里山社屋主義(34) 設備工事:配管Ⅰ

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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里山社屋主義(34) 設備工事:配管Ⅰ

前回は水回りの設備を設置したところでした。今回は、その設備に床下から繋げる配管の工事です。


配管のDIYはすすめられるか?

あ〜、床下作業はしんどい…


そもそも配管をDIYでやるべきか、設備屋さんにお願いすべきか、という点ですが…。経験からすると、よほど「時間はあるけど予算がない」というのでなければ、DIYはおすすめしません。

  • もし自治体の上下水道に接続する場合は、原則として水道局の指定工事事業者にしか施工ができないようなので、一般人には無理。(上手に業者を入れてご自分でされた方もおられるようです)
  • 床下を這って行う工事は大変で苦痛。(床を貼る前など、上手なタイミングでほとんどの施工を終えれば楽です。)
  • 塩ビ管の接着や、ネジの接合は、いい加減に行うと水漏れにつながる。
  • 塩ビ管の場合、慣れないうちは、パイプの接着や長さ取りに失敗することが多い。すると…
  • o →配管の失敗を繰り返すことで、地獄配管(これ以上、切ったり繋いだりできなくなる状態になること)になって、大幅な工事のやり直しになることもある。
    o →排水工事では、配管の失敗によって継ぎ手部分が多くなると、そこに汚物が引っかかり、バイオフィルム(微生物の膜)ができやすくなる。結果として排水が詰まりやすくなる。

今回社屋でDIYで工事を行ったのは、前に一度別の場所で配管工事を経験したので、ある程度は慣れていたためです。また、パイプをつなぐ作業が個人的に好きだったというのもあります。(笑) 
ただし、この工事の大変さを知り、自分には設備屋に入って働くのは無理だとも思いました。

水回りは故障して、しばらく使えなくなると大変です。設備屋さんに見積りを取ってから、考えてもよいのではないかと思います。


外部配管と内部配管

ひとえに配管といっても、建物の外と内があります。
今回、建物の外の配管については、業者の方にお願いしました。

外部配管は大変!


もし外の配管をDIYでやろうとすれば、一生懸命手掘りをするか、あるいは重機が要ります。給水管は凍結防止の為結構な深さで埋める必要がありますし、排水管は太いパイプを正しい勾配を取って埋めないといけません。

体力のある男手が2人以上いれば、可能かもしれませんが、そうでなければ止めたほうがいいと思います。
田舎暮らしではよく必要とされる浄化槽の設置に至っては、一般人で手に負えるものではありません。

今回の記事では、建物内部の水回り配管だけを取り上げます。
なお、ガス管は資格を持っていないとできませんので、ガス会社の方にお願いしました。(工事費無料でした)

以下は、設備工事を自分でやりたいという人のための、マニアックなお話となります。


パイプ、継手、そしてネジ

基本的に給水の配管は次のように工事します。パイプを継手で繋げていき、最後にネジを介して、末端の水栓器具と接続します。(途中でネジを使う場合もあります。)


排水も似たようなものですが、ネジは使いません。そのかわり、防臭キャップ排水トラップ、あるいはトイレの排水ソケットといった部材で、設備の排水部と接続することになります。


管種 〜 どのパイプを選ぶか?

戸建ての建物で、DIYに関係するパイプは次のとおりです。それぞれの用途に適したパイプを選ぶ必要があります。

管種 用途 継手との接合方法 備考
VP
(硬質ポリ塩化ビニル管・給水用)
◯給水
◯排水
塩ビ用接着剤 最近では凍結・衝撃に強いHIVP管の方がよく使われる。
排水に使われることも多いようだが、肉厚のため切るのが大変で、DIY向けではないかも。
HIVP
(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)
◎給水 塩ビ用接着剤
(HI用)
HT
(耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)
◯給湯 塩ビ用接着剤(HT=耐熱用) 以前は給湯管の主流だったが、長年使うと硬化し変形する、内部がボロボロになるとの声もある。今では、架橋ポリエチレン管の方が適している。
VU
(硬質ポリ塩化ビニル管・排水用)
◯排水 塩ビ用接着剤
PEX
(架橋ポリエチレン管)
◎給水
◎給湯
挿し込むだけでOK 給水・給湯の内部配管では、現在主流の方法。

今回社屋では、それぞれの次のパイプを選びました。

・給水・給湯:PEX(架橋ポリエチレン管)
・排水:VU(硬質ポリ塩化ビニル管・排水用)

今回使用した
管径16・保温材厚さ10mmのPEX(架橋ポリエチレン)管


給水・給湯については、材料が少しでも安くて済む塩ビ管にするか、高くついても施工が楽で柔軟な配管ができる架橋ポリエチレン管にするか、迷う所だと思います。
今回の社屋の工事では後者を選びました。給水・給湯管と専用継手で材料費は合計5万円ほどでした。

私としては、架橋ポリエチレン管は、本当に施工が楽ですし、施工不良による水漏れの心配が激減しますのでおすすめします。
ただ、器用な方であったり、少しでも費用を節約したいという方は、また違う判断になるかと思います。ここは一度、水道用の塩ビ管と継手を少し購入して、施工の難易度はどれくらいか、試してから判断してもよいのではないでしょうか。

あと、架橋ポリエチレン管の問題がもうひとつあるとすれば、ホームセンターでは品揃えに難があることです。とりわけ、管径16(次の「管径」を参照)に対応した継手は、無いことも多いです。今回の工事では、ほぼすべての継手をネット通販で取り寄せました。
いっぽう、塩ビ管の場合は、ホームセンターでほとんどすべての部材が手に入ります。


管径 〜 太さはどうするか?

管種が決まったら、適切なパイプの太さを選びます。
DIYで関係のある太さとその主な用途は次の通りです。

管種 サイズ 主な用途
給水(VP, HIVP, HT, PEX) 13 宅内で末端の水栓器具へと繋がる枝管
16 宅内の主管、
ただし寒冷地では枝管も含めてすべて16で配管するのも◯
20 各家庭に引き込まれる水道管
排水(VP, VU) 50 宅内の雑排水(汚水以外の家庭排水のこと)
75, 100 宅内の汚水(トイレの排水のこと)
100 建物外部の汚水・雑排水

今回社屋では、次の太さを選びました。

・給水・給湯のPEX管:すべて16
・排水(汚水)用のVU管:75
・排水(雑排水)用のVU管:50

給水・給湯管は、一般的には13で十分なのですが、社屋がある福富町は冬場にしばしば水道が凍結します。地元の設備屋さんに話を伺うと、凍結までの時間を稼ぐためすべて16で配管しているとのことでしたので、そのアドバイスに従いました。
架橋ポリエチレン管工業会のページを見ると、13に対して16は、凍結までの時間がおよそ2倍になることがわかります。)

排水管については、標準的なサイズを選んでいます。(汚水に関しては、最近100が使われることも多いようです。)


配管図面

材料の発注前に、パイプの長さ、必要な継手とその数を見積もっておかないといけないので、図面を書きます。

給水設備図面


給湯設備図面


排水設備図面


何コレーという声が聞こえてきそうですが、別に水道局に出すわけじゃないので、これでいいんです。(笑) 

パイプの長さについては、描いた線の長さを、作図用のソフトが自動で出してくれますので、それを合計して必要なパイプの長さを出しました。


部材のメーカー(塩ビ管)

材料の発注にあたっては、パイプ・継手は色々なメーカーが作っていますので、何か違いはあるのか?ということになりますが…。

まず、塩ビ管については、どのメーカーのものを買っても同じだと思われ、迷う必要はありません。
ただ、メーカーによって、パイプの外側中央のプリントが次の写真のように連なっているものと、プリントが飛び飛びのものとがあります。


この点については、プリントが連なっているもののほうが、長さを測ったり、線を描いたりするのに便利でした。


部材のメーカー(架橋ポリエチレン管)

架橋ポリエチレン管については、パイプに関しては、メーカーによって大した違いはありません。
いっぽう継手の方には幾分かメーカーごとの特色が出てきます。

私が使ったことがあるのは、お世話になっている架橋ポリ.comさんで比較している、セキスイ(商品名:エスロペックス/エスロカチット)とオンダ(商品名:カポリパイプ/ダブルロックジョイント)です。

結論から言うと、オンダの方が圧倒的に使いやすかったです。

セキスイの継手は、パイプを継手に繋ぐのにすごく力が要ります。地上で立っているならまだしも、床下で身を横にしている状態では力が入らず、大変苦労しました。商品名が「エスロカチット」なのですが、カチッとなんて、そんな軽い感じじゃありませんがな、というのが感想です。(笑)
私は腕が細い人間なので苦労したのですが、腕っぷしのいい方であれば、特に問題がないかもしれません。

一方オンダの継手は、パイプを継手に繋ぐのに、インコアという金属部品を入れる一手間があるものの、力がいらず、非常にスムーズに入ります。他にも、水の流量が減らないような方式を採用したり、パイプには施工上必要なマーキングがプリントしてあったりと、性能においても、施工者に対しても、細かいところまで配慮がなされているメーカーだと感じました。

このようにメーカーによって多少の違いがありますが、パイプと継手の規格自体は、PEXやPN15という名前で共通しています。例えば、セキスイのパイプとオンダの継手は、13Aや16Aといった管径さえ一致すれば、まったく問題なくつながります。一つの工事で混ぜて使えるというわけです。
(PB管=ポリブデン管、というのは似ていますが全く別の規格なので注意してください。)


以上、配管の設計を行い、使用する材料を選定して発注すれば、施工準備は完了。お次は施工編です。


(シャンティ・フーラ スタッフ るぱぱ)


(まの爺)
 排水管、これは、まさに、家の中においての排泄!
フンニョ〜ラちゃん達の行く末を確かめるために、またしても走って来た、まの爺。
途中で詰まるなどはもっての外、いつもニコニコ快適快便の社屋を担う代表るぱぱの重圧感は、いかばかりであろう。
 と思ったら、なにやら少年のように目を輝かせて、継手のチーズにエルボにナットなど美味そうな部品の数々、パイプの比べっこで楽しそうでありますぞ。
確かに、パキッとパイプが接続できたら達成感ありそうぢゃ。
 あらゆる状況に応じた部品がズラリ揃っているというのは、思えば叡智の積み重ねよのう。
さて、この叡智たちを次回、恐ろしい地獄に落とさず施工されるのか、社屋のウンがかかっておる。

◇ お願い ◇
対応できないため、見学・来訪はなにとぞご遠慮ください。ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

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