レアチーズ・ケーキを作って食べたら
あ〜あ、
えらい目に合っちゃったよ。
どうした?
久しぶりにレアチーズ・ケーキが食べたくなって。
おめえ、クリームチーズは苦手じゃなかった?
前に、クリームチーズで体が痒くなったって言ってなかったっけ?
これだから、
3種ってやつあ・・・
見たら、すぐに食いたくなるんだから。
こないだはアメリカ産チーズで痒くなったから、
今回は国産ので作ったんだけど。
クリームチーズはどれも、「増粘多糖類」が入ってるんだよ。
食品をネバネバさせる添加物だな。
最近ネコに大人気のおやつ、「・・ール」にも入ってる。うちのくろまるには、やらねえけど。
ほんとだ、「まぐろ、まぐろエキス、・・・増粘剤(加工でん粉)・・・増粘多糖類、調味料(アミノ酸等)・・・・・」。(
きゃっちゅ)
なんか、添加物の塊みたい。
しかも
増粘剤(加工でん粉)入ってるのに、さらに増粘多糖類ってヤバくね?
クリームチーズだって、もともとベタベタしてるのに、なぜ増粘多糖類入れるの?
加工でん粉が「デンプンに化学薬品を加えて、その特性を失わせたり、増強させたりと人為的に操作している」(たべるご)ヤバいヤツってのは知ってたが、増粘多糖類は、海草や植物でできてる(Business Journal)から、そんなに体に悪くないと思ってた。
それなら、
ただの寒天入れてる方がよっぽど安心だよ。
せっかく作ったチーズケーキの食感も、なんかガムみたいで、ニチャクチャしておかしいなとは思ったんだけど。
案の定、
食後に胃が重たくなって、夕飯も食べられないし、ムカムカして吐くかと思えば吐かないし、便意を催してトイレに座っても下痢じゃないし。
いったい
体が何をしたいのか、わかんなくなってる感じ。
食中毒じゃ、ねえんだな。
買ってきたばかりの材料で、衛生的に作ったからそれはないよ。
前みたいに体は痒くなることは?
ない。
おかしいのは胃だけ。
たぶん、
胃を取り巻く消化器がダウンしたんだろな、膵臓とか、肝臓とか、胆嚢とか。
夜中も気持ち悪くて目が覚めるし、翌朝もお腹が空かない。
朝ごはんを抜いたら、少しお腹が空いたので、昼も夜もお粥にした。
それでも、
夜中に目が覚めると胃が重たい。
増粘多糖類入り、レアチーズ・ケーキかあ〜。
「カファ」が粘りついて、べったり貼りついて取れないってイメージだなあ。
アーユルベーダのドーシャ、
冷たくて重たい性質「カファ」のことだね。
たぶん、
「アグニの火」を消すほどのカファだったのかもよ。
「精錬の火」、
「アグニ」のことだね。(
東洋医学セミナー・中級第19回)
「
この消化の火が弱ければ、食べ物が消化しきれずに体に毒素(アーマ)がネバネバ状態に腐敗し蓄積されます。」(
アーユルベーダライフ)
カファがダブルになった、増粘多糖類入りチーズケーキ。
それが「アグニ」の火を消しちまったのかもよ。
「アグニの不調」は「アーマ(未消化物)」となり、それが「スロータス(経路)」を塞ぐ。
てことは、そのまま
放っておいたら病気になっちゃうね。
ほとんどの人はそういうとき、消化薬を飲むけど。
ぼくは、そういうの飲まないね。
だって
消化薬を飲むと、やせ馬にムチ打つことになるから。
それはカシコい。
胃や膵臓が疲れ果てて、消化できる状態じゃないのに、ムリヤリ腹を空かせるのが消化薬だ。
開店準備中なのに、図々しい客が入ってきて、追い出そうか、前の日の残りでも出そうかって、迷惑な話だ。
しかも食ったもんは、まともに消化されねえから、未消化物(アーマ)になって体に残る。
未消化物(アーマ)は生ゴミみたいに、体中の通路を詰まらせるしね。
消化薬を飲むと、病気の発症を手伝うことになっちゃう。
じゃあ、
西洋薬じゃなくて、漢方薬の胃薬ならいいのか?
合えばいいけどね。
合うのを選ぶのは漢方の名医でも難しいと思う。
合わない薬飲んで、もっと胃が悪くなるのはイヤだよ。
ぼくも漢方の胃薬をいろいろ試してみたけど、結局春ウコンが一番合ってたよ。
春ウコンて、インド人がカレーに入れて毎日食ってる、ターメリックのことだな。
ふだんなら、春ウコンを飲むと、胃がスッキリして食欲がでてくる。
でも
今回は、それだけじゃ解決できなかったんだよ。
アグニの火を復活させるには、間に合わなかったと?
アーユルベーダの薬膳粥キチュリ
あれこれやっても改善しないので、考えた。
これまで胃が悪い時、どうしてたっけ?
って、
思い出したのがキチュリだったんだよ。
キチュリ? なんだそりゃ?
インド人が健康のために、週に1回は食べるという、アーユルベーダのお粥。
お粥かあ。でも、おめえもお粥は試してたろ?
ただのお粥じゃなくて、アーユルベーダの薬膳なんだよ。
とにかく
作って、食べてみた。
それで、結果は?
一口で、「アグニさん、復活〜おめでとう!!!」って感じだったよ。
おわん1杯ペロッと食べて寝たけど、それまでの夜中の不快感も全くなくて、
ぐっすり眠れたし、
目覚めたらお腹が空いてて、残りのキチュリを温めなおして食べたよ。
むつかしい薬とか飲まなくても、
ただのお粥で、アグニの火が復活したのか。
材料も、ターメリックとクミンシードを用意しとけば、あとはどこの台所にも、普通にあるものばかりだからね。
だから、
インドは「キッチン・ファーマシー(台所薬局)」っていうんだな。
しかも、
備蓄の古米を消費できるし。
おれもカレーの飯は、古米って決めてる。
インドじゃ、週に1日はキチュリを食べるとこが多いんだって。
年に1回の七草粥より、実践的だな。
それに、
キチュリはおいしいし、食欲をそそるよ。
大事なアグニを週に1回、回復させる・・・・
キチュリの作り方、教えてくれ。
材料(2〜3人前)
A 白米 3分の2カップ
水 4カップ
ターメリック 小さじ2分の1
油(バターでもオリーブ油でも) 大さじ1
B 油 大さじ1〜2
クミンシード 小さじ2分の1
にんにく 2〜3かけ
生姜 1かけ
塩 小さじ1
ごめん! この写真の水、まちがえて5カップ入ってる。ホントは4カップ。
お粥が炊き上がって気づいたんだよ。あれ?今日はなんで、こんなに水っぽいの?って。
おめえらしいな。
なにしろ、
初めての料理リポートだから、計算まちがいしちゃった。
作り方
① Aを、大きめの鍋に入れて30分置く。
② ①を火にかけて沸騰したら、弱火で20分煮る。
③ お米が炊けてる間に、生姜とにんにくを刻んでおく。すりおろしてもいい。
④ お米が炊きあがる、ちょっと前になったら、
小さい鍋(またはフライパン)に、油大さじ1〜2を入れて熱する。
クミンシードを2〜3粒落として、パチパチと音がしだしたら、残りのクミンシードを全部入れて、色が変わり、香りが出るまで炒める。
そこに、刻んだ生姜とにんにくを入れて、さらによく炒める。
⑤ 炊き上がり直前のお米に、④をジュッと入れる。
⑥ よくまぜて、塩で味を整える。
じゃ、
写真入りで作り方を説明するね。
① Aを、大きめの鍋に入れて30分置く。
ずいぶん
おっきな鍋だな?
なんで大きめにするかと言うと、途中で必ず吹きこぼれるからなんだ。
ほんとは、文化鍋がいいんだけど、アルミ製なのがね・・・。
なるべく、アルミは使いたくねえしな。
アルミ以外の文化鍋って、探したけど見つからなくて。
ステンレスのがあったら、欲しいんだけどね。
② ①を火にかけて沸騰したら、弱火で20分煮る。
少し蓋をずらしてるな、
こんなに鍋が大きくても吹きこぼれるのか。
そうなの、
沸騰したら気をつけてね。
③ お米が炊けてる間に、生姜とにんにくを刻んでおく。すりおろしてもいい。
④ お米が炊きあがる、ちょっと前になったら、
小さい鍋(またはフライパン)に、油大さじ1〜2を入れて熱する。
クミンシードを2〜3粒落として、パチパチと音がしだしたら、
残りのクミンシードを全部入れて、色が変わり、香りが出るまで炒める。
そこに、刻んだ生姜とにんにくを入れて、
さらによく炒める。
高温だから、ヤケドしないように気をつけてね。
中華料理で、白ネギに油をかけるヤツみてえだな。
このように、
香辛料の風味が移った、アツアツ油をかけることを「タルカ」って言うんだよ。
香ばしくて、食欲が出る香りだな。
レシピによっては、先に香辛料油を作って、そこにお米と水を入れて炊く方法もあるけど、
ぼくは「タルカ」する方が好き。
少し焦げた、香ばしい香りを吸い込むと、ダメージを受けた胃腸が反応するんだ。
鼻は、胃の経絡につながってるからな。
最後に⑥ よくまぜて、塩で味を整える。
ぼくはヒマラヤの塩を入れたよ。レッド・ペッパーを少し入れてもいい。
はい、できあがり。
お、
うまそうだ。
試したことないけど、
炊飯器でお粥を炊いて、タルカしてもできると思う。
そいつは、楽かも。
吹きこぼれを気にして、火の前に貼りついてなくてもいいからな。
テキストには、緑マメが入ってるけど、入れなくても十分おいしい。
ただし
病気が長びいて栄養補給が必要な人は、タンパク質補給に入れた方がいいそうだ。
ドーシャを考えると、マメはヴァータだから、カファやピッタの人には合うが、ヴァータの人は少なめがいいな。
ドーシャって言うのは、気の分類で、ヴァータ(太陽と月)、ピッタ、カファの4つある。
ヴァータは乾燥しやすくて、風みたいに軽いから、マメを食べすぎるとお腹が張るしね。
カファは水の性質で、クリームチーズみたいに重くて冷たいから、食べ過ぎると重くなる。
油はカファだから、ヴァータの人は多めに入れるといいし、
カファの人は控えめにしたらいい。
ピッタは火の性質で、熱くて血の気の多いから、レッド・ペッパーや香辛料はとり過ぎない方がいいね。
逆に、カファや月のヴァータの人は、体を温めるために多めに入れるといい。
体質や、自分の状態に合わせて、さじ加減のできるアーユルベーダ。
すぐれもんだぜ!
Writer
白木 るい子(ぴょんぴょん先生)
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
と言っても、店頭にならぶ七草は、畑で栽培されたものなので、昔のような薬草の効用は望めないと思います。
食いしん坊の私が、自分で作ったレアチーズ・ケーキで胃腸がおかしくなった話です。