1月26日伊方原発の全電源喪失事故は、10秒ではなく43分だった 〜 政府も原子力も「都合の悪い情報は出さない」

 1月25日に伊方原発で全電源喪失事故がありました。3号機の電源喪失は10秒程度と報じられていましたが、共同通信の取材に対し四国電力は「核燃料プールの冷却が43分間停止」していたことを明らかにしました。
 おしどりマコさんは当初の報道に対して、受電停止10秒で1.1℃の温度上昇は早すぎると感じておられたそうですが「好意的に解釈して10秒で受電したが、燃料プール冷却設備の再開まで45分だったのか」と推測されています。
 3号機は2019年12月26日から定期点検のため停止中でした。「定検入りして2週間以上経過」していたため、全電源喪失が直ちに重大事故になることは無いと考えられています。
しかし、今回の外部電源喪失というインシデントは伊方原発の持つ脆弱性に対処していなかったことが明らかになったと見られます。同じ脆弱性を持っていた北海道電力の泊原発ではすでに対策がなされているそうです。
今回の電源喪失の他にも点検中の重大インシデント、重要なインシデントが相次いで発生しており、それらの情報公開と改善もなされていなければ、いずれ重大事故を引き起こすとの見解もあります。とりわけ1月12日の制御棒を誤って1体引き抜いた事故は「原子炉工学において、制御棒が人間の意図とは違う動作をすることは最もあってはならないこと」と、素人でも理解できる恐ろしさがあります。
 何より共同通信が取材をしなければ、この43分間の停止も知られなかったかもしれないことが深刻です。
「都合の悪い情報は出さない」政府も原子力も、ほんと不要。
(インシデント〜事故(アクシデント)につながりかねないトラブルなどの事例)
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

————————————————————————
伊方3号機、核燃料プール冷却43分間停止
引用元)
四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)が一時電源を喪失したトラブルで、3号機の核燃料プールの冷却が43分間停止していたことが6日、四国電への取材で分かった。水温は約1度上昇したが、四国電は「規定の範囲内。安全性に問題はない」としている。
————————————————————————
配信元)



————————————————————————
伊方原発で一時外部電源喪失。頻発するインシデントと、それらを軽視する擁護論者の完全なる誤り

(前略) これらの図から分かるように、現在の伊方発電所3号炉の外部電源には、四国電力と原子力安全委員会(当時)が共に認めた脆弱性が現在も残存しています。また北海道電力泊では、すでに対策がなされており、所内だけについては考え得る限り十分な冗長性を持っています。
 今回連続して発生した重要、重大インシデントの中で最後に発生した外部電源喪失重大インシデントは、明らかに今までに改善がなされなかった伊方発電所の脆弱性が現実の重大インシデントになったものです
(以下略)

————————————————————————
伊方原発の重大インシデントで「臨界」はあり得ずとも、軽視してはいけない決定的な理由
引用元)
(前略)
この重大インシデントが報じられた後、SNSでは“臨界か?”という投稿が見られました。(中略)今回については臨界事故が生じる可能性はたいへんに低いといえます。  
しかし、制御棒が人間の意図を外れた動きをすること自体が原子炉で最も恐ろしい反応度事故の最大原因となりますので、制御棒クラスタの誤作動は原子炉におけるインシデントとしては最も重大なものです。
(中略)
再度書きますが、原子炉工学において、制御棒が人間の意図とは違う動作をすることは最もあってはならないことです(中略)大きな地震の時など、制御棒駆動の信頼性に僅かでも疑念が生じてはいけないのです。
(中略)
(中略)ですから、「制御棒1本くらいで騒ぐのは情弱」などと言う人には、原子力安全を語る資格が全くありません。
(以下略)

Comments are closed.