オーストラリアの4月は秋。5時くらいから明るくなって色々な鳥が泣き始めます。私は毎朝早く起きて鳥の声を聞きながらゆっくり自分だけのコーヒーを入れて、ヨーグルトにオーストラリアのマカデミアンナッツと自家製蜂蜜を入れて、定番の朝食を楽しみます。とても豊かな時間です。娘たちは夜中のお世話に疲れて寝静まっている時間です。
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オーストラリアのかかりつけ医制度
3週間目。今日はかかりつけの小児科に行く日です。こちらはかかりつけ医制度で、事前にどのクリニックにするか選ばなければいけません。たいていは近くの一般開業医(GP)で赤ちゃんから大人まで診てくれるところに決めます。娘たちは友人に紹介された女医さんの所に行きました。体は順調に大きくなっていたのですが黄疸があったので血液検査と尿検査をすることになり尿検査キッドを渡されました。後日、家で尿を取って近くのGPに持って行き、その結果がかかりつけ医の所に送られてくるシステムだそうです。
血液検査も同様で、家の近くのGPで検査することになったのですが、新生児はできないと断られ、結局お産をした総合病院に行かなければいけなくなりました。赤ちゃんはアチコチ行かされ、待たされ、何度も血液検査(必要なの?)をされて大変でした。
検査料は無料なのですが診察代が高くて1回15000円でした!もっとも赤ちゃんの保険証ができたら半額は戻って来るそうです。これに関しては産科も同じで、全てをドクターが診てくれるプライベートオフィスを選ぶと、診察代が国の保険がカバーしてくれるよりずっと高くなるというわけです。
日本も最近では小児科のかかりつけ医制度を盛んに推奨しています。それをしないと診療報酬が上がらない仕組みになってきています。でも現場の小児科開業医は身が持たないというのが本音です。
かかりつけ医制度になると、患者さんと契約してどんな病気もそこの小児科を受診して、必要があれば紹介という形になります。それはいいのですが、夜中であろうと休日であろうと先ずはかかりつけ医が対応しなければいけません。時間外相談も受けなければいけません。それを全て町医者である個人のかかりつけ医が担うのです。患者も直接2次3次救急病院に行くと高額取られるシステムです。
医者なら使命感を持って寝ないで働けということでしょうか?働き方改革でも医者は専門職で労働時間は無視です。オールブラックで疲弊しています。
食材豊富なオーストラリアでの手作り料理
さて、GPに行ったとき、孫はベビーシートとボバラップの中でずっと寝ていました。落ち着いていたので病院の帰りに買い物をして帰ることにしました。久しぶりのショッピングです。大きなヨーロピアンのショッピングモールでジェラードを食べましたがおいしくてびっくり!全て手作りでしたが、フレッシュのミントをふんだんに使い、ほんもののチョコチップが入っていて忘れられない味でした。ああ・・もう一度食べたい!
その日は娘が久しぶりに和風ハンバーグを食べたいという事で、少量の牛と豚のひき肉と、しっかり炒めた玉ねぎ、パン粉の代わりにパンをチーズおろし器で削り、アジアンショップで買ったえのきだけをたっぷり入れ、インディアンショップで買ったスパイスも試しました。
ふわふわのおいしいハンバーグが出来ました。和風のタレは玉ねぎ、大根おろし、生姜、ニンニク、醤油とみりん、中国の黒酢を入れて作りました。私は現地の食材を使って創作料理を作るのが大好き!シェフである娘のパートナーと教え合っていろいろな料理に挑戦するのも楽しみの1つでした。
オーストラリアは食材が豊富で、シェフの経験を活かして肉、魚、フルーツから野菜まで地産地消の専門店に連れて行ってくれました。日本のように放射能汚染を考えなくて選べたのでとても開放的な気分になりました。
カリフラワーにスパイスをたっぷりかけて丸ごとオーブンで焼いたり、様々な種類のナッツや穀物を使い、デザートも全て手作りでした。地ビール、ワインも豊富ですが、何と娘のパートナーは自分で地ビールまで作っていました。外食に行けないけど、家で十分楽しめました。
子育てのワンオペは孤独で辛いもの
考えてみると、パートナーが家事を当たり前のようにしてくれるなんて、日本では夢のようです。私の夫はやっとこの年になって自分の事は自分でしてくれるようになりました。私がオーストラリアに長くいれるのもこのお蔭ですが、日本では少数派かもしれません。得手不得手は誰にでもありますが、自分の事は自分で出来るのは基本だと思います。
子育てセミナーでよくでてくる悩みも夫の協力について。家に帰ってきて何もしないでテレビを見て和んでいる夫。少し協力的な夫も「俺は手伝っている方だ。こんなにやさしい夫はいない」と言われて「イラッとする」「恩着せる?一緒に子育てしている意識がないの?2人の子どもでしょ?」・・・とママの怒りが収まらなくなるのです。子育てのワンオペは孤独で辛いものです。気持ちだけでも共有してくれているとストレスの感じ方が全く違います。
私がカナダから帰ってきて1番つらかったのはこの事でした。カナダでは周りに頼れる人がいませんでしたが、当たり前のように夫婦で助け合って子どもの世話をしていたので不安も不満もありませんでした。それが帰国すると一転、夫は子どもの起きている時間には帰ってこない。休みの日は学会かゴルフ。子育てはもちろん学校行事も地域の行事も行ったことがなく、子どもへの関心も薄れていきました。
周りが皆そうなので、夫への不満を飲み込み、子育てに疲れていた日々。最近は随分変わってきたと言っても、まだ男性中心の日本社会です。夫も早く家に帰りたくても周りの目があるから帰れない、収入が減る、育休を取りたくても取れない状況です。
日本も早く自分の生き方によって働き方を調整できる社会、「子どもの最善の利益」(注1)を考えて子育て環境を作る社会になってほしいと思います。
とはいえ、娘は勤務してまだ2年にならなかったので、残念ながら育休がもらえませんでした。産休は3ヶ月。有給5週間。国の補助でお休み11週間。パパの産休も学生であっても3ヶ月取れるのでこれを全部使う事にしました。その間給料も保証されます。
仕事復帰した後も、1年間は週に2日出勤でいいそうです。勤務の日は大学構内の保育園に預けるので母乳をあげることも、早く迎えに行くことも可能です。パートナーも同じ大学で、受講時間を調整できるのでお互いに空いた時間に子どもに関わる事ができるそうです。私も見に行きましたが、園庭も広く子ども達も自由に遊んでいました。校内に広い森も図書館もあるので環境はよさそうです。親と一緒に過ごしたい孫にとって、これが最善の利益とはいえませんが、現状ではベターな選択をし続けるしかないのでしょうか?
幸い、ラボの上司も子育て中の人が多くてよき理解者だそうです。そして休暇中の娘の仕事のフォローをしてくれているのは一緒に研究してフィールドトリップで助手をしていた院の生徒。この事は次の就職に有利になるとのことでした。
注1「子どもの最善の利益」とは?
「児童の権利に関する条約」第3条1項によれば、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」とされています。
つまり、何を考え行動する上でも、父母や、社会、国の都合ではなく、1人ひとりの子どもは生きる権利、愛され、自由に学び、遊び、表現して健やかに育つ権利、守られる権利、参加する権利があるという事を念頭に置き、父母や社会、国はその環境を作る義務を有するということだと思います。
ほんとにもう・・・絵に描いた餅?特に無視されているのが親と一緒に居たい!ありのままを愛されたい!自由に遊びたい!だと思います。
「児童の権利に関する条約」第3条1項によれば、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」とされています。
つまり、何を考え行動する上でも、父母や、社会、国の都合ではなく、1人ひとりの子どもは生きる権利、愛され、自由に学び、遊び、表現して健やかに育つ権利、守られる権利、参加する権利があるという事を念頭に置き、父母や社会、国はその環境を作る義務を有するということだと思います。
ほんとにもう・・・絵に描いた餅?特に無視されているのが親と一緒に居たい!ありのままを愛されたい!自由に遊びたい!だと思います。