ぴょんぴょんの「初めてのキャンニング」 ~正しくビン詰めできれば、10℃以下で1年間保存できる

食糧危機が、ひたひたと迫ってきています。
食べることが大きな楽しみの3・4種にとって、これは由々しき問題です。
米、マメ、乾物、調味料、粉類、麺類などなど、備蓄は万端でも、
いざ、スーパーから食料が消えた、ガスや電気が使えなくなったとなると、
どうしよう?おいしい料理ができなくなってしまう。
つくづく、ご飯と味噌汁と漬物で満足できる体癖の方々がうらやましい、
と思いながら、ひょいとGabを覗いてみると、
「Canning & Preserving」という保存食のグループがあって、
なになに? アメリカ人は自家製ビーフシチューを常温保存しとるだと?
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「初めてのキャンニング」 ~正しくビン詰めできれば、10℃以下で1年間保存できる

アメリカで盛んな保存ビンによる食品貯蔵


gabより
数時間かけて...棚にラベルを貼ったり...並べ替えたり...推定880個のビン詰めになりました。2021年のものがまだ少し残っていて...このほとんどが2022年...2023年の計画を立てる...見直す!という感じです。この冬は飢えることはないと思う🤣🤣霜で苗が枯れても、トマトの大量収穫があるんだー。どこに置けばいいのか見当もつかないけど......。

注:自慢するつもりはありません...ただ、ここに缶詰を一杯、あそこに瓶を数本置くと、どんな感じになるかを視覚的に示しただけです...it’s ADD UP!!!
(DeepL翻訳)

これ、Gabで見つけた、アメリカ人の食品貯蔵棚。

うわあ、見事だねえ!

しかも、ほとんど自家製だ。
こういう保存ビンの貯蔵を、アメリカじゃ“Canning”と呼んでいる。

“Can”と言えば缶だから、“Canning”は「缶詰め」にすることだけど、
真空で常温保存できる状態なら、ビンに詰めても“Canning”というらしい。

キャンニング? 
日本じゃあまり聞かないけど、こういうの見ると「いずこも同じ、食糧危機への備え」って感じだね。

いやいや、アメリカじゃ、今に始まったことじゃねえ。
食糧危機が騒がれる、ずっと前からキャンニングが盛んだ。
なんたってアメリカは広いから、週に1度、大量に買いものして保存するのが、昔からの習慣なんだ。


冷蔵庫に入れとけばいいんじゃない?

そりゃ、冷蔵庫も冷凍庫も何台も備えてるさ。
だけど、自然災害で停電になった場合、どうする?

たしかに、アメリカの竜巻や山火事を見ると、スケールがでっかいから、日常がサバイバルだよねえ。

実はおれも、かねてより、キャンニングをやってみたいと思ってたんだ。
そしたら昨日、ある動画を見つけた。
これならできるってことで、即、試してみることにした。

だって、うまそうじゃん?

これが私の国での戦争中、冷蔵庫も電気も使わずに肉を保存した方法です


戦争中? 
もしかして、この人、ウクライナの人?

らしいな。
で、これが、おれが作った初めてのビン詰めキャンニング。


わ〜い!! ごはんのビン詰めだあ!

開けてみよう、ヨイショ! 
う〜ん、なかなか開かねえなあ〜。
てことは、ちゃんと脱気できてるってことか。


おいしそう!!

う〜ん、ちいとばかし、米を入れすぎた。
米は水分で膨張するから、あふれないように気をつけねえと。


いっただっきま〜す!
あれ? おいしい!!
ご飯のビン詰めとか想像できなかったけど、これ、中華料理の「肉ちまき」だよ。


モグモグ・・米がだんごになっている。
米にうるせえヤツなら、「こんなだんご、食えるか!」って怒られるぞ。

そお?
見ないで口の中に入れちゃえば、おんなじだよ。
で、これ、どのくらいもつの?

10℃以下なら、1年間。

へえ! いいねえ、たくさん作りなよ。

簡単に言ってくれるがな、米洗って、野菜切って、肉と炒めて、ビンに入れる。
そこまでは簡単でも、その後の煮沸時間が4時間だぜ、4時間!!

ひえ〜! よ・・4時間?

しかも、タイマーかけっぱなしで、ほっときゃいいんじゃねえ。
途中で湯が蒸発するから、30分ごとに様子を見に行っては水を補充する。

それは、手間がかかるね。
でもさあ、戦争中だと思えば、せっかく手に入ったお肉を保存したくても、冷蔵庫は当てにならないとなると、そんなわがまま言ってられないよ。

そうだな、戦争中なら、4時間なんて苦にならんかもな。
そうは言っても、今は平時だ。
4時間も火にかけるとなると、ガス代が気になる。

そんなことより、お米も水も、お肉も野菜も手に入る、ガスも使える。
この「今」がありがたいと思う。


オーブンでもできるキャンニング


それでもおれは、来月のガス代の請求がおそろしい。
なんとかもっとガスを節約して、同じようにキャンニングできる方法はないのか?
・・と思っていたら、この動画を見つけた。


常備食に常温でお肉を数か月保存!【調理時間を 2時間→2時間半に変更してください。概要欄をご覧ください】

これは、いつもイタリアの現状を教えてくれる、ミホさんの動画だね。
へえ? 湯煎の代わりにオーブンを使う方法かあ。

要は、ビンの中身を100℃以上に加熱すればいい。
それなら、「120℃のオーブンで2時間半加熱すれば?」ってこと。


わあ! 仔牛肉のトマトソース煮って、おいしそう!

実はおれ、こいつも試してみたんだ。

へえ?? これも作ったの?!

仔牛肉の代わりに、トリのモモとムネ肉を野菜と一緒に炒め、シャンティ・フーラで扱っているアリサンの「エーミーズ パスタソース」を温めて、交互にビンに詰めてオーブン120℃で2時間半。


いっただっきま〜す! わあ、おいしい!
パスタソースのおかげなのか、本格的なレストランの味だ。

赤ワインとの相性も良さそうだし、ご飯でもパスタでも合いそうだ。

オーブンでも、できるじゃん。

ま、おれんちはガスオーブンだから、やはりガス代はかかるがな。
だが、4時間を2時間半に短縮できるから、かなりの節約だ。

これからは、オーブンを使ったらいいよ。
良かったね。

・・と、喜んだのもつかの間。
オーブン・キャンニングには問題があったんだ。

ミホさんもそれに気づいて、急きょ次の動画「前回の動画を見た方は、必ず見てください。瓶詰の加熱方法について」をアップした。

へえ、なんで?

一番の問題は、食中毒、特にボツリヌス菌。
密閉ビンで水を加熱すると、圧がかかるから、水の沸点は120度になる。
だからミホさんは「120℃のオーブンで2時間」と考えた。

さらに、PHを下げて酸性にすれば、ボツリヌス菌を抑制できるから、レシピにトマトソースや赤ワインを入れ、抗菌作用のあるオレガノも入れた。
ただ問題なのは、オーブンに入れてから、どのくらいの時間でビンの内部が沸騰するかと言うことだ。
顕微鏡で見たボツリヌス菌
Wikimedia_Commons[Public Domain]

そうか、2時間ずっと沸騰しているワケじゃないんだ。

沸騰時間が足りないと、ボツリヌスの不安が残る。
そこでミホさんは、水を入れたビンをオーブンに入れ、沸騰するまでの時間を測った。
そしたら、1時間40分もかかることがわかった。


それじゃ、沸騰時間は1時間弱になってしまう。

だがイタリアでは、トマトソースやミートソースのビン詰めの際、「100度の湯煎で20分」が一般的だそうだ。それなら、2時間半は十分かも知れない。ただ、先のウクライナ?の動画の「4時間」に比べたら、かなり足りない気もする。

たしかに不安だ。

また、オーブンによって、庫内の温度に差があるかもしれない。
ということで、他のビン詰めと一緒に、同じ大きさで水だけ入れたビンもオーブンに入れて、沸騰してるかどうか確認しろ、と言っている。

水がちゃんと沸騰してるかどうか、扉をあけて確認するんだね。

ダメダメ!!
オーブンの扉は、ゼッタイに途中で開けたらいかん。
庫内の温度が、一気に下がるからな。



一定の温度を保つことが、そんなに重要なの?

沸騰を持続させないとダメダメ。
おれも失敗してるんだ。
4時間湯煎してる間、蒸発した水を冷水で補ったからな。
沸騰が止まるのは、NGだ。

へえ? 
沸騰が止まった瞬間に、ボツリヌス君が復活しちゃうってこと?

そういうこと。
他のところには、沸騰を止めたら最初からやり直しって書いてあった。

うわあ、キビシイねえ。
てことは、くろちゃんのビン詰めは1年もたないかも。

ま、早めに食っちまえば大丈夫だがな。
とは言え、どんなに万全を期して作ったビン詰めでも、食べる時は注意が必要だ。

開けてすぐ、食べちゃダメなの?

ダメだ。
ビンのフタが凹んで、陰圧が保たれているかどうか、
中身が変色していたり、変なニオイがしないかどうか。


それより、波動を測れば早いよ。

そうそう、おれもかつて、賞味期限切れのレトルトカレーを食って、死ぬ思いをしたことがあった。あれ以来、怪しいもんは、必ず波動を測って食う習慣を身につけた。
おかげで、ひどい目に合うことはなくなった。



波動測定の、いい練習にもなるね。

ああ、からだを張っての練習だがな。


キャンニングに欠かせないアメリカ製「ビン詰め用圧力鍋」


それでも、10℃以下の場所で、1年間保存できるってスゴくない?

あの牛肉メシの動画は、ロシアかウクライナの人だろう。
あそこら辺の家には、必ず地下倉庫があるみたいだな。
ロシア在住の翔吾氏の動画でも、地下倉庫が見られる。

じゃがいもが、芽が出ないままで保存できてるね。
うちなんか、冷蔵庫の野菜室で保存していたら芽が出て、そのたびにむしってたら、終いにムカゴみたいなミニじゃがができて、本体はしなびて食べられなくなってる。

どんだけ、ほったらかしてんだよ。
おそらく地下の温度と湿度が、じゃがいもの保存にピッタリなんだろうな。
ロシア、ウクライナの冬はものすごく寒い。
地下なら夏でも、10℃で1年保存は楽勝だろうな。

その点、日本だと地震があるから、鉄筋でもない限り地下室はムリだね。

だから、せめて冬の間だけでも、寒い備蓄部屋で常温保存してみたい。

そうだね、冬はチャンスだね。
それに、保存食と言えば冷凍食品、缶詰め、レトルトで、市販のはほとんど食べられないから、家で作った、安全でおいしい料理を保存できたらいいよね。

翔吾氏の動画では、カボチャをビン詰めする様子も見られる。
ビンを鍋の蒸気で煮沸消毒してるシーン(6:09〜)がある。
こういう、ビンのフタまで湯がかぶるくらいの深い鍋がほしいよなあ。

へえ、お湯は、フタの上までかぶってないとダメなの?

そうらしい。
最初の、牛肉メシの動画ではこうなってたが。

YouTube7:23〜)

ビンのフタがお湯から出てる。

これじゃ、ダメなんだ。
別の牛肉メシの動画では、蓋の上まで湯が来ている。

YouTube7:44〜)

どっちがホント?

ま、いろいろなやり方があるが、最低限の注意は守ったほうがいい。

◎ビン詰め食品を湯煎する場合の注意
  • フタはきっちり締めること。
  • 内容物は、ビンのふちから3cm以下に収めること。
    (米の場合は特に、膨張してヤバいことになる)
  • 仕上げに、酢や、ワインやレモンを小さじ1くらい入れて、PHを下げること。
  • 湯煎の場合は、ビンのフタの上までお湯がかぶっていること。
  • 湯煎の途中で、水を足す時は熱湯を足すこと。

◎ビン詰め食品をオーブンで加熱する場合の注意
  • 同じ大きさのビンに水を入れて、ビン詰め食品と一緒に、フタをしないままオーブンに入れて沸騰を確認すること。
  • アメリカでは、ビン詰めの長期保存にオーブンは推奨されていない。

◎自家製のビン詰め食品を食べる前の注意
  • 脱気できていなければ、冷蔵庫に入れて早めに食べること。
  • 食べる前に、必ず加熱して沸騰させること。
  • フタの凹みが飛び出していないか、内容物の色、臭いを確認する。
  • 十分に脱気できていても、保存の期間中、ときどき確認すること。

へえ、アメリカじゃ、オーブンは推奨されてないんだ。

そう、アメリカの農水省は、オーブンによるキャンニングを認めていない。
理由は加熱が十分でないこと、ガラスの破損などの危険性があること。

「オーブン・キャンニングはお勧めしません。(中略)...行う場合は、ご自身の責任で行ってください。私たちは、あなたが被るかもしれないいかなる経験、病気、または怪我に対しても責任を負いません。」(Morning Chores

参ったね、せっかくガス代節約の救世主だったのに。

こうなると、やっぱ4時間湯煎するっきゃねえ、
あきらめかけた時、極めつけを見つけた。

極めつけ?

アメリカでは、ジャムなどの酸性食品のビン詰めは湯煎法が推奨されている。一方、肉や野菜のような非酸性食品には、「Pressure canner(ビン詰め用圧力鍋)」が推奨されている。
これが、アメリカ製の「ビン詰め用圧力鍋」だ。



ごっついねえ、おっかなそう。

こいつは、キャンニングに欠かせないすぐれもんだ。
説明書通りに使えば、安全に使えること。

圧力のおかげで、温度の上昇が安定していること。
オーブンのように、衛生上の不安がないこと。
それになんたって、加熱時間が90分くらいですむし。
中身の栄養価も、4時間の煮沸より損失が少ないと言う。


ガス代は浮くし、栄養的にもすぐれてるのか。
で、くろちゃんは、これを買うの?

う〜ん、欲しいのは山々だが、円安で1.5倍に値上がりしてるからなあ、
はあ〜〜〜。


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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