[森友問題] 財務省側は裁判を理由に赤木ファイルの提出を拒否 / 国会の国政調査権は司法権と並行して調査可能であり、公務員は提出拒否できない

 森友公文書改ざん事件で命を絶った近畿財務局の赤木俊夫さんの妻、赤木雅子さんが「真実を知りたい」と国を相手に提訴されています。しかし国側は「損害賠償のためには改ざんの経緯や内容などの事実は必要ない」と、いわゆる「赤木ファイル」の提出はおろか、存在すら明らかにしません。衆議院の野党議員128名は「予備的調査」を要請し、財務省に文書提出を求めていました。しかし衆院調査局の1000ページを超える報告書には、財務省の「訴訟に関わることであるため回答を差し控える」という回答しかありませんでした。18日の国会の場でも麻生財務大臣は訴訟を理由に提出を拒みました。
 20日、予備的調査の報告書について「森友問題再検証チーム」のヒアリングが行われました。財務省側が素直に答弁するはずはないのですが、今後に繋がる重要な質疑がありました。初めの原口一博議員の挨拶では、霞ヶ関の若手の退職が4倍にもなっていることに触れ「お互いに国の根幹を守るという同じ立場に立ち、歴史に耐えられる開示をお願いしたい」とのハッとする言葉がありました。人事を握られた官僚の人たちにこの崇高な思いは届くのか。
 このヒアリングで問われたのは、「国家の権威である衆議院議長、国会からのファイル提出命令に対して、訴訟に関わるからという理由で拒否できるのか」「訴訟に関わると言いながら、赤木夫人に対しては、損害賠償に関係ないから裁判にファイルを提出しないと言っている矛盾」「裁判が終わったらファイルを提出するのか」「改ざんの前科がある財務省は赤木ファイルを改ざんするのではないか」「裁判を理由に国会の要求に答えないのは三権分立に背くことを認識しているか」「国政調査権は司法権と並行して調査できることは憲法上の通説だ。裁判は提出拒否の理由にはならない。提出拒否をするのであれば法的根拠が必要」という本質的な追求がなされました。それに対して財務省は、裁判のみを理由に一切の答弁拒否を貫きました。
 最後に、国会を、そして国民を代表して議員が述べた言葉です。「事件を隠そうとして、あなた方はもっと大きな間違いを犯そうとしている。これは国会に対する挑戦だ。」
「いつまでやっているんだと言われるが、真実が明らかになるまで我々は絶対諦めない。なぜならこれは、世の中を良くしていくために絶対解決をしておくべき課題だからだ。」
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)


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「私と夫の立場に立って」 法廷で意見読み上げ
引用元)
(前略)
 「国は、夫が改ざんに追い込まれた具体的経緯や、夫が作成した(改ざんに関する)ファイルやメモが存在するかどうかについて、回答する必要がないと主張しました。私はこの回答を聞いて、夫のことがかわいそうになりました。涙があふれました。夫が亡くなった真相を知りたいとお願いしているのに『そんなこと知らなくていい』と言われた感じがします

 お願いですから私と夫の立場に立ってください。皆さんの大切な夫や妻や子どもが自殺に追い込まれたことを想像してください。『そんなこと答える必要はない』という回答が、どれだけ遺族の心を傷つけるか想像できると思います。私は真実が知りたいだけです。夫が作成したファイルやメモを開示し、自殺に追い込まれた具体的な経緯を教えてください。よろしくお願い致します」
(以下略)
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財務省、「赤木ファイル」提出に応じず 森友改ざん問題
引用元)
(前略)
(中略)衆院で4月、立憲民主、共産両党など計128議員が、公文書改ざんの経緯をつまびらかにするための「予備的調査」を要請。衆院財金委が衆院調査局長に調査を命じ、財務省に文書を提出するよう求めていた。

 しかし、衆院調査局長が11月9日にとりまとめた報告書によると、財務省は「訴訟に関わることであるため、回答を差し控えたい」とし、文書の存否を明らかにしていない
 この点について、18日の財金委で、立憲の末松義規氏は「財務省は、隠蔽(いんぺい)に好都合なことしか言っていないと思わざるを得ない」と批判。文書を明らかにするよう求めたが、麻生太郎財務相は「存否も含め、答えは控える。訴訟されている当事者であり、今のような答えしかない」と述べた
(以下略)
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2020年11月20日 通算53回「森友問題再検証チーム」ヒアリング
配信元)


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