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ぴょんぴょんの「フォレバー・ケミカル(2)」 ~《 ダイキン、摂津市、大阪府、国 》の厚い壁
『公害PFOA』のおさらい
じゃ、クイズ形式なんてどう?
では第1問、《 PFOAとは、1930年代に開発された「ペルフルオロオクタン酸」の略で、有機フッ素化合物の一種です。「水や油をよく弾き、分解されにくい」というPFOAの性質を利用して、世界中で大ヒットした製品とは何でしょう?》
では第1問、《 PFOAとは、1930年代に開発された「ペルフルオロオクタン酸」の略で、有機フッ素化合物の一種です。「水や油をよく弾き、分解されにくい」というPFOAの性質を利用して、世界中で大ヒットした製品とは何でしょう?》
アルミ製フッ素加工のフライパン
Author:Wilfred Pau[CC BY-SA]
ピンポンピンポンピンポ〜ン!!
「人間を含め、あらゆる生物が分解できない、環境的にも壊れない、永遠に残る化学物質」です。
では、第5問、《アメリカで確認されたPFOAの副作用には、どんなのがありますか?》
「人間を含め、あらゆる生物が分解できない、環境的にも壊れない、永遠に残る化学物質」です。
では、第5問、《アメリカで確認されたPFOAの副作用には、どんなのがありますか?》
正解!!
低出生体重児、妊娠高血圧症候群、肝・腎障害、精巣がん。
他に、奇形児の出産もあったんだよ。
「ダーク・ウォーターズ」って映画、知ってる?
1981年、デュポンのPFOA工場で働いていた女性従業員7人中2人から、顔面奇形の子どもが生まれた。この問題で、デュポンと戦った弁護士の話なんだって。
映画に登場する奇形の子は、実際にその当人なんだって。
低出生体重児、妊娠高血圧症候群、肝・腎障害、精巣がん。
他に、奇形児の出産もあったんだよ。
「ダーク・ウォーターズ」って映画、知ってる?
1981年、デュポンのPFOA工場で働いていた女性従業員7人中2人から、顔面奇形の子どもが生まれた。この問題で、デュポンと戦った弁護士の話なんだって。
映画に登場する奇形の子は、実際にその当人なんだって。
『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』
— 高田世界館 (@takadasekaikan) February 7, 2022
予告編 pic.twitter.com/rr5G8aUlKM
2019年PFOAが最も危険なランクの化学物質に分類、廃絶が決まった
サンキュー。
ここまで明らかなのに、ダイキンはシラを切り続けているんだよ。
実はあれから、中川記者はダイキンの「社外秘文書」を入手した。
そこには、2002年度に、ダイキンがPFOAをどこにどれだけ捨てたかが書かれてあった。
ここまで明らかなのに、ダイキンはシラを切り続けているんだよ。
実はあれから、中川記者はダイキンの「社外秘文書」を入手した。
そこには、2002年度に、ダイキンがPFOAをどこにどれだけ捨てたかが書かれてあった。
ダイキン「危険性を認識したのは2006年」
中川 「なぜ知らせないのか」
ダイキン「危険な物質とは認識できてなかったから」
中川 「2006年に認識されたって、おっしゃったじゃないですか、今」
ダイキン「(PFOAは)危険なんですか? 」
中川 「その時点で摂津の住民に、多量のPFOAを用水路に流していた過去を伝えたのか」
ダイキン「知らせてないです」中川 「なぜ知らせないのか」
ダイキン「危険な物質とは認識できてなかったから」
中川 「2006年に認識されたって、おっしゃったじゃないですか、今」
ダイキン「それはあの〜、何年に危険性を認識したかっていうのは、あの〜、それはわからないです」
中川 「なんでわからないんですか。わかる人、連れてきてくださいよ」ダイキン「(PFOAは)危険なんですか? 」
(Tansa)
ストックホルム条約締約国(緑色)
Wikimedia_Commons[Public Domain]
市民よりもダイキンが心配な摂津市長
それも作ってたけど、本業はフロンの製造だったんだ。
ダイキンはフロンで大きくなった会社なんだよ。
フッ素技術で世界のトップだったデュポンに、追いつき追い越せで大きくなった。
だけど、1955年以来、工場周囲でフッ素ガスによる農作物や畜産への被害が見られ、周囲に多大な迷惑をかけるようになった。
第11問、《それに対して、ダイキンは何をしたでしょうか?》
ダイキンはフロンで大きくなった会社なんだよ。
フッ素技術で世界のトップだったデュポンに、追いつき追い越せで大きくなった。
だけど、1955年以来、工場周囲でフッ素ガスによる農作物や畜産への被害が見られ、周囲に多大な迷惑をかけるようになった。
第11問、《それに対して、ダイキンは何をしたでしょうか?》
いや、最後に第12問、《ダイキンによるPFOA汚染は、摂津市が初めてじゃありません。実はアメリカでもやらかしていたんです。
2005年、アラバマ州テネシー川でPFOAが検出されました。
それは、上流のダイキンを含む3社のPFOA工場が原因でした。
2013年、3社は水道局と住民に訴えられ、
2018年、原告とダイキンの和解が成立しました。
さて、この時、ダイキンはいくら支払ったでしょうか?》
2005年、アラバマ州テネシー川でPFOAが検出されました。
それは、上流のダイキンを含む3社のPFOA工場が原因でした。
2013年、3社は水道局と住民に訴えられ、
2018年、原告とダイキンの和解が成立しました。
さて、この時、ダイキンはいくら支払ったでしょうか?》
だといいけど、日本じゃ、一筋縄には行かないみたいだよ。
2022年3月29日、摂津市議会はダイキンに対して、情報公開、汚染対策を要請すると決めた。
そこから1年、テレビでもPFOAが話題に上るようになった。
ただ、中川記者はこう言う。
「ようやく新聞やテレビが重い腰を上げた。ところが、報道内容を見た私は呆れた。
汚染源である『ダイキン』の名前を出さずに報じているのだ。
1月31日の朝日新聞朝刊一面も、「工場などが汚染源になっていると指摘される」と書くだけで、ダイキンの名前は出さなかった。(Tansa)
2022年3月29日、摂津市議会はダイキンに対して、情報公開、汚染対策を要請すると決めた。
そこから1年、テレビでもPFOAが話題に上るようになった。
ただ、中川記者はこう言う。
「ようやく新聞やテレビが重い腰を上げた。ところが、報道内容を見た私は呆れた。
汚染源である『ダイキン』の名前を出さずに報じているのだ。
1月31日の朝日新聞朝刊一面も、「工場などが汚染源になっていると指摘される」と書くだけで、ダイキンの名前は出さなかった。(Tansa)
中川記者は、ダイキンの「社外秘文書」以外に、もう一つの重要書類を見つけている。
それは、1977年にダイキンと摂津市の間で取り交わされた「環境保全協定書」。
そこには「ダイキンが地域住民に被害を及ぼした場合、ダイキンが補償する内容」が書かれてある。
それは、1977年にダイキンと摂津市の間で取り交わされた「環境保全協定書」。
そこには「ダイキンが地域住民に被害を及ぼした場合、ダイキンが補償する内容」が書かれてある。
たしかに、この「環境保全協定書」を、ダイキン幹部に突きつけたところ、彼らは「摂津市から要請があれば協議は始めたい」と言った。
中川「摂津市がダイキンに要請すれば協議が始まるということですか」
ダイキン「摂津市から要請があれば、協議は始めたいと思います」。(Tansa)
中川「摂津市がダイキンに要請すれば協議が始まるということですか」
ダイキン「摂津市から要請があれば、協議は始めたいと思います」。(Tansa)
ところが、ところが、肝心の摂津市が及び腰なのよ。
市は、PFOAは「環境保全協定書」の補償に当てはまらないと言う。
摂津市の森山市長も、「環境保全協定」に基づきダイキンに協議を要請することは「今のところない」と言う。(Tansa)
市は、PFOAは「環境保全協定書」の補償に当てはまらないと言う。
摂津市の森山市長も、「環境保全協定」に基づきダイキンに協議を要請することは「今のところない」と言う。(Tansa)
摂津市の森山市長
Author:内閣府 地方創生推進室[CC BY]
デュポンのPFOA工場の周辺住民7万人の調査結果で、PFOAと健康被害の因果関係が証明されたと言っても、
「今のところ、具体的に、日本ではそういうことは認められていないのは事実です」
「(将来的な健康被害の)おそれがあるんですか? 」と言う。(Tansa)
「今のところ、具体的に、日本ではそういうことは認められていないのは事実です」
「(将来的な健康被害の)おそれがあるんですか? 」と言う。(Tansa)
中川「森山の本音を見た思いだった。この期に及んで、ダイキンの心配をしているのである。協定は森山にとって市民を守る『チャンス』ではなく、むしろダイキンの責任を追及することになる『ピンチ』だったのだ。」(Tansa)
そんな、あきれた市長を尻目に、市民たちはがんばっている。
去る2月24日、摂津市民からなる「PFOA汚染問題を考える会」は、大阪府の吉村知事宛に2万3788人分の署名を提出し、大阪府は、汚染源であるダイキン工業に対策を求めることを明言した。
去る2月24日、摂津市民からなる「PFOA汚染問題を考える会」は、大阪府の吉村知事宛に2万3788人分の署名を提出し、大阪府は、汚染源であるダイキン工業に対策を求めることを明言した。
3月8日に、環境省にも同じ署名を提出したが、こっちは重い。
中川記者はメルマガにこう書いている。
「環境省はダイキンに対して対策を取るよう求めるのかを尋ねました。答えはノーでした。市民たちの『不安の声を認識した』としても、環境省は汚染源に対して行動はとらないのです。市民の切実な声を煙に巻こうとする官僚のずるさをみた気がしました。」
中川記者はメルマガにこう書いている。
「環境省はダイキンに対して対策を取るよう求めるのかを尋ねました。答えはノーでした。市民たちの『不安の声を認識した』としても、環境省は汚染源に対して行動はとらないのです。市民の切実な声を煙に巻こうとする官僚のずるさをみた気がしました。」
中川記者は訴える。
「私がこの1年半の取材で直面したのは、本来は市民の味方である自治体やマスコミの『傍観』だった。」
市民は署名活動を立ち上げ、地元議会は全会一致で国への意見書を可決した。
国会でも審議された。だが、新聞やテレビは報じない。
国も責任があるのに、環境省、経産省、農水省は「傍観者」の域を出ていない。(Tansa)
「私がこの1年半の取材で直面したのは、本来は市民の味方である自治体やマスコミの『傍観』だった。」
市民は署名活動を立ち上げ、地元議会は全会一致で国への意見書を可決した。
国会でも審議された。だが、新聞やテレビは報じない。
国も責任があるのに、環境省、経産省、農水省は「傍観者」の域を出ていない。(Tansa)
ジャーナリストとしての中川記者は言う。
「結局、誰を向いて仕事をするのかということだと思う。
私は、ダイキンでも上司でもなく、被害者の方を向く。
自分の血液から非汚染地域の数十倍ものPFOAが検出された人や、地域の子どもたちのことを心配してダイキンに対策を求める署名に奔走した人たちを置き去りにするわけにはいかない。」(Tansa)
「結局、誰を向いて仕事をするのかということだと思う。
私は、ダイキンでも上司でもなく、被害者の方を向く。
自分の血液から非汚染地域の数十倍ものPFOAが検出された人や、地域の子どもたちのことを心配してダイキンに対策を求める署名に奔走した人たちを置き去りにするわけにはいかない。」(Tansa)
「フォレバー・ケミカル」のその後はどうなったのか?
PFOAを世間に知らしめた、Tansaの中川七海記者の記事を元にまとめてみました。