[トルコ大地震] トルコには続々と救助隊が駆けつけるも、欧米諸国はシリアを無視 〜 米国の「シーザー法」によるシリア制裁が支援を阻む

 6日にトルコとシリアの国境付近で起きた地震は甚大な被害が伝えられています。現地は極寒ともあり、被災者の方々とりわけ幼い子ども達の痛ましい様子は耐え難いです。各国から続々と救助隊が向かい、物資も送り出される報が届きます。アラブ首長国連邦、ロシア、中国、メキシコ、インド、パキスタン、マレーシア、、、それぞれの国力をも反映する陣容で頼もしい思いで見るうちに、ふと救援が入るのはトルコの方ばかりだと気付きました。シリアは?ロシアとイランの救助隊はシリアにも居た。しかしなんとシリアには「シーザー法」という米国主導の制裁が課されているため、多くの国々がシリアへの支援を表明しながら実際に人道的支援を送ることができないというのです。西側は”市民を迫害するアサド政権”だと悪魔化して伝え制裁を課すことで、今、本当に悲惨な目に遭っているシリアの市民を見殺しにしています。このような重要な実態を伝えていたのは、スプートニクでした。「今日の国際協力におけるトルコとシリアへの人道支援の量に関しては明らかな差別が存在しており、この悲劇を政治化することによって、西側集団の素顔が公然と示された」「シリアについては欧米諸国からの支援はわずかなものに留まっている」と恥ずべき状況を伝えています。
 一方で、「シーザー法」の制裁があるにもかかわらず、多くのアラブ諸国は政治的な立場を超えてシリアへの支援を表明しました。タリバンでさえも支援を提供したとあります。今回の悲惨な地震をきっかけに「アラブ諸国間の関係を改善する重要な出発点になり得る」と希望をのぞかせていました。
 戦争しながらも、被災地へ数百人単位で救助隊を送り、24時間体制で支援活動を行うロシアに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領はイギリスに向かい、ロシア攻撃の直接支援を求めています。恥ずかしい国だ。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

————————————————————————
配信元)






————————————————————————
視点】シリアとトルコを襲った地震 なぜ欧米はシリア人を無視し、トルコ人だけを助けるのか
転載元)
 6日にシリアとトルコを襲った地震は、1日でアラブ世界全体をシリア政府の周辺に集結させた。バーレーン、オマーン、ヨルダンの政治的指導者は、シリアのアサド大統領に支援の用意があることを電話で伝えている。しかし、これらの国の君主は2011年以来、アサド大統領と言葉を交わしていなかった。多くの国々がシリアへの支援を表明している。しかし、米国がシリアへの物資の搬入を一切禁止しているため、世界のほとんどの国が人道的援助を送ることができない。このような状況になってしまっているのは、いわゆる「シーザー法」があるためだ

シーザー法、2019年12月20日に米国のドナルド・トランプ大統領(当時)が署名し、成立した。 この法律は、シリア政府に直接的・間接的な支援を行う組織や個人に対して米政権が制限措置を課すというもの。
この法律が定める制裁には、医薬品や人道支援の提供、捜索・救助機器の供給、さらにはシリア領内での航空機から荷物を下ろすことなどが含まれている


欧米諸国は、不快な話題について性急に話したりなどしない。フィンランドとスウェーデン以外は、誰もシリアへの援助を表明していない。米国が支援する用意があるのはトルコに対してのみ。シリアへの制裁を一時的にでも解除するという話は出ていない
(中略)
レバノンの軍事専門家で退役将軍のウマル・マルビー氏は、スプートニクの取材に対し、現在の状況についてコメントしている。同氏は、今日の国際協力におけるトルコとシリアへの人道支援の量に関しては明らかな差別が存在しており、「この悲劇を政治化することによって、西側集団の素顔が公然と示された」と指摘している。

「西側集団は、対ロシアと同様、シリアに対しても野蛮な振る舞いをする。一部の国は自らの立場を表明しているが、実際の行動には至らない。トルコには人道支援物資を積んだ航空機が何十機も到着しているが、シリアについては欧米諸国からの支援はわずかなものに留まっている


その一方で、一部の国々や企業は、シリアの経済封鎖につながる「シーザー法」に背いている。
シリアの政治アナリストであるガッサン・ヨッセフ氏によれば、特にアラブ諸国によるシリアへの人道支援は、この地域のすべてのアラブ諸国間の関係を改善する重要な出発点になり得るという。
(中略)
多くのアラブ諸国がシリアへの支援を表明している。この国々には、サウジアラビアやカタール、オマーン、バーレーン、アラブ首長国連邦、アルジェリア、レバノンなどが含まれている
サウジアラビアは、政治的な違いには目をつぶった。また、政治と人命を混同することもなかった。シーザー法があるにもかかわらず、アラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ザイード・アール・ナヒヤーン大統領は、シリアに野戦病院の開設と、捜索救助隊と人道支援隊を派遣するよう指示を出した。
ロシアもこの悲劇を傍観することはなかった。ロシア軍兵士300人超の派遣と60の軍用・特殊装備を用意した他、医療従事者による医療の提供や、人道支援センターを設立した
(中略)
タリバンでさえも支援を提供している。アフガニスタンのテレビ局「アリアナ・ニュース」によると、アフガニスタンは1500万アフガニスタンドル(約2180万円)を提供する。 また、アフガニスタンは、被災者を助けるためにトルコに救助・医療関係者を派遣する意向を示しているという。

中国がシリアに緊急人道支援として443万ドル(約5億8200万円)を提供することが明らかになった。このうち200万ドル(約2億6300万円)は現金で、残りは必要となる物資の形で提供される予定。

では、なぜ国際社会は、米国が事実上シリア人を破滅的な状況で見殺しにしていることを知りながら、沈黙しているのだろうか?ロシア、イラン、中国、アラブ諸国の例に倣い、人道支援と捜索・救助の両方を直接提供できる国は出てくるのだろうか?
(以下略)

Comments are closed.