世界は変形菌でいっぱいだ!

 "玉川上水で変形菌を探そう!"という企画がありました。たった一つの細胞であるという変形菌。動物のように動きまわり、キノコのように胞子を飛ばすその生きる姿が、なんとも「キレイ」で「フシギ」で「カワイイ」と。変形菌が大好きで、5才から変形菌といっしょに暮らしている、今16才の高校生が講師をするらしい。好きが高じて、本まで書いたとのこと。
 これは気になる!!と5種変形人?の私は、早速本を注文し、その不思議な魅力に溢れた『世界は変形菌でいっぱいだ』を電車内で読みながら、武蔵野郊外の玉川上水へと向かったのでした。
(しんしん丸)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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世界は変形菌でいっぱいだ
講師のお三方は、それはそれはマニアックともいえる方たちとも言えるわけですが、とても面白い視点を提供してくださいました。
普段の日常生活の中では気づくことのない、美しくも神秘的な"変形菌"という生きものの姿、そしてその暮らしぶりを認識するという"見る目"を。

「もしかしたら、今まさに、あなたの目の前にも浮かんでいるかもしれないのです。」増井真那


〇増井真那さん。(写真左)

16才のマナくんは、ちょっとゆるキャラにでもなれそうな(笑)ニコやかな好青年です。中等5年生というのでどういうこと?と休憩時間にきいたところ、都立の中には中高一貫の学校があるそうです。ですから高校2年生で、来年は受験とのことでした。
先日は、英文で研究論文を書かれたとのこと。研究のため、海外に出向くこともあるそうです。周りの大人たちに温かい目で見守られている、たのもしい16才です。そして、粘菌の研究をしています!というと、それは変わっていますね、年金ですか・・・!といわれることもあるという、たのしい16才です。
『世界は変形菌でいっぱいだ』は、世間の常識的価値観を超えた変形ぶり満載のミリョコテキな本です。現在の研究テーマは「変形菌の変形体の自他認識」とのこと。

『世界は変形菌でいっぱいだ』増井真那著 朝日出版社

〇高野丈さん。(写真右)

みなさん、ハチには気をつけてくださいね!といいつつも、早速指をハチにさされた高野さんは、病院にいっても軟膏を塗るだけだから!心拍は平常なので大丈夫!とおっしゃる強者です。高野さんの写した写真集『美しい変形菌』はとても美しいです。変形菌のミクロな世界には、KAGAYAさんの写すマクロ宇宙にも通じるものがあるような気もします。涼し気な神秘的なる写真がたくさんあります。猛暑続きの今夏にイチオシです!

『美しい変形菌』高野丈著 パイインターナショナル

〇山崎勇人さん。(写真中央)

山崎さんは、カラフルでキレイなキノコのTシャツと靴下でキメてらっしゃいました!顕微鏡を駆使してくださり、おかげさまで採取した様々な変形菌の美しくも不思議な拡大映像をたくさん見ることができました。

そして、集まった変形人?が30名。
よくぞこれだけいるものです♪
中には青森からきている方もいらっしゃいました。聞くと、青森には変形菌仲間がいないので、東京まで来たと!普段は旦那さんと2人で奥入瀬渓流にて変形菌を探索しているそうです。ちなみに、奥入瀬渓流は国立公園なので採取はNGとのこと。そして熊に出会ったことも2度あると。それでも、変形菌に出会いたいのです!と。なんちゅー夫婦や(笑)

早速、変形菌のサンプルを皆でまわし見てから、小平中央公園、そして玉川上水にて探索を開始しました。


当日の東京は35℃。しかし暑いとはいえ、高い木々に見守られた公園や上水沿いでのフィールドワークでしたから、私たちは木々の木かげに救われました。


探索するにあたって、落ち葉や枯れ木などを注意深く見るのですが、やはり「変形菌を見る目」が必要とされることを実感します。(『世界は変形菌でいっぱいだ』p.35)
ちなみに、注意深く落ち葉を見るとは、地べたに這いつくばってじっと集中する!ということでもあります。ちょっと言い過ぎですが。
そしてそれは、犬の散歩をする人の「何してんですか~~?」という心の声が聞こえてしまうということでもあったりします。探索するといういわば瞑想がまだまだ浅いというわけですが。
そんな気づきの中で、これかな?と私が見つけたのはことごとくキノコ菌でした。


寄り道①
そんな調子なので、探索中の思いがけない発見が新鮮だったりします。
アリさんが、一所懸命に卵?を運んでいました。


寄り道②
こんなに太いミミズ(土龍)を見たのは数年ぶりかも。


寄り道③
羽黒トンボというそうです。高野氏談。
蝶のような動きで、優雅に羽ばたく姿にしばし見とれます。


そんな中、マナくんのお父さんがみごとな変形菌を見つけました。
さすが、変形菌を"見る目"をお持ちです。


そして、変形人さん①!?の見つけた変形菌。


さらに、農文協の変形人さん②!?の見つけた変形菌。


そうこうする中、私も場所を玉川上水に移してからは邪念も吹き飛び?、とうとう変形菌の声を聞き分けることができました!かっこよくいい過ぎましたが。
長さ20数cm、太さ数cmの枯れ枝の窪みにいました!密やかにご鎮座されていました。
写真はマナくんのお母さんからお借りしたノコギリ(用意がいいです笑)で、小さく数cmくらいに切った後。
真ん中下あたりの赤っぽい粒!


拡大写真。


さらに顕微鏡で。(文明の利器に感動!赤ゴマがイクラに♪)


名前は何だろう?
マナくんに聞いたところ、これは"菌核"なのでこの状態では名前の特定はできません!とのこと。
菌核というのは、水分が無くなってきたりしたときなど、変形菌が環境における危機を感じた時に取る緊急避難形態とのこと。ですから、水分を補給すると本来の姿を現わすというのです。
早速、帰宅してから霧吹きで水やりしました、変形人③!

※この日は、雨の後の晴れというまずまずの好条件の中、16種類の変形菌と出会うことができた、小平中央公園と玉川上水でした。


〇変形菌の認識力

変形菌はたった一つの細胞ですが、ちゃんと自他の区別ができるとのことです。違った種が出会うと互いに触れることなく、境界線を作るとのこと。そして一つの変形菌を2つに分けて育て、数ヶ月後に出会うとまた一つになるそうです。
また、変形菌を育てる際の好物はオートミールとのことですが、その排泄物をちゃんときれいに整えていないと機嫌が悪くなるそうです。それはそうだろうとはおもいますが、いったい変形菌はどこでこうした認識をしているのでしょう?不思議です。

◯変形菌のライフサイクル

変形菌は変形体→子実体→胞子となり、胞子は飛んで、落ちたところでパカッと割れて、小さい粘菌アメーバとなり、動き回り、細菌(バクテリア)を捕食して分裂しながら増えていくとのこと。
やがて、アメーバは異性に出会い、合体して接合体となり、肉眼でも見える大きさに成長したものを変形体というそうです。

1.変形体
2.子実体(しじつたい)
3.胞子
4.粘菌アメーバ→変形体へ


変形菌は菌類ではなく、アメーバのなかまだそうです。粘菌のなかまであり、変形菌と呼ばれるのはライフサイクルの中で変形していくから、粘菌と呼ばれるのはネバネバしているからとのこと。ちなみに、マナくんは「変形菌」派であり、かの南方熊楠さんは「粘菌」派だそうです。
変形体は自分でネバネバの液を分泌して、からだを包んでいますが、これを粘液鞘(しょう)というそうです。ネバネバのさや。サンスクリットのコーシャ(鞘)が思い出されます。
・そしてある日、変形体は胞子を飛ばし子孫を増やすために子実体へと変身するのです。
胞子ははるか上空のジェット気流に乗って世界を旅すると言われているそうで、世界のおよそ半数の種が生息する日本は、「変形菌大国」といえるかもしれないとのことです。

 "世界を自由に旅する小さな変形菌"

なんだかだんだんと私の目にも、「キレイ」で「フシギ」で「カワイイ」が見えてきました♪ 16才のように!?(「何いってんですか~~?」?)

こぽれ話!


終了後の懇談でわかったのですが、マナくんは電車の中で本を読む私を見かけたそうです。
嬉しかったので、本にサインさせてもらいます!と。
高校生にサインいただきました♪
お役に立ったようで、超うれしい!!!(笑)


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配信元)


Writer

しんしん丸

2015年のシャンティ・フーラ主催の関東交流会にてお手伝いをさせていただきました。平安の花を愛でる、幸せ者の一人として。

想念と電磁波の海たる東京で、ナディーチャート風水の結界ある自宅に引きこもっています。といいながらもよく出歩く、5種です。
もちろん、いろいろと出かけるのはほぼシャンティ・フーラ絡みです。ですから出歩いてはいますが、出歩いてはいないのです・・・と、どこまでもシャンティ・フーラ的な7種です。


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