ままぴよ日記 22

 毎年、この季節になると春の陽気に誘われての野山をめぐり、つくし、セリ、菜の花、、、と春の幸を収穫しては保存食を作るという「春の病」が起こります。

 思い返せば去年、ちょうどこの時期にオーストラリアの娘のところにお産の手伝いに行って日本の春を見逃しました。今年こそは!と思っていたのですが、今年も春を愛でる気にならないのです。
(かんなまま)
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長女一家の渡米準備


3月末に長女家族がアメリカに長期留学することになりました。脳神経外科医であるパートナーの留学ですが、4人の子どもを連れての大移動です。今住んでいるマンションや車を売り、すべて英語での渡航手続きや、現地の学校、幼稚園の編入手続き、住むところを探して家財道具を手配して、日本に置いていく荷物、アメリカに送る荷物の仕分けなどのすべてを娘が一手に引き受けています。

もちろん、毎日の生活、6か月の赤ちゃんのお世話も手を抜けません。


2種―9種、月のヴァータの娘は頭の回転が良くて、並外れた集中力と行動力で「まあ、よくやってるわ!!」と、感心するのみです。でも、私も経験があるのですが、行くと決まったらハマらなければやれないのです。そのエネルギーが湧いているうちは大丈夫。むしろ「大丈夫?」「やりすぎよ!」「寂しい」など流れを止めるようなことを言ったら苦しめるだけです。というより叱られます。

うれしいのは家族中で行くことを喜んでいることです。まだ若いし、外国で暮らす事もいい経験でしょう。こういうことは家族一緒に経験したいという考えも賛成です。孫達も新しい学校のカリキュラムを見て喜んでいます。一週間のほとんどが音楽、芸術、体育などで、日本の学校との差は歴然です。1年生の孫は担任の先生から解放されることがうれしいようです。

ただ、お姉ちゃんは今度5年生になるのですが、5-3-4制のアメリカでは8月生まれはすでに5年生。そして9月からミドルスクールに通う仕組みです。英語も話せないので1学年下げることも考えていますが、弟の小学校とは別の学校に通わなければけません。でも幸運なことに娘が住む地区は特例で小学校の隣にミドルスクールの1年生だけのクラスが新しく作られたとのこと。だから弟と一緒に通えることになりました。親が送り迎えをしなければいけないので助かります。ちなみに子どもを独りで歩かせていたら虐待と通報されるそうです。

そして、ほとんどの日本人は現地の学校に通い、土曜日に日本人学校に通います。宿題も結構出るようです。勉強していないと日本に帰ってきてついていけないからです。初めは通わせるつもりにしていましたが、やめました。せっかく外国で暮らすのです。日本ではできない生の体験の方を優先しました。土日はしっかり休んでどっぷりアメリカライフを満喫してほしいと思います。孫達も解放されて喜んでいます。

ああ、子ども達はみんな自立してしまった「預言者」のカーリル・ジブランの詩「子どもについて」が身に沁みます。

「あなたの子どもはあなたの子どもではない。
子どもたちは、生命が生命そのもののために望んだ息子や娘である。
彼らはあなたを通してやって来るが、あなたから来るのではない。
あなたとともにいるが、あなたに属するのではない。
彼らの身体を家に住まわすことはできるが、
その魂を囲い込むことはできない。
子どもたちの魂は、あなたが夢の中ですら訪れることのできない、
明日の家というところを住まいとしているのだ。

彼らに愛を与えてもよいが、考えは与えてはならない。
考えは彼ら自身が持っている。
あなたが彼らのようになろうと努力するのはよいが、
彼らをあなたのようにさせようとしてはならない。
生命は決して後ろには進まず、昨日に留まりもしないからだ。

あなたは、あなたの子どもたちが生きた矢としてそこから放たれる、弓である。
矢が速く遠く飛ぶように、
天の射手は無限の道程めがけてその弓を力いっぱい引き絞る。
射手の手の中で自らが強くたわめられることを、喜びとせよ。
彼が飛びゆく矢を愛するとき、彼はまた、その弓の動かぬことをも愛するのだから。

カーリル・ジブラン
WikimediaCommons[Public Domain]



読みながら泣けてきます。長女も、オーストラリアの娘も、フィンランドの息子も無限の道程めがけて遠くに飛んでいきました。長男は近くにいるけど家族仲良く暮らして自立しています。何の心配もありません。

ああ、この上ない幸せ!



手放したら新しい何かが始まります


なのに・・何かと心配している私。寂しいと思ってしまう私。もちろん遠くに行くのを止めたりはしない。誇りでもある。息子や娘に会えないのは大丈夫(飛行場で泣くだけ)。でも孫達に会えなくなると思ったら涙が溢れてくるのです。

この気持ちは何だろう?私の中の不安は私の問題であるのは間違いありません。そのたびに自分で自分の気持ちを確認します。それは今ここにある愛しいものを手放す寂しさかもしれません。事故や災害、危険のないようにと心配する気持ちかもしれません。まだまだ不徳の私です。それならその不安のエネルギーを祈りに変えるしかありません。祈ると落ち着きます。私の子育てもその連続でした。

そして現実生活は体を動かして娘の忙しい生活の隙間を埋める日々です。赤ちゃんを抱っこしたり、掃除洗濯,ご飯の用意。食器、衣類の整理、区分け・・・。落ち着かない気持ちを行動のエネルギーに変えます。単純作業がいいのですが、用途別に仕分けしながらパックする作業は頭を使います。疲れる~!頭もパンパン!おかげで他のことを考える余裕がなくなります。

pixabay[CC0]


このように無限の道程に向かって行動をしていたら不思議なご縁とサポートも始まります。今回も困難な事態がスムーズに運ぶ体験を何度もしました。まず、家を売ると決めたタイミングで娘の友人が引っ越して来ることになり、マンションを購入してくれた上に家財道具や車まで買ってくれたのです。

スムーズに流れすぎて渡米前にマンションを引き渡すことになったので一時的に住む場所に困りました。そのタイミングで娘の別の友人のマンションに留守中の家があって、家具付きで短期間借りることができました。同じマンションに家族中で仲良くしている友人が住んでいるので孫達は大喜びです。夕ご飯、お風呂までお世話になって娘も助けられました。学校も近くて便利でした。

アメリカのマンションもネットで探したのですが、学校などの条件のいいところが見つかり、家具も日本に帰国する子ども連れの家族が譲ってくれることになりました。そして、別の友人の知り合いが同市に住んでいるということで連絡を取ったらパートナーと職場が同じで、子どもも同じ世代ということで今から連絡を取り合って助けてもらっているようです。

このように、手放したら新しい何かが始まります。意思表示して行動していれば、それに向けた流れができて、ご縁をいただけるようです。そのご縁がいい流れならGOサイン!!いつもその感覚で物事を進めてきましたが、今回も大丈夫のようです。神様ありがとうございます!

自分の人生で大きな転機が訪れた時、それを受け入れるか、しり込みするか?本人が決めるしかありません。大決心ですが、その時にポジティブに判断して何の保証もない未知の世界に漕ぎ出して行けるのかどうかの決断は自分を信じられるかにかかっていると思います。まさに娘家族はそれを信じて未知の世界に船を漕ぎ出そうとしています。


親としての役割は無限の道程めがけて飛び立とうとする子ども達を弓を力いっぱい引き絞って愛とともに放つだけ。それを教えてくれる子ども達です。

残された5種の私はいろいろな感情を味わいながらも合理的に判断して体を動かしながら子ども達の人生を理解していきます。そして祈りとともに私の勝手な心配を一つずつ手放していきます。その一方で、2種の私は論理的に自分の気持ちを分析しながらこの記事を書き、落ち着きを取り戻します。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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