もうひとつの自由貿易協定、RCEPの実態!~知的所有権の強化~

 十分な審議もなくTPP批准の手続きを完了させてしまった日本政府ですが、もうひとつの自由貿易協定であるRCEP(アールセップ)も年内の早期発効を進めています。
 ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国に日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドを加えた計16カ国が参加するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)は、時事通信社の図にあるように世界人口の約半分を有する巨大な貿易協定(メガFTA)ですが、その交渉分野はTPPとほぼ同じで、交渉内容もTPPと同様に完全に秘密!という代物です。
 日本政府の推進するTPPとは、日本という国をグローバル企業に"食ってくれ!"と言わんばかりに差し出すようなものですが、それと同じことを日本政府はアジアの途上国・新興国に対して押し付けようとしているのです。それがRCEPです。
 種子の権利の視点から見てみると、TPPではUPOV(ユポフ)1991年条約が義務付けられています。同様に、RCEPでも日本政府はUPOV1991年条約の義務付けを主張しています。UPOV1991年条約の批准とは、モンサント法案を強いるものです。モンサント法案とは、「世界の農家から種子を取り上げ、種子を保存したり、共有することを犯罪とし、毎回、種子企業から種子を買わせることを強いる法案」です。
 つまり日本政府は、TPP批准に向けて国内にて着々と種子法を廃止してきたように、今度はアジアの国々に対してRCEPにてUPOVを押し付けようとしているのです。アジア諸国からすると、日本が種子を奪おうとしているように見えるわけです。しかも、ISDS(投資家や企業が政府を提訴できる"投資家対国家紛争解決")に固執しているのは、今や日本だけという異常事態です。ひょっとして今の政権、TPPをRCEPのための布石と考えているのでしょうか。"自由貿易協定"とは何とも耳触りのよい言葉ではありますが、TPPもRCEPもその実態はまさに欲にまみれたコインの裏表なのではないでしょうか!もちろん、これは陰謀論の話ではありません。日本偏向放送協会(犬HK)だけを信じていたら、ころっと騙されてしまいます。
 世界が根本的に変化しようとしている今、こんなことしていていいのでしょうか、日本!!
(しんしん丸)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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RCEP、年内妥結目指す=11月にも首脳会合-声明採択し閉幕・東京閣僚会合
引用元)
日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が1日、東京で開かれた。
(中略)
8月末の閣僚会合を経て、11月にも首脳レベルの会合を開き、実質的な年内妥結を目指すスケジュールを確認した。
RCEPは16カ国が締結を目指すアジア広域の自由貿易協定(FTA)。ASEANは年内妥結に意欲を示しており、実現すれば人口で世界の約5割、経済規模で約3割を占める広域自由貿易圏となる。
(中略)
日本でRCEP閣僚会合が開かれるのは初めて。
(以下略)
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もうひとつの自由貿易協定RCEP~医薬品アクセスと種子の権利を脅かす知的所有権の強化~
引用元)
(前略)
私たちが強く懸念しているのは、「知的財産権」に関わる条項です。日本と韓国がTPPと同水準の強い特許権保護を主張しているとされます。もしこれが実現すれば、薬の特許期間が延長され、安価なジェネリック医薬品の製造・普及が阻まれてしまいます。アジアの貧困国でエイズやマラリア、感染症などに苦しむ人々の治療はこれまで以上に困難になることでしょう。

また種子をめぐっては、アジア各国の小農民が種子を自由に交換・保存する権利が脅かされています。やはり日本や韓国が、農民の種子の交換等を犯罪とする国際条約「UPOV1991」の批准をRCEP協定の中で義務づけようとしています。

アジアの国々の市民からは、「日本は知的財産権を強化する提案を撤回してほしい」という強い要望が表明されています。投資家や企業が政府を提訴できる「投資家対国家紛争解決」(ISDS)もRCEPにて提案されており、やはり各国の市民社会は懸念を抱いています。
(以下略)

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TPP化の危険指摘 RCEP意見交換会
引用元)
 東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)の各国交渉関係者と市民団体の意見交換会が28日、東京都内で開かれ、日本共産党の紙智子参院議員が、環太平洋連携協定(TPP)と同様の取り決めが導入される危険を指摘し、交渉過程の情報開示を求めました。
(中略)

 TPP並みの知的財産権保護が導入された場合、医薬品の入手や種子の利用などで貧しい市民や小規模農民への打撃が大きいとしました。また、大企業本位の投資家対国家紛争解決(ISDS)条項の危険も指摘しました。

 紙議員は、市民団体の心配に共感すると述べ、各国の発展段階の格差を考慮し、国民や小規模農民の立場に配慮して交渉を行うべきだと主張しました。同時に、RCEPのTPP化が懸念されるとして、交渉過程の逐次、詳細な情報の開示を求めました。

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RCEP閣僚会合始まる 自由貿易推進へ交渉進展が焦点
引用元)
(前略)
RCEPは日本や中国、インドそれにASEAN=東南アジア諸国連合など16か国が参加する大型の経済連携協定で、都内のホテルで始まった閣僚会合の冒頭、安倍総理大臣が出席してあいさつしました。

この中で、安倍総理大臣は「世界で保護主義への懸念が高まる中、アジア地域が一丸となって自由貿易の旗を掲げ続けることができるだろうか。RCEPの交渉には、これまで以上に世界から注目が集まっている」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「わが国は自由貿易の旗手として自由で公正なルールに基づく経済圏を世界に広げるために力を尽くしていく。この地域の未来を見据え、質の高いRCEPをまとめあげていく決意だ」と述べ、交渉の進展に期待を示しました。
(以下略)

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配信元)
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配信元)

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米国のISD否定 はしご外された日本 東京大学大学院教授 鈴木宣弘氏
引用元)
グローバル企業が引き起こす健康・環境被害を規制しようとしても、逆に損害賠償を命じられるISD(投資家・国家訴訟)条項。米国とそれに盲目的に追従する日本が環太平洋連携協定(TPP)で強く推進したが、オーストラリアを筆頭に他国は反対だ。日欧経済連携協定(EPA)で、欧州連合(EU)はISDを「死んだもの」(マルムストローム欧州委員)とさえ言った。
北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で、「震源地」の米国がISDを否定する事態となり、米国に追従してISDを必要不可欠と言い続けた日本だけがはしごを外され、孤立する事態となってきた。「賃金は下がり失業は増える」「国家主権の侵害」「食の安全が脅かされる」との米国民のTPP反対の声は大統領選前の世論調査で78%に達し、トランプ氏に限らず大統領候補全員がTPPを否定せざるを得なくなった。これが米国がTPPを破棄した背景である。この「国家主権の侵害」は、ISD条項を指している。
(中略)
ISDを推進したいグローバル企業と結び付く政治家の声を抑えて、トランプ政権はISDを否定する方向にかじを切った。
(中略)
この期に及んで、「死に体」のISDに日本だけがいつまで固執するのだろうか。自身でしっかり考えず、米国に追従してはしごを外される哀れな国から早く卒業すべきである。

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