョー法規的?

議会がちまちまと決めた、法規を超えてるって意味よ。
さらに軍は、「統帥権を使ったら、こんなんなりました〜」って報告なんか、議会にする責任はない。軍に向かって質問すんな、説明させるな、軍のやったことを批評すんな、論じたりすんな、そんな権利は議会のおめえらにはねえ!って言ってる。
つまるところ、国民のあずかり知らぬところで、「軍は自由に戦争できます」ってことよ。

すさまじいね。自分たちは、憲法や議会を超越してるんだね。
明治以降の日本がおかしな方向に行ったのは、このせいなんだね。


長州の山県有朋と伊藤博文、そして西周


明治維新のときにさあ、西南戦争が終わって、政府軍が勝った。
その後、軍を引っ張ったのが長州の山県有朋(やまがたありとも)。

山県有朋 WikimediaCommon[Public Domain]


ふう〜ん。

あんま、興味なさそうだな。
明治から昭和の歴史って、学校の授業でほとんど教えねえからな。

歴史の授業って、なぜかいつも、ネアンデルタール人から始まって、昭和の直前で終わっちゃうんだよね。

その先が大事なとこだから、わざと教えねえんだよ。それにR18の内容だからな。

流血、残酷シーンがきつすぎる?

だっから「今の憲法がどんだけ大事か」って感覚がねえし、「民主主義がどんだけありがてえか」ってこともわかんねえのよ。
しかも、外国で恥さらしになっちまう。

こっから先は、自習しかないんだね。

さ、明治維新以降の話にもどる。
長州の二人、山県有朋と伊藤博文が中心になって、明治政府をつくっていく。
山県は軍のまとめ担当。伊藤は政治担当
だ。

へえ、二人とも長州で同郷なんだね。

さて、伊藤はイギリスにお勉強に行く。
そこで、国をまとめるには、キリスト教みたいな軸が必要だ。日本にはそれがない。で、思いついたのが、「万世一系」の天皇家。統合のシンボルを天皇にして、天皇を中心に憲法をつくっていくことに「決いめた!」って、この本には書いてあるが。

なんでイギリスにしたんだろ? 
その時代のイギリス旅行って遠いし、ツテでもあったのかな?

グラバー邸のグラバーが手を引いたそうだ。 http://hogetest.exblog.jp/3981899/
もちろん、彼はフリーメーソンだ。フリーメーソンは、明治維新をバックで誘導してたってのは有名だが、引きつづき明治政府も、お世話くだすったんだな。日本は武器も買ってくれるし、トップをうまいこと動かせば、国ものっとれるしな。「天皇が便利に使える」って入れ知恵も、そのあたりからじゃねえか。

グラバー(右)と岩崎弥之助
WikimediaCommon[Public Domain]


なあるほどお。 たしかにその後、武器がどんどん必要な状況になってったもんね。

一方、軍の山県有朋は、いかに兵隊たちをまとめるかに苦労してた。
徴兵で集めた農民や商人に、いきなり「天皇の軍隊になれ」って言ってもなあ。

こっちも、天皇中心に動いてるんだ。

そこで山県は、「天皇への忠誠心」を叩きこむためのガイドブック、「軍人訓戒」を作らせた。さあ、山県はだれに依頼したと思う?

ううん、よくわかんないけど、明治政府のブレーン的な存在の人だろうね。

その通りだ。西周(にしあまね)って、聞いたことねえか? 
日本で最初に、フリーメーソンに入会した二人のうちの一人だ。

西周 WikimediaCommon[Public Domain]


うわっ、やっぱりフリーメーソンが関わってるんだ。

その「軍人訓戒」が、のちに軍人勅語になり、「天皇のために、お国のために死ね」って思想に受け継がれていく。

そこから、特攻隊とか、体当たり攻撃とか、集団自決とか、させられたんだね。

そして山県は、軍の制度を変えてしまう。これも、ブレーンの入れ知恵だろうな。
「参謀本部条例」を発布して、陸軍省の一部であった参謀局を切り離した。
これで「統帥権」が政府から切り離されて、独立したんだ。
山県はみずから参謀局のトップ、つまり陸軍最高の地位につき、「天皇にじかに意見を言える権利」を手にした。これが「帷幄上奏権(いあくじょうそうけん)」。

むずかしいことばだね。

「統帥権の独立」と「帷幄上奏権」のセットが、魔法の杖さ。
半藤「注目してもらいたいのは、この『参謀本部条例』が発布された時期なんです。
明治11年(1878)ということは、明治憲法ができるじつに11年も前。
『政治の統制から独立した天皇の軍隊』という軍の基本構造が、国のかたちをしめす憲法に先んじて決められてしまった。

つまり近代日本は、憲法をつくるその前に、言い換えればこの国のかたちをどうするかということを決める前に『軍事国家』への道を歩みだしてしまいました。それを先導したのが長州出身の山県有朋でした。」(68ページ)

WikimediaCommon[Public Domain]


そして、その山県を先導したのがフリーメーソンなのかもね。

たぶんね。そして、ふたたびその権力を握ろうとしている集団がいる。

安倍政権とそのとりまきだね。って、安倍首相も地元が長州だし、つながってるのかな?


その日のために、かれらは着々と準備をしてきた。
2013年12月6日 「秘密保護法」成立。
2014年4月1日 防衛装備移転三原則で、「武器輸出三原則」がゆるくされた。
2015年7月15日 安保法案(集団的自衛権を認める)が衆院特別委員会で無理やり可決。
2017年6月15日 「共謀罪」参院本会議で採決強行。
残るは、憲法改正して「緊急事態法案」が通れば、ゴール
だ!

ぼくたちがぼーっとしてる間に、着々とコマを進めてたんだね。
ゴールされたら、戦争ができる国になる! 戦前の日本に逆戻りだ!

それがいやなら、今の政権に早く終わってもらうしかねえよな。

お願い! 今の憲法変えないで! 100年いかして!

ぴょんぴょん

Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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