『緊急院内集会~種苗法についての勉強会~』に参加して。農水省は、やはり巨大種子企業の出先機関なのか?~自家増殖採種禁止へ向けて、種苗法改定案を来年の通常国会に提出する政府

 先日、"種苗法についての緊急院内集会"に参加してきました。
 山田正彦さん、印鑰智哉さん、稲葉光國さん、議員さん十数名はじめ、総勢100名ほどとともに、種苗法改定について、農水省の官僚4人の話を聞き、議論するという集会でした。
 種苗法改正のそもそもの発端は、シャインマスカットなどの種や苗の海外流出を守るために農水省が検討を始めたというものでしたが、ふたを開けてみると、現在の種苗法自体が複雑だとして、”自家増殖は一律禁止”に改定するというとんでもないものになりそうだということで、急遽、緊急院内集会が開かれたというわけです。
 種などの海外流出に関しては、弁護士でもある山田氏によると、もちろん法解釈ではあるが、現行の種苗法21条で禁止されているというのが、山田氏ら弁護団の見解とのことです。
 そして自家増殖に関しては、現在の種苗法では、登録品種であっても自家増殖は原則自由となっています。しかし”自家増殖一律禁止”となると、今まで自由に自家増殖してきた農家にとって大打撃となります。さらに、種は交雑するので、登録品種の定義もあいまいです。しかも違反者には、1000万円(法人は3億円)以下の罰金、10年以下の懲役とのこと。つまり、この種苗法の改定とは、種の海外流出防止を名目とした、グローバリズムの戦略としかおもえない改悪なのです。こうした種苗法改定案を、政府は来年の通常国会に提出する予定でいます。
 話を聞いていて、農水省の役人が、巨大種子企業の先兵に見えてきました。もっともらしい話をして、煙に巻いて、説得しようとするという、頭のいい?詐欺師といった体です。いわゆる売国奴ですね。しかし今日は相手が悪すぎました。百戦錬磨の猛者たちは、みんなお見通しです。
 彼らには、山田さん、印鑰さん、稲葉さん他の指摘する、種を知財化することの危険やバカバカしさがわからないようです。というか、理解はできる?が端から聞く耳を持たないといった感じです。なんせグローバリストですから。
 日本の農業を守るため!とか、望まれている新しい作物を登録して海外への流出を守る!とかもっともらしく言うのですが、どうみても、その道の行く末は巨大種子企業による種子の独占です。そんなこともわからないのか!とおもいましたが、そのためにやっているのでした。
 2時間だけだったので、農水省からのグダグダの経過説明などでかなり時間を取られ、肝心の質疑応答がどれも中途半端ではありました。しかし、かれらのスタンスはよくわかりました。種苗法改悪の命を受けた、上級国民側の戦闘兵といったところでしょう。
 安倍政権がそうであるように、農水省はやはりグローバル企業の出先機関のようでした。日本のためといいながら、日本の農家をボッコボコにするつもりのようです。国連の"小農の権利宣言"を棄権するわけです。
 中には、映画「新聞記者」のように、事態を危惧している役人もいるのかもしれませんが、果たして立場主義と向き合うことのできる勇者はいるのでしょうか?
 最後に、山田氏が「9/30にゲノム編集の種を有機として認証するかどうかの検討会議があったというが知っているか?」と尋ねました。かれらは「知らない」といいます。本当に知らないのか、あったのは知っているが内容までは知らないのか、それとも違う部署のことまで与り知らないとでもいうのでしょうか。いずれにせよ、それでよく、日本の農業を守るなどと言い切れるものです。日本の農業を守らん!と尽力する元農林水産大臣である山田正彦氏を前にして。
(しんしん丸)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)

種は元々、農家の共有財産である。それは国連の小農権利宣言でもうたわれている。
種の知的所有権を求める民間企業と種を自家増殖する農家との調和をはかったものが、現在の種苗法であり、そのために大変複雑なものになっている。
〇登録品種(企業が25-30年独占)は86種(2017年)から387種(現在)まで増えている。
登録品種でも許諾を受ければ自家増殖が可能(農水省)というが、そもそもなぜ許諾を受ける仕組みにしなければならないのか!
〇今回改定しようとしているのは、種の海外流出を防ぐことを名目とした”自己増殖の一律禁止”
EUやインドでは、知的所有権を種に適用することは禁止されている。特許は認められていない。(以上、印鑰氏)

〇モンサント等3社の巨大種子企業で種、農薬、化学肥料70%を占めている。これらをセットで販売するビジネスモデルができている。
そして世界では、こうした自家増殖を禁止した自家増殖禁止法案(モンサント法案)に反発し、暴動までおきている。
海外流出を防ぐためだけなら、何も種苗法を改定する必要はない。
それを種苗法が複雑だからとして、”自家増殖の一律禁止”としてしまったら、自家増殖をしている農家は大打撃。
〇そもそもシャインマスカットを中国で品種登録しなかったのは、農水省の責任。それを、自家増殖一律禁止にすることで海外流出を防ごうというのは、おかしい。
〇私も弁護士だが、現行の種苗法21条で、海外流出は禁止されているとおもっている。もちろん法律は解釈次第だが、それがわれわれ弁護団の見解だ。(以上、山田氏)

〇米ソ冷戦後に米が取った3つの戦略。
1.金融自由化
2.知的財産権
3.インターネット
TPPも種もその一貫、そんなのに乗ったらだめだよ!(議員さん)

〇(さとうきびの話にて)ここでいう育成者とは農研機構で、農研機構の許諾が今後わざわざ必要とされるとなると大きな問題になる。
それに、そもそも農研機構は税金で成り立っているもの。つまり国民が育成者なのではないか!これは矛盾してないか。(参加者)

〇日本国民のための農水省の発言とは聞こえない。
日本のためというが、自給率37%(砂漠のイスラエルですら95%)の中で、自家増殖を禁止するというのか?
米も現在、籾が400円/kgだが、三井化学の米となると4000円/kgだ。これではもう農家はやっていけなくなる。これ以上農民をいじめてどうするのか?
モンサントの出先機関のように聞こえる。不満でいっぱいだ。(参加者)

私たちは、新品種で日本の農家を支えてほしいと考えている(農水省)

食料産業局知的財産課長(右)と食料産業局知的財産課種苗室長
(撮影許可あり)


〇ローカルな現場を知らない、原則論で、意味がない。何もわかっていない。
これでは、保護すべき人が保護されなくなってしまう。(参加者)

〇種に特許とる!?種をお金で買うものにするだって!?農水省はどこの見方?(参加者)

〇伝統的な在来種は、登録するとなると、新品種になるのか?(参加者)

⇒新品種の登録の審査では、DNAではなく、特性の違いを見る。在来種と明確な特性の違いがあって、初めて新品種となる。(農水省)
種は変わっていくもの。土地に合ったものに変わっていく。だからこそ、種の自家増殖は原則自由になっている。
今後、育成者権が裁判沙汰になっていくだろう。今回の改定は、そのためのものだとおもっている。アメリカでやられてきていること。
種は巨大種子企業のものではない。(山田氏)
⇒特性が変わったら、登録抹消となるので大丈夫です。
水掛け論になるので、この辺でやめておきます。(農水省)

〇こうした、原則一律禁止の改定は、どこからの指示なのか?(参加者)

⇒10年以上前から検討しています。(農水省)

〇有機農をやっているが、企業がつくりだした新品種などの不自然なものは食べたくない。
また、それらの種が出回ると交雑して、有機でなくなってしまう。
農水省には、有機で国民を守ってもらいたい!(参加者)

〇日本のためというが、それならなぜ種子法を廃止したのか!
そのために、手を引く県が実際に出てきている。手間もお金もかかるため、稲、麦、小麦、大豆に手を出す民間は実質5社くらいなもの。モンサントとか。彼らは狙っている。
だからこそ、原則的なことだけを言うのではなく、こうした現状も把握して、行動しないと、大変なことになる。
また、グリホサートの緩和とか、ジェネリック農薬が安く流通したりして、環境がどんどん汚染されている。
子どもたちの未来は深刻である。発達障害も増えている。しかしいくらこうした指摘をしても、政府は無視、解明しようともしない。
そういう国の姿勢なのだから、農水省が食べ物に責任を負っているというのはウソだ。
新品種にこだわる、種の巨大企業の先兵としかおもえない。
農家のためというが、これらは農家から出てきた話ではないのは明らかだ。

(以上、稲葉氏)

9/30に、ゲノム編集の種子を有機として認証するかどうかの検討会が開かれたというが、知っているか?(山田氏)

⇒知りません。(農水省)
⇒「知らないわけないだろ!」「わからないんだったら、今度は局長級クラスの人を呼んできて下さい!」(参加者)
その資料を見ると、もうそれありきの内容になっている。そうなると有機が汚染されてしまう。そういう大変に厳しい状況にあるということを皆さんにお伝えしておきます。(山田氏)

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配信元)


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政府は自家増殖採種禁止へ向けて、種苗法改定案を来年の通常国会に提出
配信元)
(前略)
政府は自家増殖採種禁止へ向けて、種苗法改定案を来年の通常国会に提出いたします。(中略)

種苗法は例外規定が多いので、自家増殖や転売は 一律禁止、現場が理解しやすいシンプルな条文にすべきと明解にしかも赤で書かれています。(中略)

違反した場合には 懲役10年以下1千万円の罰金 共謀罪の対象になっています。政府は 中国 韓国などにシャインマスカットのような日本の優秀な育種知権が合法的に流出するのを防ぐために種苗法の改正が必要だと説明しています。本当でしょうか。
 
種苗法21条は、登録品種についても自家増殖(採種が)原則自由になっています。(中略..)私どもの見解からすれば、政府は国民を騙していることになります。むしろ、種苗法は国内法ですから、海外での取り締まりはできないので、宮崎県が種牛の種苗(精液)の海外への流出を刑事告訴したように、現行法で十分です。(中略)


種子法を廃止する時にも政府は種苗法で守るから大丈夫ですと説明しました。しかし本当の狙いは 種子法で守られてきた主食コメ小麦大豆もモンサント等多国籍企業の種子を農家に購入させるために先に種子法を廃止したのではと思ってしまいます。(中略)

今年の9月欧州議会でも農家の自家採種を自由にすることを決定しています。昨年12月国連の人権宣言でも種子は農民の権利であることを採択しました。日本の今回の自家採種禁止の 種苗法の改定は 中南米 インド等 世界の潮流に逆走した1周遅れのトップランナーです。(中略)

長野県の種子条例も 伝統的な固定種子を守るものになっています。私たちにはいかに政府が自家増殖(採種)を禁しても打つ手立てがあります。種子法が廃止されても、既に11道県で 種子法に代わる 種子条例が 制定され、年度内に21の道県で種子条例が制定される見込みになっているように。
(以下略)

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