内丹術の基本的階梯の最初の三段階:「築基」「煉精化気(小周天)」「煉気化神(大周天)」とは 〜 大周天と奇経八脈の「気」の循環について

竹下雅敏氏からの情報です。
 アーユルヴェーダの解説の52回目です。前回は、奇経八脈の走行の順序に従って、「周波数」を用いて、各経脈を刺激し活性化する方法をお伝えしました。
 前回の記事では、陰維脈、陽維脈、…任脈(体外)の10の奇経を、中枢神経を活性化する陽経脈と、鎮静化する陰経脈にわけて、順に活性化する「周波数」を聴いていただきました。
 これらの周波数は、陰維脈、陽維脈、…任脈(体外)の順に高くなっています。この事は、「奇経八脈の走行」の順序が、前回の記事の表の通りであることの間接的な証明になっています。
 そしてこの事は、仙道の内丹術に興味を持つ人にとって、とても重要なことなのです。内丹術は、「気」を養うことで身心を変容させて、道(タオ)との合一を目指す中国の伝統的修行体系なのですが、基本的階梯は「築基」「煉精化気」「煉気化神」「煉神還虚」「還虚合道」の五段階です。
 基礎を築く準備段階の「築基」は、“肉体面では、食生活を改善して、加齢や運動不足等による身体機能の低下を防ぐために、「気功」などから修煉を始めることが特に推奨されている。精神面では、不正を行わず積極的に良いことを行い、良くない習慣から脱し、徳行に努めること”という事ですから、シャンティ・フーラの時事ブログで、この1年にわたって推奨して来た生活スタイルは、そのまま「築基」であると言うことになります。
 次の「煉精化気」「煉気化神」は、俗に言う小周天、大周天のことです。小周天の解説は、冒頭の動画が分かりやすいです。問題は「大周天」で、諸説が入り乱れているのですが、中にはクンダリニー・ヨーガに似た状況の、身体の中心線である督脈(神経叢)のラインに沿って、「気」が会陰から百会に上昇し、百会を突き抜けることを「大周天」と呼ぶ人も居ます。
 しかし、これは本来の「大周天」の一部であって、「大周天」とは、“奇経が通じて体の全経絡を気がめぐる状態”のことです。「小周天と大周天」と題する記事では、“大周天は…十二経絡・奇経八脈すべてを循環させます”とかかれていますが、実は「奇経八脈」のすべてを循環させれば、十二経脈はすべて自動的に循環するようになるのです。
 任脈(体表)の上行に「気」が通ると太陽の十二経脈(正経十二経脈)のすべてに、任脈(体外)の上行に「気」が通ると月の十二経脈のすべてに「気」が通るのです。このために、アーユルヴェーダの解説の44回目で、簡単に「免疫・恒常性」を高める方法をお伝えしたわけです。この時のコメントを、今一度ご覧ください。
 “任脈のルート(体表のチャクラのルート)を、プラーナ(気)がサハスラーラ・チャクラを突き抜けて上昇すると、自動的に太陽の十二経脈(正経十二経脈)のすべてが活性化され「恒常性」は高まります。同様にして、体外のチャクラのルートを、プラーナ(気)がサハスラーラ・チャクラを突き抜けて上昇すると、自動的に月の十二経脈のすべてが活性化され「免疫」が高まります”と説明しています。
 「煉神還虚」「還虚合道」の説明は、いずれ行いたいと思っています。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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小周天の種類と段階 【気功や仙道における小周天の種類など】
配信元)

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小周天と大周天。
引用元)
(前略)
任脈、督脈に気を循環させることを「小周天」といいます。ちなみに、東洋医学では、人間が生まれる前は小周天が通っているが、生まれてから徐々に小周天の流れを断ち切っていくと考えられています。小周天気功はこの流れを再び通すようにすることです。結果、胎児や子供のようなエネルギーに恵まれた状態に若返っていくわけです。
(中略)
次に大周天について説明します。小周天が任脈と督脈の正中線に気を循環させるのに対し、大周天はさらに手足までにのびる十二経絡・奇経八脈すべてを循環させます。つまり、身体中に気を巡らせるわけです。まさに大周天の名の通り、大きく回す感覚です。

さらに、私が学んだ理論では、全身に回せるようになるということは、外側(あえて外側と書きます)宇宙とつながることをさし、全宇宙からの気をダイナミックに巡らせることにもつながるわけです。ここで大事なのは「イメージ」です。要するに「情報空間」にアクセスする感覚です。
情報空間は無限にありますから、無限に気を取り組めるというわけです。
(以下略)

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内丹術
内丹術の修煉過程を象徴的身体として表現した『内経図』(北京・白雲観所蔵)
内丹術(ないたんじゅつ)は、天地万物の構成要素である「」を養うことで、自己の身中に神秘的な霊薬である「内丹」を作り、身心を変容させて、(タオ)との合一を目指す、性命を内側から鍛練する中国の伝統的修行体系である。
(中略)
修煉要旨
内丹術の修煉は流派によって異なるが、基本的階梯は「築基」「煉精化気」「煉気化神」「煉神還虚」「還虚合道」の五段階である。
  • 築基とは、内丹の行を始めるための基礎を築く準備段階である。(この内容は次の段階に移行しても継続していく修煉である)
    • 肉体面では、気の出入りを管理することで、気のもとになる「精」を増やすことにある。生活サイクルの乱れによる精力の漏出を防ぐ、食生活を改善して食物から充分な精を取り入れるなどを行う。加齢や運動不足等による身体機能の低下は、筋骨を弱め経絡を滞らせ気血の流れを少なくし、精気を減少させる。内丹術では、身体を動かす「気功」などから修煉を始めることが特に推奨されている。
    • 精神面では、修煉を行う時に意識があちこちに分散しないように、また妄想が沸いてそれに意識が振り回されないよう、意識の集中力を高めて心をコントロールする訓練を行う。行為・道徳においては、不正を行わず積極的に良いことを行い、良くない習慣から脱し、徳行に努めることとされている。
  • 煉精化気は、いわゆる小周天である。周天は古代中国の天文学の用語で黄道360度を意味する。(三 → 二)
    • 小周天とは、築基によって集めた「精」を、内的な火にかけ丹田で煉ることで「気」に変容させて、体の前後の正中線に沿った経絡である督脈任脈を逆に周流させる技法である。先天的には開通していた奇経は後天的には閉塞していると考えられ、奇経の内の任脈と督脈は全身の経絡の元締めであり、この二脈を通じさせれば百脈みな通じるとされる。流派によってはこの段階で小薬という丹をつくる。
  • 煉気化神は、大薬をつくりだし神(意識)と結びつける大周天の段階である。(二 → 一)
    • 小周天が完成し気が満ちると奇経が通じて体の全経絡を気がめぐり大周天となり、意識が静まっていくと真息という極めて微弱な呼吸の状態に入る。静の極致に至ると一転して眼耳鼻舌身意の六根が内的な幻の刺激を感じる「六根震動」を生じ、「大薬」という丹が生成するという。更に修煉を続けていくと意識は深くなり真息は胎息となり、精・気・神の三花は聚頂して、大薬は聖胎(陽神)に変容する。
  • 煉神還虚は、「陽神」を体外に出し、虚空に還す段階である。(一 → 〇)
    • 未だ安定していない本来の自己である聖胎は長く養い三年ほどかけて育てる。陽神(聖胎)は『老子』に基づいて嬰児とも呼称されるが、通常は形や質を備えたものではなく元神である先天の一気そのものである。聚(あつ)まれば形となり散ずれば気となるのが陽神である。時が至れば頭の頂門から外に出し(出神)、少しずつ遠くまで遊ばせる。そして陽神を虚空に還していく。
  • 還虚合道は、陽神と肉体を「道」と合一させる最終段階である。(〇)
    • 完成した聖胎を肉体に戻して意識をかけ続けると、肉体と本来の面目である陽神はついに形神合一が成って先天の一気と化し、一気は〇に象徴される虚空へ返本還源して、永遠の生命の根源たる「」に復帰する。
(以下略)

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