五行思想とアーユルヴェーダ 〜「正経十二経脈(太陽の十二経脈)」と「月の十二経脈」が支配しているそれぞれの臓器

竹下雅敏氏からの情報です。
 アーユルヴェーダの解説シリーズの28回目です。中国には五行思想(ごぎょうしそう)があり、「万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなる」と考えられています。「五行色体表」を見ると分かりますが木星、火星、土星、金星、水星が放つ微細なエネルギーを木・火・土・金・水と名付けたのではないかと思います。
 この五行の分類と、五行の相生・相剋の法則の発見は見事で、これらの法則を完全にしたものを「東洋医学セミナー」の初級で教えています。また、「五行色体表」は完全なものではありません。例えば、「五色」の赤に対応する色は、本当はマゼンタであり、残りの黄、白、黒と合わせて正経十二経脈に働きかける色なので、木に対応する色を青にするのは誤りです。青色は月の十二経脈に作用する色です。この辺りの詳しい内容は「東洋医学セミナー」を学んでください。
 前回の記事で、交感神経系を支配している経脈が「正経十二経脈(太陽の十二経脈)」で、副交感神経系を支配しているのが「月の十二経脈」であることを説明しました。今回はそれぞれの臓器をいずれの経脈が支配しているのかを詳しく見て見ましょう。
 “続きはこちらから”の表から、「五行色体表」の五臓、五腑、五官、五液などの分類が正しいことが分かるでしょう。例えば眼を交感神経の緊張に誘導するのは、男女ともに左半身の肝経脈で、交感神経の弛緩に誘導するのは、男女ともに右半身の肝経脈です。しかし、五行思想には、副交感神経に働きかける経脈(月の十二経脈)の概念がありません。眼を副交感神経の緊張に誘導するのは、男女ともに左半身の月の肝経脈で、副交感神経の弛緩に誘導するのは、男女ともに右半身の月の肝経脈なのです。
 「正経十二経脈(太陽の十二経脈)」が太陽のヴァータのサブ・ドーシャのヴィヤーナの一部であったように、「月の十二経脈」は月のヴァータのサブ・ドーシャのダナンジァヤの一部です。
(竹下雅敏)
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五行思想
五行色体表画像表示
五行
五色
五方 西
五時 土用
五星 歳星(木星) 熒惑(火星) 鎮星(土星) 太白(金星) 辰星(水星)
五臓
五腑 小腸 大腸 膀胱
五官
五液
五塵 色(視覚) 触(触覚) 味(味覚) 香(嗅覚) 声(聴覚)
五味
五主 筋・爪 血脈 肌肉・唇 皮毛 骨髄・髪
五情
五穀 麻・胡麻 大豆
五菜 山葵 藿(豆の葉)
五果
五畜
五常(五徳)
五悪 熱・暑 湿 燥・寒 寒・燥


各星座が司る体の部位PDF出力
星座 各星座が司る体の部位
牡羊座 頭、目、眉、鼻
牡牛座 首、耳、歯、口、喉、咽頭、甲状腺、扁桃
双子座 肩、腕、手、筋肉
蟹座 胸、肺、胃、肝臓、胆のう
獅子座 心臓、血液、脊柱
乙女座 大腸、小腸、直腸、脾臓、膵臓
天秤座 腰、腎臓、膀胱
蠍座 生殖器、精巣、卵巣、尿路
射手座 神経系、大腿(太もも)、尻
山羊座 膝、骨、関節、皮膚、爪
水瓶座 下腿(膝から足首までの間)、静脈、動脈、リンパ
魚座 足(くるぶしから下)、粘膜

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交感神経PDF出力
器官 節前ニューロン 節後ニューロン 作用 星座 ドーシャ 経脈
1項目 2項目
Th1~Th2 上頸神経節 散瞳 牡羊座 アパーナ・S
涙腺 Th1~Th2 上頸神経節 血管収縮分泌(粘性) 牡羊座 アパーナ・S
舌下腺 Th1~Th2 上頸神経節 血管収縮分泌(粘性) 牡牛座 サマーナ・S 小腸
顎下腺 Th1~Th2 上頸神経節 血管収縮分泌(粘性) 牡牛座 サマーナ・S 心臓
耳下腺 Th1~Th2 上頸神経節 血管収縮,分泌 牡牛座 サマーナ・S 膀胱
心臓 Th1~Th4(Th5) 上・中・下頸神経節上部胸神経 頻脈冠動脈拡張 獅子座 ヴィヤーナ・S 心臓
気管支 Th2~Th7 下頸神経節上胸神経節 気管支拡張分泌抑制 蟹座 ウダーナ・S 大腸
Th2~Th7 下頸神経節上胸神経節 気管支拡張分泌抑制 蟹座 ウダーナ・S
Th6~Th10
上内蔵神経
腹腔神経節 蠕動と分泌の抑制括約筋の収縮 蟹座 ウダーナ・S
小腸 Th6~Th10 腹腔神経節、上腸間膜動脈神経節 蠕動と分泌の抑制 乙女座 太陽の
ヴァータ
小腸
上行
結腸
Th6~Th10 腹腔神経節、上腸間膜動脈神経節 蠕動と分泌の抑制 乙女座 太陽の
ヴァータ
心臓
膵臓 Th6~Th10 腹腔神経節 乙女座 太陽の
ヴァータ
下行
結腸
L1~L2 下腸間膜動脈神経節、下腹神経節 蠕動と分泌の抑制 乙女座 太陽の
ヴァータ
小腸
直腸 L1~L2 下腸間膜動脈神経節、下腹神経節 蠕動と分泌の抑制 乙女座 太陽の
ヴァータ
大腸
腎臓 L1~L2 腹腔神経節,腎神経叢、下腹神経叢 内括約筋の刺激血管収縮 天秤座 太陽の
ヴァータ
膀胱 L1~L2 腹腔神経節,腎神経叢、下腹神経叢 内括約筋の刺激血管収縮 天秤座 太陽の
ヴァータ
膀胱
副腎 Th11~L1 副腎細胞 分泌(ノルアドレナリン,アドレナリン) 天秤座 太陽の
ヴァータ
男性
生殖器
L1~L2
(骨盤内蔵神経)
上・下下腹神経叢(骨盤神経叢) 射精血管収縮 蠍座 ヴィヤーナ・S 膀胱
頭皮 Th2~Th4 上・中頸神経節 血管収縮発汗および立毛 牡羊座 アパーナ・S
頸部 Th2~Th4 上・中頸神経節 血管収縮発汗および立毛 牡牛座 サマーナ・S 小腸
Th3~Th6 下頸神経節上胸神経節 血管収縮発汗および立毛 双子座 プラーナ・S 心臓
Th10~L2 下腰部および上仙骨神経節 血管収縮発汗および立毛 水瓶座 サマーナ・S 心臓


副交感神経PDF出力
器官 節前ニューロン 節後ニューロン 作用 星座 ドーシャ 経脈
1項目 2項目
エーディンガー・ウェストファール核(動眼神経核) 毛様体神経節 縮瞳毛様体収縮(調節) 牡羊座 デヴァダッタ・C (肝)
涙腺 上唾液核 翼口蓋神経節 水分の多い液の分泌,涙分泌,血管拡張 牡羊座 デヴァダッタ・C (胆)
舌下腺 上唾液核 翼口蓋神経節 水分の多い液の分泌,涙分泌,血管拡張 牡牛座 クリカル・C (小腸)
顎下腺 上唾液核 翼口蓋神経節 水分の多い液の分泌,涙分泌,血管拡張 牡牛座 クリカル・C (心臓)
耳下腺 下唾液核 耳神経節 唾液分泌 牡牛座 クリカル・C (膀胱)
心臓 迷走神経背側核 心臓神経叢 徐脈冠動脈収縮 獅子座 ダナンジァヤ・C (心臓)
気管支 迷走神経背側核 気管・肺神経叢 漿液,粘液の分泌,気管の収縮 蟹座 ナーガ・C (大腸)
迷走神経背側核 気管・肺神経叢 漿液,粘液の分泌,気管の収縮 蟹座 ナーガ・C (肺)
迷走神経背側核 胃神経叢 蠕動,分泌括約筋弛緩,排泄 蟹座 ナーガ・C (胃)
小腸 迷走神経背側核 筋層間神経叢(アウエルバッハ)と粘膜下神経叢(マイスナー) 蠕動,分泌血管拡張 乙女座 月の
ヴァータ
(小腸)
上行
結腸
迷走神経背側核 筋層間神経叢(アウエルバッハ)と粘膜下神経叢(マイスナー) 蠕動,分泌血管拡張 乙女座 月の
ヴァータ
(心臓)
膵臓 迷走神経背側核 動脈周囲神経叢 分泌 乙女座 月の
ヴァータ
(脾)
下行
結腸
S2~S4 筋層間神経叢(アウエルバッハ)と粘膜下神経叢(マイスナー) 蠕動,分泌,排泄 乙女座 月の
ヴァータ
(小腸)
直腸 S2~S4 筋層間神経叢(アウエルバッハ)と粘膜下神経叢(マイスナー) 蠕動,分泌,排泄 乙女座 月の
ヴァータ
(大腸)
腎臓 S2~S4 下腹神経叢(膀胱神経叢) 内括約筋の弛緩,排尿筋の収縮,血管拡張 天秤座 月の
ヴァータ
(腎)
膀胱 S2~S4 下腹神経叢(膀胱神経叢) 内括約筋の弛緩,排尿筋の収縮,血管拡張 天秤座 月の
ヴァータ
(膀胱)
副腎
男性
生殖器
S2~S4 下腹神経叢(骨盤神経叢) 勃起,血管拡張分泌 蠍座 ダナンジァヤ・C (膀胱)
頭皮
頸部
参考文献)器官、節前ニューロン、節後ニューロン、作用は「神経局在診断―その解剖、生理、臨床― Peter Duus」による。

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