[福島第一原発] 小委員会での議論を無視してALPS汚染水の「海洋放出」を決めている政府・経産省、実はタンク保管エリアは不足していない

 東京電力福島第一原発のタンクに溜まり続けている汚染水について、政府が海洋放出する方針だと報じられました。毎日新聞の論調では、連日生じる汚染水はALPSを通してトリチウム以外の放射性物質の濃度を下げ、トリチウム自体は海水で濃度を下げるとして、いかにも安全な処理水のような印象を与えています。また空きタンクを設置する敷地がなくなりつつあることを理由に小委員会が「海洋放出を望ましい」と判断したというものでした。これまでの小委員会での議論をずっと追って来られた、おしどりマコさんから見れば、この報道は単なる政府の広報でした。マコさんの2019年のレポートを読むと「タンクを置く場所がない」というのは東電のごまかしのようです。福島第一の敷地には広大な土捨場予定地があるそうです。小委員会の委員の95%がタンク保管を求めていることなど全く報じていないのはかなり意図的です。そもそも他の原発がどしどし放出しているトリチウム水をなぜ福島第一原発では放出できないのかと言うと、トリチウム以外の高濃度の核種や線源を考慮し、「全βの線量が高いため、トリチウムに割り当てられる線量が低かった」からだそうです。しかもALPS処理水からは相変わらずストロンチウムなど高濃度の放射性物質が検出されていることは何度も報じられてきました。政府は議論の内容に関わらず2020年頃に海洋放出を決めていたのです。しかも政府・経産省は海外メディアが驚くほど情報公開をしない。
 6月には国連が海洋放出決定を先延ばしするよう求めてきました。当然と言えば当然ですが、吉村大阪府知事は大阪湾に、橋下徹氏は東京湾にそれぞれ放出するよう発言をしています。世界各国のメディアが「海洋放出への懸念」を大々的に報じるのに日本はなんでこうなるかな。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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汚染処理水の海洋放出決定へ 政府方針、月内にも 福島第1原発
引用元)
 東京電力福島第1原発のタンクにたまり続けている汚染処理水について、政府は、放射性物質の濃度を下げた後に海に流して処分する方針を固めた(中略)
(中略)
 原発の建屋内で連日生じている汚染水には、高濃度の放射性物質が含まれている。このため、東電は多核種除去設備(ALPS、アルプス)に通すなどして、トリチウム以外の濃度を下げた汚染処理水をタンクにためている。しかし、空きタンクを設置できる敷地がなくなりつつあり、政府・東電は汚染処理水をどうやって処分するのか決断を迫られていた
(中略)
 汚染処理水の処分方法を巡っては、有識者による政府の小委員会が2月、海洋放出と大気放出が現実的な選択肢としつつ「海洋放出が優位」という報告書をまとめていた
(以下略)
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国連、日本に汚染水の海洋放出に関する決定の先延ばしを求める 福島第1原発
転載元)
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は9日に声明を表し、福島第1原子力発電所の汚染水の海洋放出について、日本国内および国際的な深い議論を行うまで最終決定を先延ばしするよう日本側に求めた
(中略)
OHCHRは、当初、公開討論は2020年7月から8月に予定されていた五輪開催後に行われることになっていたため「急いで決定する必要はなにもない」との見方を示し、「日本政府に対し、国内外の人々に影響を与える可能性のある放射性廃棄物の処理について議論するための十分な場と機会を提供するよう求める」と強調した。

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配信元)




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【福島第一原発、汚染水問題】誰が「タンクの置き場所が無い」と決めたのか
(前略)
・福島第一で増え続ける汚染水を貯留するタンク。その置き場は本当に無いのか?

・現状、小委員会で行われている議論は情報公開されているか?

結論ありき、アリバイ作りの小委員会ではないのか?(中略)
(中略)

辰巳菊子委員(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント)

「実際に福島第一原発に視察に行くと、まだ敷地内にタンクのスペースがあるように思う。

今日の資料にそこの部分が無いのは、委員に意図的に見せたくないように感じる
。」

(中略)

元々、福島第一原発は7,8号機も建設予定で、双葉町側に広い用地を取得していた。

その双葉町側、北側(図の左半分)には「土捨場」「新土捨場(予定)」という広いエリアがある。

東京電力は「敷地内で設備の建設の際に出た土の捨て場、土は敷地外に出せない」と説明。

すると森田委員は

土は敷地外に出せず、水は敷地外に出せるのか。それは一般的に理解されないのではないか

(中略)

この小委員会に限らないが、経産省の全ての検討会は、冒頭の頭撮りのみで、撮影・録音不可である。

(中略)
上記の頭撮りの撮影が数分許可されているのみで、あとは全てのメディアが撮影不可である

このとき筆者はスイスからの取材カメラマンと同行したのだが、彼女らはとても驚いていた。

なぜメディアはカメラを数分で片づけ帰るのか。これでは公開の議論とはいえないではないか

(以下略)
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配信元)


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