辺野古「代執行訴訟」第一回口頭弁論が行われ、またしても裁判所は審理を尽くさず「即日結審」/ 布施祐仁氏「日本政府の暴力に正面から向き合わなければならないのは、むしろ本土に暮らす我々」

 10月30日、国土交通大臣が玉城デニー沖縄県知事を訴えた辺野古「代執行訴訟」の第一回口頭弁論が行われました。国側は、玉城知事の「不承認」によって普天間への公益が達成されないとし、沖縄県側は、新基地建設反対の民意が公益として考慮されるべきだと主張しています。この日、またしても日本の司法が全く機能していないことを改めて思い知った期日となりました。
辺野古の新基地建設問題で、国交大臣は玉城知事に設計変更を承認することを求める指示をし、玉城知事はその指示が違法だとして取消訴訟を提起しました。最高裁は9月、国交相の求める設計変更が法律の要件に適合しているかどうか「審理を一切行わずに」、国交相の指示を適法だと判断しました。布施祐仁氏のnoteには、これまでの沖縄防衛局の行政不服審査の濫用や、国交省の裁決のずるい「脱法戦術」を解説されていますが、さらに国は玉城デニー県知事に対して代執行訴訟を起こしました。「裁判所が国の主張を認めた場合、県に承認命令を出すが、県が従わなければ国が承認を代執行し、大浦湾側の工事が着手される」ことになります。
 この最後の砦のような代執行訴訟の第一回口頭弁論で、またしても裁判所は工事に関わる審理を行わず、即日結審の報が流れました。布施氏は「福岡高裁那覇支部は一番やってはならないことをしてしまった。」「政府と裁判所が一体になって沖縄の自治を踏みにじった。」と述べています。玉城デニー知事は、裁判所に対して「国が代執行という国家権力で民意を踏みにじることを容認せず、県民の多くの民意に即した判断を示していただけると期待する」と述べました。
 故・翁長雄志前知事の時代にも、国は代執行訴訟を仕掛けましたが「当時は裁判長から異例の和解提案があり、工事を中止して協議することを条件に和解」しました。
 司法が国の言いなりになっている以上、それを正すのは国民の強い声だけです。布施氏のnoteの最後には「沖縄県と知事そして県民は、これまでもこの問題に十分過ぎるほど向き合ってきた。辺野古への米軍新基地建設のために民主主義や法治主義、地方自治を踏みにじって沖縄県知事を追い詰める日本政府の暴力に正面から向き合わなければならないのは、むしろ本土に暮らす我々の方ではないだろうか。」とあります。沖縄にも意識を向けよう。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)



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辺野古「代執行訴訟」、きょう初弁論 玉城デニー知事が法廷で陳述へ 
引用元)
(中略)
 玉城知事が意見陳述し、地方自治の在り方を司法に問うとみられる
 辺野古を巡る県と国の訴訟は14件目。書面では、不承認によって普天間飛行場の固定化回避という公益上の課題が達成されないと主張する国に対し、県は新基地建設反対の民意が公益として考慮されるべきだとして反論。国は即日結審を求めており、年内に判決が出る可能性もある。

 裁判所が国の主張を認めた場合、県に承認命令を出すが、県が従わなければ国が承認を代執行し、大浦湾側の工事が着手される。実際に代執行されれば初めてとなる。

 玉城知事は2021年、沖縄防衛局の設計変更申請に対し、軟弱地盤の調査などが不十分だとして不承認とした。この処分を巡る訴訟で、最高裁は9月に県の訴えを退け、県の敗訴が確定していた。
 21年の地方分権改革で中央集権型の機関委任事務制度が廃止されてから、国が代執行訴訟を提起するのは、翁長雄志前知事時代の15年以来2度目。当時は裁判長から異例の和解提案があり、工事を中止して協議することを条件に和解した。 
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沖縄県知事は最高裁判決に従って辺野古埋め立てを「承認」しなければならないのか?―行政法研究者の見解
引用元)
(前略)
 最高裁も、この政府の思惑に沿って動いた。独自に実体審理をせず、国土交通大臣の裁決を唯一の根拠に、沖縄県知事に設計変更を承認するよう求めた指示は適法だと認定したのだ。
 本来ならば、政府の脱法行為をただすべき最高裁が、それを追認してしまったのである

 繰り返しになるが、国土交通大臣の法的判断だけを根拠に最高裁が法的判断を下すのであれば、国土交通大臣の裁決が実質的に最終的な法的判断ということになってしまう。
 それでは、この裁判の意味はない
(中略)
 本来ならば、このように非民主的で差別的な政治は主権者である国民の手によっていち早く正されるべきであったが、多くの国民の「無関心」や「黙認」によってそれがなされていないことが今日の事態を招いている
 行政法研究者有志による声明は、政府に代執行手続の中止と沖縄県との対話による紛争解決を求めるとともに、沖縄県と知事に対しても「県民投票で示された県民の意思を尊重する立場を引き続き堅持し、仮に代執行手続が続行されたときは、自治の担い手としてこれに正面から向き合うことを切に願う」と述べている。
 沖縄県と知事そして県民は、これまでもこの問題に十分過ぎるほど向き合ってきた。辺野古への米軍新基地建設のために民主主義や法治主義、地方自治を踏みにじって沖縄県知事を追い詰める日本政府の暴力に正面から向き合わなければならないのは、むしろ本土に暮らす我々の方ではないだろうか

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