藤井聡教授と山本太郎代表が語る「大阪都構想」〜 大阪府による大阪市の財産のカツアゲだ

読者の方からの情報です。
「大阪都構想」2度目の住民投票の実施が決まりました。(何べんすんねん!)
大阪市を解体し、その利益を大阪府に吸い上げる都構想はまさに「大阪府による大阪市のカツアゲ」です。
住民サービスの低下はもちろん、行政も大混乱します。
ジャンベさんに続き、イソジン吉村も吉本新喜劇に登場し好感度アップをはかっていましたが、チンピラ維新の悪行に、どれだけの大阪人が気づいてくれるのか気になるところです。
大阪の中心で「維新のボケ~ッ!」と叫びたい。
(まゆ)
 維新とセットで語られる「大阪都構想」、うさん臭いとは思っていましたが、バリバリの関西人読者さんからよく分かる情報が届きました。30分足らずの動画ですが、さすがあの藤井聡教授と山本太郎さんの対談は小気味好く、可笑しく、大阪人のコンプレックスまで手に取るように分かってしまいます。都構想自体は笑止千万の無茶な提案であったとしても、入念に練られたイメージ戦略にノリの良い大阪人がすっかりダマされてしまったように見えます。都構想は2015年の住民投票できっちり否決されているのに、橋下徹市長の後を受けた松井・吉村コンビのダブル選挙でしつこく都構想を公約に掲げ、再び俎上に乗せてしまいました。11月1日に再度住民投票を行うことになりましたが、その投票用紙の「大阪市役所を廃止」という文言に松井市長が「反対への誘導になる」と不満を訴えたようです。誘導も何も事実「大阪市を廃止」して大阪府に吸収されてしまうのが都構想ですから。動画では無理やりな理屈に隠された目的と、その後の地獄を警告されています。
 かつての、人々を魅了してやまない大阪に戻すためにも、広く知られて欲しい内容でした。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)




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大阪都構想とは何か? ~山本太郎氏、藤井聡教授に聞く~|表現者クライテリオン特別対談
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[内容の要約]

(山本)
都構想のイメージについて、維新の打ち出すキーワードは強く人々の心を掴む。例えば「大阪の成長を止めるな」などパワーワードが多い。けれど実際には大阪の成長は、全国平均を下回っていることが多い。(そもそも成長していない。)都構想に至っては、今の大阪の状況の何が問題か見えてこない。

(藤井)
橋下時代から10年くらい維新が問題としているのは大阪の「二重行政」
府と市が何かにつけ対立をし、足の引っ張り合いをするため、政策が前に進まない。それがこれまで大阪の成長を阻んできた、という説明をしている。そのため府と市は仲良く協調し、政策を前に進めるのが都構想。一見、正しそうだがこれは単なるイメージ。
実際に行政に携わった識者は「幼稚で稚拙な内容」と言う。例えば、神戸と兵庫、横浜と神奈川の成長は止まっていない。それぞれの成長をしている。市を廃止して県レベルの都構想にしようなど論外。ただ大阪の場合は、たまたま府も市も「大阪」なので違いが分かりにくいイメージがある。
維新の説明では、府と市のどちらにも行政があると図書館、体育館、保健所など二重にあってムダ。そのムダを解消して前向きの投資にすると言う。

(山本)
地域の名称で「サギ」りやすいのが大阪なのか。横浜と神奈川のようにそれぞれの特色を出しにくく、一体化しているように見える。しかし東京都と世田谷区のようにコロナ対策など、それぞれ独自の取り組みができるのは素晴らしい。「ムダ」とされるものは削ってもよいのか。

(藤井)
まず、ムダのことを言うと、市立体育館、府立体育館どちらも市民に利用され機能してきた。府と市が2つあるからムダと言うのは暴論に過ぎない。二重行政のムダはいくらあるのかを行政が調査すると、橋下氏のいう「4000億円」ではなく、せいぜい数十億円しかない。つまり無駄はなかった

最近の吉村知事は「ムダ」を理由にせず「仲良くすることが大事」というスタンス。
しかし、府と市は仲良くする局面だけではなく、対立する局面があっても良いと思う。
市は270万人の市民の代表、それに対して府は700〜800万人の府民の代表だ。なので利益の対立があるのは当然で、対立をなくすために吸収合併をすれば良いというのは民主主義の理念に反している
市が府に吸収されると、大阪市民の利益が毀損されることが起こる。地方分権に逆行だ。大阪市民の独立自治が失われる

これまで大阪市と大阪府は、長い間、協力と独立のバランスをとりながら緊張感をもって進めてきた。
しかし都構想では、府知事の下に舎弟のように特別区長が居て、特別区の人はほとんど発言権も財源もなく従って自治ができない
実は、東京都23区にはそのような問題があり、区長たちはずっと「東京市」を作らせてほしい、財源と権限を市に与えることにしたいと東京都に要望してきている。当然ながら都としては財源や権限を「下々の」市に与えることになるので大反対する。なので東京の区や職員からすると「大阪都構想は笑止千万、無茶苦茶な話やな」。

(山本)
これって、対立は良くない、もめた時は王様が出てきて治める、みたいな王政を維新は求めているようだ。かつての民主党政権の時、意見が対立し「決められない政治」と言って非難されたことがあった。しかし、大問題があることをスピーディーに「決められる」自民党政権はもっと危険だ。大阪の方々は気をつけていただかないと、かなり酷い状況になる可能性がある

(藤井)
まさしく維新が大阪の都構想を進める背景には、日本の政治のあり方を象徴している。1つは、中央集権化の流れを色濃く汲んでいる。さらに都構想の特徴として「かなり新自由主義的」「小さな政府を目指す」がある。都構想と(水、地下鉄などの)民営化、自由化、IRで外資の導入というのはセットで語られる。本質は、市を解体して自治をなくして、財源2200億円を4分の1府に上げ、権限を府に上げ、残されたものを4つに区分するという行政改革に過ぎない。

(山本)
大阪府による大阪市へのカツアゲ、アガリをこっちによこせ、こっちが配分したるわ、ということか

(藤井)
さらに大阪人のマインドとして、コンプレックスがある。大阪の衰退は共通認識としてあり、それに比べて東京はきらびやか。昔のように肩を並べる大阪へとV自回復したい。こうしたコンプレックスを都構想が絶妙に拾い上げている。「大阪都」というと、かっちょいい。プライドをくすぐる。
大阪の名前と都に構想がつくと未来への発展のイメージにつながっている。

(山本)
計算され尽くしたイメージ戦略だ。中身はペラペラだけれど考えなくても希望だけは与えてくれそう。
新自由主義的な視点から、都構想ではどういったものが切り売りされるのか

(藤井)
まず、大阪市民の最初の違和感、被害としては、「窓口の不利益」がある。各種手続きに区役所と市役所、特別区役所に行かねばならなくなる。ちょうど郵政民営化の時に「郵便局」ひとつだったものが「ゆうちょ」「郵便」など4つに分割され複雑化し、窓口業務のサービスレベルが落ち込んだ時のようになる。

それから、これまで大阪市民が当然のように受けてきた(水道料金などの)市民サービスレベルが確実に下がる。なぜなら市のことだけ考える市役所と市議会議員と市長によって運営されてきたものが、府議会議員と府庁、府知事によって大阪府全体を見るようになるので、お金の使われ方が変わる。

さらに「大阪市」という存在の重要さが消える。大阪市というのは関西の中心地であり、大商業地帯になっている。港湾機能があり西日本の中心エリアとも言える。その複雑な都市計画は「大阪市都市計画局」が担ってきた。そこには膨大なノウハウが蓄積されてきた。他にはない。ところが市が解体されてしまうと、培ってきた都市計画力がガタガタになる。中長期的に大阪の街は衰退していく。確実にダメになる。防災力、都市競争力も落ち、世界に冠たるオオサカは没落していく。

 これらの3つの問題点をさらに加速する重要なファクターがある。大阪市がやってきた重要な仕事を大阪府に移管する、そして4つの特別区に分ける、となると、現職員2万〜3万の引き継ぎ作業をしなければならない。これは大っ混乱を引き起こし、まともに仕事をやる時間がなくなる。少なくとも5年10年の間はズタズタになる。行政大混乱は100%間違いない。

(山本)
大阪府内の経済事情が厳しいとか、収入が厳しいとかの状況があったとしても、国にもっと財政出動しろと正面切って交渉すべきだ。それを市の財産を吸い上げようとするのはチンピラだ

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