地球ニュース:パレスチナのナクバと子どもたち

 ナクバってご存知ですか。アラビア語で大惨事という意味だそうです。1948年、500のパレスチナの村が破壊され、75万人のパレスチナ人が着の身着のまま追放されました。ユダヤ人が土地を奪うためです。

 そして今月はイスラエルにとって建国70周年のお祝いです。一方のパレスチナ人がナクバを偲ぶ日は約ひと月後の5月15日。ここ数十年ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人は、破壊された村の一つへ皆で行進することにしています。これを「March of Return(帰還の行進)」と呼びます。2011年にネタニヤフ政権がナクバ法を作り、ナクバを記念する学校・大学・図書館を含む公的機関は資金援助が断たれることになり、余計に有名になりました。

 今年は、ガザ地区の方で行う抗議もこう呼ぶことにしました(※ガザ地区のパレスチナ人は西岸地区には入れません。他国へ逃げたパレスチナ人も入れません)。偉大な、という形容詞を前に付けて、ガザでは「Great March of Return」という活動を展開しています。3月30日に開始し、5月15日まで6週間継続する予定です。こちらの記事で取材を受けた37歳のパレスチナ男性は、自分たちを閉じ込めるガザのフェンスを見ながらこう答えています:

 「一部の人はイスラエル側が私たちを入れてくれると期待するなんて、愚かだと思っているのでしょう。でも私たちは帰還の試みを止める訣にはいかないのです。……平和もない、仕事もない、統一も出来なければ、未来もない。ならば死んでどう違うというのです? もし私たちが死ぬのだとしたら、無駄にならないように願うばかりです。

 重装備のイスラエル兵の陣取るフェンスの傍で抗議する命知らずなパレスチナ人たち、それでも浅はかだと思いますか? 彼らは年に一度、祖父母の暮らした地を訪れることすら許されていません。そして子どもはまともに学校に通うことすらもままなりません。将来が見えないのです。
(Yutika)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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パレスチナのナクバと子どもたち

子どもたちの学校はどこ?


イスラエルというのは、シリアの一部を勝手に占拠して、西洋諸国と一緒になってシリアにミサイル攻撃している中東でぶっちぎりのならず者国家のことですが、その内外ではパレスチナの人々が大変苦しんでおります。例えばこちらはヨルダン川西岸地区Zanoutaの学校。イスラエル軍が校舎を破壊し、更には跡地に張っていたテントも没収されました:

寒くても、外で勉強しなければなりません。米軍や英軍・仏軍がシリアで打ち上げたミサイルをちょこっと節約するだけで、風除けくらいはプレゼント出来るんじゃないですか?

どうやらイスラエル軍は小学校を何度も破壊するのが趣味らしいです。これは2016年2月以来、五度目の破壊。すがすがしい朝に3年生と4年生の教室をぶっ潰しました:

子どもたちはどこ?


16歳のパレスチナ人少女アヘド・タミミは、昨年12月19日にイスラエル軍に拘束されました。彼女の従弟がゴム弾で顔面を撃たれたことに怒ったからです。動画の53秒辺りです。女の子の方が暴力的に見えますか? たかがゴム弾で感情的になるなんて、はしたないですか?


15歳の従弟はそのゴム弾で72時間の昏睡状態でした:

アヘドたちがイスラエル兵に抗議する動画をアップした“罪”により、その後2週間で親族の女性は4名も逮捕されています。

そして冷たい場所に何日も収容された後の尋問の様子です:


アヘドの横に坐っているのがイスラエル軍の諜報機関の人間(23秒から恫喝している男)、前に坐るのがイスラエルの警察官(43秒辺りから一緒に恫喝し始めた男)です。

協力しなければ友人と家族も逮捕するぞ、と名前を挙げつつ脅されていますが、彼女は「黙秘する」と頑張っています。大した漢(おとこ)気です。この動画で世界が感服するのは、男らしさを履き違えた権威主義のスポーツ刈り野郎では絶対にありません。

1つ目の動画の最後の方で出演している活動家は、パレスチナへの見せしめとして現在イスラエル軍がどんどんパレスチナ女性を逮捕していっている、と指摘しています。歯向かうとまずは女性が痛い目に遭う、という脅しです。

アビー・マーティン女史の動画によると、毎年700名のパレスチナの子どもたちがイスラエルに拘束され、法廷で裁かれています。石を投げると20年投獄されるのだそう。自分の住んでいる場所に兵士とブルドーザーがやってきて、学校や家を破壊して、家族が撃たれて、思わず瓦礫を投げたら20年の刑。なんか変じゃないですかコレ。

2004年に監視員が無線で「死ぬほど怯えている」と描写したこの13歳の少女を、弾がなくなるまで何度も銃で撃ち抜いて殺したイスラエル兵は「自分は正しかった」と言っています。この地域で動いている存在は三歳児であっても射殺すべきなのだ」というのが殺害直後の無線での台詞です。

まぁイスラエル兵だって、毎回子どもを殺す訣じゃありません:

人間の盾として、軍用車に縛り付けて有効活用するときもあります。……漬物石、ぶん投げていいですか。


平和裏に抵抗したら助けてくれるの?


イスラエル側はどこにでもハマースが潜んでいるとでも言いたいのでしょう。パレスチナの人間が大人しく先祖代々の土地をタダで明け渡さないのが、けしからんのです。シリアの実在しない“化学兵器”被害に遭った子どもたちに向けられた有り余るほどの欧米の同情は、“反抗的”な態度では得られません。

この問題を長年追っているジャーナリスト、マックス・ブルメンタル氏曰く、西洋は「パレスチナ人はもっと平和的なガンジー方式の抗議をするべきだ」と何年も説教かましておりました。えっと、随分と前からそういう方式で抵抗している方々もいるんですケド……まだまだ犠牲者数が少ない? インパクトの問題?

ほいじゃ、「Great March of Return」と大々的に銘打って平和的に抗議してみましょうかね。ってことで、この度ガザで頑張ってみました:


……なんででせう。イスラエルの戦車が出て来ました。頭上にはドローン飛ばされて、そのドローンから毒性の催涙ガスを撒かれてしまいました。スナイパー兵士に威嚇されて――いえ、言い間違えましたわ、実際に炸裂弾で射殺しにかかってきます。なのに西側の同情は、一向に寄せられません。おかしいなぁ、うーん。

ガザの厚生労働省によると、行進が開始して以来18日までに、3人の子どもを含む35人のパレスチナ人が殺されました。怪我をしたのは子ども642人と女性243人を含む合計4,279人。この内、1,539人が実弾で負傷、388人はゴム皮膜の鉄製弾丸で負傷、1,878人は催涙弾の吸引のせいです。救急隊員も救急車も標的になっています。

そしてイスラエルの若者たちは監視塔に陣取り、命からがら逃げ纏うパレスチナ人の様子を上から見下ろしながら笑っていました。全くもってさっぱり分かりませんが、面白いらしいです:

一部の無知な若者の悪ふざけでしょうか? イスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防相の今月のお言葉だそうです:

8日、既にこの行進でパレスチナ人が何十人も殺害され、何千人も怪我をしたのを受け、それをやってのけたイスラエル軍のスナイパーたちは「勲章を与えられるべき」だと讃えました。

何故なら「ガザに罪のない人間なぞ一人も存在しないのだということを理解せねばならない」のだそうで。「誰もがハマースと繋がっており、全員がハマースから金を得ているのだ。我々に立ち向かっては壁を壊そうと試みる全ての活動家はハマースの軍事組織の工作員なのである」――こういうの、世間では被害妄想って言うんだと思います。単にガザという強制収容所に押し込められた皆があんたらを嫌っているって話じゃあ?

ちなみに今回射殺されたハマースの“工作員”って、このベストに「PRESS(報道)」とでかでかと書かれたジャーナリストのことでしょうか?

それともやはり射殺された13歳の男の子のことでしょうか?

この先祖の土地を目指す行進、コメント欄でもお伝えした通り、6週間継続される予定です。つまり4月・5月とパレスチナの人々がフェンスの中に閉じ込められながらも頑張り続けています。遠く日本からも、せめて注視していきたいと思います。

それから一言、イスラエル軍に叫びたいんですが、武器をもっていない一般市民への発砲は「兵士の行うべき正当な業務」じゃねぇっ(怒)。ただのサイコパスによる虐殺です、“神”に選ばれし民族がやろうがゴイム相手だろうが、犯・罪・で・す。


文・Yutika


Writer

Yutika

体癖:8−2、エニアグラム:4
関西の英語塾で教えつつ、翻訳業(英語&仏語)をしております。


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