地球ニュース:世界一のお金持ちになる方法

 今年になってアマゾン社の話題をちらほら耳にしたのでまとめてみました。この話を聞いて、それでも資本主義が正しい道だと説く経済学者がいたら、その顔を(ぶん殴る前に)とくと拝んでみたいと思う次第です。
 日本の竹中平蔵といい、孫正義といい、この連中は将来カルマが返ってくることが恐ろしくないのでしょうか。今だってあちこちから恨みつらみの念をぶつけられていると思うのですが……「社会で“成功”する実業家は血も涙もないサイコパス・ソシオパスが多い」というのは当然かもしれません。
 でも一番の問題は、彼らがここまでのさばることを許している我々です。
(Yutika)
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世界一のお金持ちになる方法

それだけ金持ちだったら積める善行




毎週金曜日放送のRTの諷刺番組「リダクティッド・トゥナイト」が9月初めに興味深い指摘をしていました。

アマゾン社のCEOジェフ・ベゾスという男は何をどうやったのか、ありとあらゆるものを売り捌き、しかも送料無料のくせに、純資産額1,500億ドルを達成、世界一のお金持ちです。でも今日の話題はベゾスじゃないけどね! と繰り返しながら、こんな内容を紹介していきます。

アフリカ大陸では3億人の人々が飲料に適した水を定期的に入手できず、毎日2,200人の子どもが下痢性疾患で亡くなっています。その殆どが飲料に適さない水のせいです。世界中にきれいな水を届けるには毎年100億ドル必要です。ベゾス一人でこれから先15年もの間、世界全体の水を提供できます。

また貧困問題では22,000人の子どもが毎日亡くなっています。世界中の饑餓をなくすには毎年300億ドル必要です。誰だってお腹が空いているとイライラしますよね。いいアイデアも生まれません。犯罪増加にも関わってくることですが、ベゾス一人でこれから先3年もの間、世界全体の饑餓を終わらせることができます。

次に国内。話題となったミシガン州フリント市の水道水汚染問題だって2億1,600万ドルあれば解決できてしまいます。

米国には55万4千人のホームレスがいますが、最も安い賃料で毎月632ドル(※カンザス州のウィチタ市のアパート)。ということで年間42億ドル、ベゾス一人でこれから先36年もの間、ホームレス全員にウィチタで家を提供してあげられます。オハイオ州のトレドなら33年間でいかがでしょう。

アメリカは最低最悪の社会保険制度で有名です。医療費が支払えなくて破産し、自殺する人までいます。でも1,118億ドルあれば、無保険の320万のアメリカ人が保険の恩恵を得られるのです。これだけ支払ってもベゾスの手元には400億ドル残ります。

就職にも繋がる教育面では、地元の短大に一人が一年間通うのに平均で3,347ドル必要です。短大なら2年間と見積もって、ベゾスのお金で2,240万もの人が卒業資格を得られます。

でも今回の話はベゾスじゃありません。だって他の人間が世界一ならそいつを引き合いに出して扱き下ろしますから。

問題の本質はベゾスを生み出した我々のシステムです。利益のみを追求する資本主義、つまり少数の手に資金を集結させて、残りの人々と世界中の環境から搾取することを良しとする現在の腐った経済システムが大成功していることです。とはいえベゾス、ふざけんな!

――という内容でした(※冒頭12分間も喋り倒しているので紙面の都合上、面白い部分を全てはしょっておりますが、本当は捧腹絶倒の諷刺漫談となっています)。

丘の上のマグロ漁船


こちらの日本語記事曰く、アマゾン社では「徹底的な効率主義の下『時間厳守』『私語厳禁』はもちろん、労働者には『秒刻み』のルールが課せられるなど、過酷な実態が知られています。」


このツイッターのリンク先では、倉庫での深刻な事故が増加していることを指摘しています。夜間勤務時には氷点下になるような倉庫もあるそう。

こちらの動画によると、英国のアマゾン社の倉庫にてジェームズ・ブラッドワースという潜入記者が半年間勤務し、その劣悪な環境を告発しました。従業員の一部はトイレまで行くと厳しいノルマ達成が出来ないため、ペットボトルで用を足していたというのです。また水分補給も制限して我慢していました。病欠を申請すれば叱責されます。


こちらのツイッターの記事は、アマゾンが労働者に嵌めるリストバンドの特許申請をしたことを報じています。どこにいるのか逐一監視し、振動を使って移動すべき方向に促すのだそう。

ただベゾスも外聞が悪いことは判っているのか、こちらの記事によると、従業員に「FCアンバサダー(発送センターの大使たち)」なる軍団を結成させ、ツイッターなどオンラインでいかにアマゾンが素晴らしい会社か書き込みをさせているようです。……労働環境を改善するんじゃなくて、臭い物に蓋して続行かい。


国からお金をせしめるアマゾン社


ここまで従業員に無理を強いるということは、よっぽど赤字の自転車操業なんでしょうか? いえいえ、大変儲けていらっしゃいます。

ですがジミー・ドア・ショーによると、アマゾン社が連邦政府に支払う法人税はゼロです。昨年56億ドルの利益を出していますが、本来その35%を収めるべきところ、国側が逆に1億3,700万ドルの還付金を支払わないといけません。

おまけに今年8月末の記事によると、2017年のアリゾナ州のアマゾン社員はほぼ三人に一人がフードスタンプ(貧困層の食糧配給券)に頼っています。ペンシルベニア州とオハイオ州のアマゾン社員は10人に一人がフードスタンプを必要としています。他にもカンザス州やワシントン州でも見られるそうです。

つまりアマゾン社員の低賃金を、アメリカ国民の税金が補っているのです。


昨年ベゾスは「チャリティーしたいんだけど、皆なんかいいアイデアある?」的なすっとぼけたツイートをしたようで。

ジミー・ドア氏が、んなもんいらねーから従業員にきっちり給料払って、税金収めろ! と怒っていました。


イメージダウンの払拭?


業を煮やしたバーニー・サンダース議員が新たな法制度の導入を提唱しました。500人以上雇う大手企業の従業員がフードスタンプ等を利用せざるを得ない場合は、企業側に100%の課税、つまりフードスタンプと同額の支払いをさせようと言い出したのです。

ちなみにこの法案名は「Stop Bad Employers by Zeroing Out Subsidies Act(補助金をゼロにして悪徳雇用主を阻止しよう法)」、頭文字を繋げてください。「ストップBezos法」となります。

ベゾスも流石に焦ったのでしょうか。ここにきて最低賃金を一時間15ドルにまで引き上げると宣言。11月1日から実施するそうです。サンダース議員もアマゾンの従業員も大絶讃しました。



悪魔の所業


ただしこちらの記事によると、ベゾスはこの最低賃金額を法制度化させて、他の業者にも押し付けることを画策しています(※現在は法定7.25ドル)。一方で、倉庫での仕訳といった低スキルの仕事の自動化、つまりロボット化もどんどん取り入れています。

つまりですね、ベゾスが一時間15ドル支払わないといけない労働者たちはお払い箱でクビにされていく一方で、機械にそこまで投資できない他社は人件費で苦しみ、アマゾン社は更に市場独占を加速させるという皮算用なのです。

おまけにWeAreChangeの動画によると、実際にはアマゾン社の其の他の手当てがカットされてしまい、結局は前よりもお給料が低くなってしまう人たちが続々と出て来ました。ボーナスも長期勤務による株式報酬もカット。要するに、この最低賃金アップで得をしたのはベゾスその人だったのです!

奴はアマゾン社だけでなくワシントンポスト紙なども所有しています。CIAやペンタゴンとも契約を結んでいます。

RTの「アメリカの弁護士」という番組によると、ベゾスがこれ以上金持ちにならないためには、毎日2,800万ドル浪費しないといけないそうです。

一方、彼は2000年からの統計で、慈善事業に費やすお金持ちトップ10の最下位です。これまで困っている人にあげたのは資産の0.1%。この数字をちゃんと咀嚼してくださいね、1割でも1%でもなく、0.1です。

アマゾンの社員の年間給料の中央値は28,000ドルです。4人家族だと考えると、米国の貧困線のほんの少し上という額です。掻き入れ時だけの臨時雇用も多い不安定な職です。

あ、こちらとか、最近の記事だとベゾスの純資産額は1,500億ドルじゃなくて、1,630億ドルに増えてますわ。

ちなみに最近お気に入りのミーム:
ヒラリー:「でも悪魔様、私が勝てるって言ったじゃない」
悪魔:「だがヒラリーよ、お前は代わりに差し出す魂があると言ったではないか」

……経営者の皆さん、悪業がたたって魂がなくなると、最後には悪魔ですら振り向いてくれなくなりますよ?


文・Yutika


Writer

Yutika

体癖:8−2、エニアグラム:4
関西の英語塾で教えつつ、翻訳業(英語&仏語)をしております。


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